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2020年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:上下水道局
2019年09月04日

  1. 2018年12月安倍政権の下で、これまで水道事業を運営してきた自治体が浄水場などの施設を所有したまま、運営を民間企業に売却する「コンセッション方式」を促進する改正水道法が成立した。パリでは1980年代に水道民営化を実施したが、3か月に1度の値上げがあり、結果25年間で2倍に料金が高騰し、2010年に再び公営に戻ったという経緯がある。また日本では民営化により水道料金の事業者間格差が現在の8倍から20倍程度に広がると予測されるなど、水道民営化は安定的な水供給に大きな不安をもたらす。「検討の予定はない」としている市の方針を今後とも堅持すること。
    一方で、市は広域化については、「将来的な課題解決の手段」とし、長期的な研究課題としているが、民営化と同じく安全安心な水供給の上で問題点が多い。広域化しないこと。

  2. 原発銀座といわれる福井県に近接する琵琶湖を水源としているため、現在、阪神水道事業団などでは、淀川の原水、浄水について定期的に放射性物質の測定を行い、万一事故が発生した場合には測定頻度を1日1回に増やし、放射性物質の低減化を図る処置を講ずるとしている。しかし、被ばくはどんなに低線量であっても、その線量に応じた健康被害リスクがある。水道事業者として、万一の原発事故への対応は当然であるが、その元凶となっている危険極まりない原発について、直ちに再稼働をやめるよう国、関西電力などに強く求めること。

  3. 水道料金の福祉減免では、身体、知的障がい者のみから精神障がい者にも拡大されたものの、先進市に比しても不十分である。精神障害一級のみを二級にも拡大することや、生活保護世帯への水道料金下水道使用料の基本料金減免の復活なども検討し実施すること。

  4. 人口減少や使用量減少に伴い、本市でも上水道施設の維持管理の見直しが進められており、方針転換も見られるところである。ひきつづき市の独自水源のあり方とともに、阪神水道事業団や関係市とも連携し、適切な検討を行い、随時情報を市民にも公表すること。

  5. 上水道の基幹管路は、2028 年度までに耐震適合率を100%とすることを目標とし、また、老朽化による漏水や破損事故等の危険度が高く、耐震性が低い管種である鋳鉄管(CIP)は、2018 年度までにすべて耐震管に布設替えを行うとしている。しかし、現在(2018年度末)の進捗は、基幹管路で58.5%、鋳鉄管で72%と大きく遅れている。特に事故の危険度が高い鋳鉄管については早急に目標を達成すること。

  6. 降雨対策について
    1. 地球温暖化による異常気象で、ゲリラ的豪雨による浸水、土砂災害などの被害が各地で起こっている。こうした事態に対応できるよう55mm/h(10年確率)に対応した管渠や貯留施設の整備が進んでいる。また、合流貯留管の整備にも着手された。ひきつづき市民の安全を守るために必要な予算を計上し、県とも協議しながら早急に計画を推進すること。また、国の補助金も引き続き確保すること。
    2. 学校の運動場・公園等に遊水池の設置が取り組まれている。さらに遊水池を増やすとともに、緑地や農地の拡大などで流出抑制策を講じること。

  7. 公共下水道への接続時に市の助成制度を受けていない集合住宅敷地内通路に埋設されている下水排水施設については、私道下水道に準じた取り扱いを行い、市が責任をもって維持管理すること。