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佐藤みち子の一般質問
2019年12月09日

名神湾岸連絡線について


 市は、8月29日に開催された都市計画審議会で「名神湾岸連絡線の都市計画(素案)を発表、ルートが明らかにされました。種別は自動車専用道路で、起点は今津社前町、終点を西宮浜1丁目とする延長約2キロメートルの都市計画道路です。
 ルートについては、高架式の連絡線が、今津東線の上を走り、大阪ガス今津総合グラウンド、JFEスチール西宮工場を縦断し、橋梁で海を渡り西宮浜で阪神高速5号湾岸線に接続します。
 (仮称)西宮ジャンクション・インターは名神高速道路及び阪神高速3号神戸線の大阪方面と接続をします。構造が複雑で現在の高さは16メートル、名神湾岸連絡線が完成すると高さ28メートルにもなります。これは、ビルの9階に匹敵する高さです。また、(仮称)西宮浜ジャンクション・インターは、阪神高速5号湾岸線の大阪方面及び神戸方面と接続するとともに、出入口を設置します。こちらの高さも28メートルになります。
 名神湾岸連絡線の車が通行する高さは、酒蔵通り付近では約16メートル、臨港線付近では約17メートル、海上区間では船舶の航路高さを確保するため、高さ約26メートル以上となります。
 
 都市計画審議会後、住民への全体説明会が4回開催されました。9月17日(火)西宮浜産業交流会館62人が参加。9月18日(水)、9月22日(日)今津公民館、それぞれ106人、103人が参加しました。9月23日(月)西宮浜産業交流会館39人が参加。全体では310人の市民が参加しました。日本共産党市議団も参加しています。
 さらに、地域からの要請を受けて個別説明会を9月23日(火)に今津南会館で社前二葉福祉会・大東町福祉会を対象に53人が参加、そして、10月16日(水)今津老人いこいの家、北久寿川福祉会を対象に15人が参加しています。11月22日(金)西宮浜の企業を対象に西宮浜産業交流会館で個別説明会を実施46人が参加しました。
 
 これら説明会での主な意見とそれに対する回答、市の考え方が、10月28日、市の都市計画審議会で報告されました。説明会で出された主な意見は、「国道43号線裁判の意義を理解していない。この連絡線ができれば、今以上に車が上下に増えることになる」「住民の暮らしを犠牲にした道路はいらない」「将来的に交通量が減少する見込みなのに新たな道路を整備する必要があるのか」「大阪湾岸西伸部が整備され、その効果を確認してから名神湾岸連絡線の必要性を判断すればよいではないか」また、周辺住民への騒音、振動、景観、日照、宮水等、環境への影響を懸念しどう対応するのか等々、湾岸連絡線ができることへの不安の声が多数出されました。どの意見ももっともだと思います。

 この道路がなぜ必要なのか。市の説明によると、次のように述べています。@名神高速道路と阪神高速5号湾岸線を連絡することで、広域的な道路ネットワークを形成する。A阪神高速3号神戸線と国道43号に集中している交通を阪神高速5号湾岸線に分散させることにより、周辺地域の交通渋滞の解消や交通安全、沿道環境の改善を図る。B国際コンテナ戦略港阪神港の物流、関西3空港の連携強化を図るためとしています。
 市民の中には、名神湾岸連絡線ができると市内の171号線や建石線等の渋滞が緩和されるという期待の声がありますが、市の説明では、そのようなことはなく、あくまでも小曾根線や札場筋等、湾岸線へアクセスする大型車の交通量が名神湾岸連絡線に転換されるとのことで、主に市の南側の道路の交通量が減るとのことです。

 この連絡線ができることで、今津地域は通過交通が増えることになり、住環境が今よりも悪くなります。地域住民には何のメリットもありません。この地域は、かつて阪神高速3号神戸線と国道43号線を走行する大量の車の排ガスによって、ぜんそく等の健康被害を受け、国と裁判で争った経過があります。そのような地域に新たに道路を作ることなど、人道的にも道義的にも認められません。

 なぜなら、西宮市は文教住宅都市を街づくりの理念とし、「環境学習都市宣言」を行った自治体であります。大勢の方が生活し、学校や保育所、特養等のある地域で新たに高架式の道路を作ることは、大気汚染や騒音、振動、景観、環境等の悪化を招くことになり、かつてのように健康被害で苦しむ人が増えることになります。名神湾岸連絡線を作ることはやめるべきです。

質問
  1. 山の中に道路を作るのではありません。大勢の人が日常生活を営んでいる市街地に高架式の道路を作ります。特に、排ガスの影響が心配です。今も国道43号、阪神高速3号の影響があり、いくら車の性能が良くなったといえどもまだまだ多くがガソリン車ですから、車の台数が増えることになれば排ガスが健康に影響します。市として、この地域に居住している人たちの現在の健康状態を調査すべきではないか。
  2. 日本は人口減少時代に入りつつあり、今後も少子高齢化が進みます。そんな時代に新たに高速道路を作る必要があるのでしょうか。市は、「人口減少の進行、若者の車離れや高齢者の免許返納等、社会情勢の変化はあるが、2019年3月末時点においても自動車の保有台数は微増傾向が続いている。乗用車は減っているが大型車や高速道路の交通量は増加傾向となっている」と説明していますが、今後、10年、20年後の交通量についてはどのように見込んでいるのか。
  3. 近隣住民にとっては、工事中、あるいは道路ができた後も、騒音、振動、大気汚染の悪化、景観、日照等々、日々の暮らしに影響することになる。いくら、環境に配慮したとしてもすべてを取り除くことは困難である。このような市街化が進んだ地域に、高架式道路を作ることは無謀である。説明会でも市民からは道路建設に反対する声のほうが多い。
    この市民の声をしっかり聞いて、道路の建設を中止するよう国及び県に求めるべきではないか。