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まつお正秀の反対討論
2020年03月23日

2020年度西宮市一般会計予算、2020年度西宮市国民健康保険特別会計予算、西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、西宮市食肉センター特別会計予算について


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第158号2020年度西宮市一般会計予算、議案第159号2020年度西宮市国民健康保険特別会計予算、議案第164号西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、議案第160号西宮市食肉センター特別会計予算について日本共産党西宮市会議員団は反対致します。

 以下理由を述べますが、その前にまず新型コロナウイルス感染症問題について触れておかねばなりません。このウイルスによる感染が中国で確認されたのは昨年末、あるいは11月だったという報道もありますが、以降世界中に広がり、WHO(世界保健機構)は3月11日、パンデミックと宣言しました。
 日本では3月19日にこの問題で政府の専門家会議が開かれ、「国内の感染は一定程度抑えられているものの、一部地域で感染拡大が継続しており、大規模流行につながりかねない」との見解を示しました。諸外国のように急激な感染者増にはいまのところ至っておりませんが、まだ予断を許さない状況にあります。
 WHOは18日、感染に備えて、感染者をすべて「隔離し、検査し、治療し、あらゆる接触を追跡する」事が対応の主要な柱だと強調しましたが、日本は特に検査体制の遅れが指摘されています。必要な感染防止策を適切にとることによって、国民の命と健康を守ることにまず最大の力を注ぐことが政治に求められています。

 あわせてコロナ問題によって世界経済は重大な危機に直面しています。
 日本では昨年10月に消費税増税が行われましたが、昨年10月から12月におけるGDPが大きく落ち込んだとの報道がつい先日ありました。その打撃の上に今回のコロナウイルスの影響が経済と国民の暮らしに追い打ちをかけています。現下の経済危機からどうやって国民生活を防衛していくのか、ここでも政治の責任が問われています。

 日本共産党はこの3月13日に「国民生活の緊急防衛、家計・中小企業への強力な支援を」という緊急経済提言を発表しました。中小企業をはじめとした企業倒産とリストラ・失業の連鎖を起こさないことを経済政策の大きな目標にすえ@無利子・無担保の融資枠の拡大A雇用調整助成金の金額や対象の拡大B首切りや内定取り消しなどが行われないように国が指導する。Cフリーランスをはじめ雇用保険の対象にならない人たちへも所得補償制度を緊急につくるD休校要請やイベント自粛など、政府の要請に伴って仕事や収入を奪われた人や業者に対して政府の責任で所得補償制度をつくること、を求めています。また、これまでの外需拡大頼みの経済政策は、世界経済全体で実体経済の後退が行っているもとで成り立たなくなっていることを指摘し、内需、とりわけ家計と中小企業支援に思い切って力を集中した対策を求め、具体的には@消費税の5%への緊急減税の実施、A国保料をはじめとした社会保険料の緊急減免、納税の緊急猶予などの措置をとることを求めています。

 国は新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾を発表し、児童福祉施設などの感染拡大防止に対する支援など、本市でも後ほどの日程で今年度の補正予算が提案されます。また、新年度補正予算では、中小企業・小規模事業者に対する市の融資制度における利子補給や信用保証料を市が全額負担するなどの提案がされ、日本共産党市会議員団はいずれも賛成するものですが、先ほど述べた国保料などの社会保険料や市税などに対する思い切った支援や親身な相談、就学奨励制度の柔軟な取り扱いなど、市独自でできる対策をとり、市民の暮らしを守ることに全力を挙げるよう要望しておきます。

 コロナ危機に対する3点目の意見は学校休校をめぐる問題です。2月27日の突然の科学的根拠のない学校休業要請によって、様々な分野で混乱と不安、被害が広がりました。
 特に子どもたちの受けた被害は深刻です。卒業直前あるいは学年末だった子どもたちは、突然の別れに心の整理がつきません。長期の休校は、「基本的に自宅で過ごす」という子どもの生活にそぐわない方針の下で、子どもの心身の健康を損ねる恐れすらあります。学ぶ権利の保障の問題も重大です。さらに、休業を余儀なくされた保護者の収入減や給食業者への補償など解決すべき問題は山積しています。
 本市の対応において、外遊び推奨の広報や、学校関係者の要望にこたえ党議員団も求めていた3月中の登校日の実現など、評価すべき点もありますが、休校措置および登校日の決定過程では、現場との意思疎通が不十分だったのではないでしょうか。今後の検証を求めます。
 また、4月以降の学校再開に際しては、子どもの心身のケアを重視し、現場の声を尊重して対応していくよう要望します。

 それでは、予算における主な反対箇所を述べます。
 一つ目は、市民の暮らしに対する市長の政治姿勢についてです。代表質問で私は市民の暮らしについての認識を伺いましたが、市長からは「大変な暮らしをされている方がいらっしゃることは認識している、経済状況に限らず困難な思いをされている方々に寄り添い、市民の皆様が幸せに暮らしていけるよう、努力していきたい」とさらりと述べられました。
 まさにさらりと述べられたわけです。

 市民の暮らしは、国の政治が大きく反映します。ですから、どんな国の悪政が行われても市政の枠の中だけで市民の暮らしを守りますというのでは、地方自治の主旨から外れていくことになります。
 いま国政は、自殺者まで出した森友問題や桜を見る会などの政治の私物化、格差と貧困の広がり、全世代型社会保障の名の下での社会保障改悪、児童虐待などの痛ましい事件の多発などどれも真剣に解決が求められる課題が山積し、しかも安倍首相の下では解決することはできない、そんな状況ではないでしょうか。
 核戦争や原発事故がおきれば市民の暮らしは成り立たなくなるわけですから、核兵器廃絶の立場に立つように、また、原発推進はやめよと、国にたいしてきっぱり言っていくべきです。そして、国の政治が本来やるべきことであっても、行き届いていないことは市として積極的にやろうという姿勢を持っていただきたいと思います。

 二つ目の反対箇所は、この10月から政府は予定をしているマイナポイント付与などを、マイナンバーカード交付を条件としてすすめようとしており、その具体化が予算に盛り込まれている問題です。このマイナポイントは現在キャッスレスポイント還元で使われているカードやスマホに20000円チャージをすれば5000円分を政府が付与する制度です。まさにプレミアム商品券のマイナンバーカード版ともいえるものですが、5000円分が景気対策効果として消費にすぐに使われる保証はありません。
 さらに、来年4月からマイナンバーカードが健康保険証と兼用できるようになりますが、医療や介護のデータをひも付けし、そうした情報を民間業者に提供していくことも考えられています。マイナンバーカードの普及が進まないのは国民が必要性を感じておらず、何よりも情報漏えいの不安があるからです。マイナンバーカード普及追随の姿勢は改めるべきです。

 三つ目の反対箇所は、外部委託の拡大についてで、3点述べます
 1点目は図書館についてです。北部図書館には正規の司書が3人、嘱託司書が5人配置されていますが、調査・相談件数が少ない、貸出冊数が少ないとの理由で貸出業務を民間委託する予算が計上されています。現在勤務している司書は中央図書館に設置される新チームに配属され、司書の専門性をより生かした運営体制への見直し、レファレンス機能の充実やアウトリーチで学校図書館の地域開放など、読書振興を進めるとしています。しかし、図書館のレファレンス機能とは資料や情報を求めている人にその場で適切な情報源を司書が手助けして結びつけるもので最も重要な仕事であり、貸し出しや返却業務と切り離せるものではなく、民間に委託すべきではありません。

 2点目は、介護保険認定調査についてです。市では2019年1月から国道171号線以北の地域は民間委託しています。現在、直営と委託の比率は2対1ですが、市当局は委託を増やしたいとの意向です。介護保険制度の下で市の業務は保険料の徴収が主で、高齢者施設はほぼ民間事業所であり、市が直接に高齢者と接するのは、今や認定調査のみとなっています。これ以上、委託を増やすことになれば高齢者の実態が市としてつかめなくなる恐れがあります。認定調査については、委託ではなく市が責任をもって実施すべきです。

 3点目は窓口業務についてです。市は一般的な問い合わせや説明については総合コールセンターとして外部委託する方針を示していますが、現在市民からの相談は市の代表電話から交換手が該当する課につなぎ、職員が直接答えています。その中にはイベントの予約や申し込み等の軽微なものがあるとの理由ですが、何を軽微とするのか疑問です。安易な委託は止めるべきです。
 市長は行政経営改革で、「オープン」「スマート」「リライアブル」を掲げましたが、安易な民間委託の推進で効率化を図ろうとすることでは市民の信頼を得ることはできません。外部委託の推進に反対するものです。

 反対箇所の四つ目は、民設民営の留守家庭児童育成センター事業の推進です。
 新年度予算では、新年度から開所する民設民営の放課後児童クラブ運営費として1585万円、新たに3か所の開設整備費として3780万円が盛り込まれています。この民設民営学童については市費が投入されることから、厚生労働省の規定と市の条例に基づいて運営される事にはなっています。しかし、企業が運営するという事は赤字になれば撤退の可能性、あるいは英語や音楽指導などのオプションを追加することで利益を上げようとすることも考えられます。
 現在、新型コロナウイルス感染症対策で、育成センターには多大な貢献をしていただいていますが、これがもし、すべて民設民営だったら、ここまでの対応ができたかどうかは疑問です。育成センター事業は、子どもたちの命と成長を見守っていく、とても重要な事業です。その事業を民間にゆだねていくことは大きな問題です。よって、私たちは民設民営で育成センターの待機児童を解消しようとすることに反対です。

 あわせて、ここでは子どもの居場所づくり事業(放課後キッズルーム事業)に意見を申し上げておきます。
 放課後キッズ事業とは、放課後の学校施設、図書館やランチルーム、運動場などを子どもたちの遊びや学びの場として開放する事業です。参加するには申し込みと800円の保険料が必要で、原則月曜日から金曜日の授業終了後から午後5時まで、長期休業中は午前8時半から午後5時まで実施され、現在小学校2校で実施されています。事業の運営は民間業者で、コーディネーター1名と見守りスタッフ3名以上を配置で行われることになっています。教育委員会としてはこの事業について、保育の場でなく習い事の場でもなく、子どもたちが自由に過ごせる場所だという位置づけです。

 私たちはかねてより「放課後キッズルーム事業自体には反対しないが、育成センターの待機児童対策として利用すべきではない」と主張してきました。そして当局も「本事業は決して育成センター、学童保育の代わりではない」という立場でした。ところが先日の教育こども予算分科会において担当課長は、「待機児童解消のために育成センターを新たに整備拡充すると多大な費用がかかるが、放課後キッズ事業を進めることで費用を抑制することができる」という旨の答弁をおこないました。それが本音であるならば、私たちは本事業に反対せざるを得なくなります。本事業を育成センターにとって代わる事業にしないように求めておきます。

 五つ目は名神湾岸連絡線の建設推進に反対です。
 名神湾岸連絡線については、今津地域の住民の方たちが、国道43号線に続いての、健康、騒音、ばいじんなどの被害に不安を感じて反対している計画です。国の無駄な公共事業の一環でもあります。市長がこの計画を推進していることは問題です。

 次に指摘事項ならびに要望事項を6点申し上げます。
 一点目は、子ども医療費助成制度の所得制限見直しについてです。これは石井市長の公約です。民生予算分科会での質疑では、見直しの対象をどうするのか、あるいは一部負担金を求めるかどうかの対象についての検討をいまだ行っているという答弁がありましたが、市長就任から約2年、時間がかかりすぎています。早急に検討案を示していただくように求めておきます。

 二点目は保育所待機児童対策の遅れと保育所民間移管についてです。
 市は認可保育所増設で待機児童を解消する計画ですが、民間保育所の応募がなく、今年度は8か所建設予定が2か所にとどまっています。このことは民間保育所頼みでは中々ことが進まないということを示しています。公立保育所の整備を行うことで待機児童の解消を進めるべきです。
 また、市は公立保育所の民間移管については待機児童が解消するまでは行わないとしていましたが、耐震工事に多額の費用が必要であること、近隣に保育所用地が確保できたことなどを理由として、今津文協保育所を民間移管すると発表しました。民間移管計画を策定した2007年当時より待機児童は深刻になっている中で公立保育所の廃止は許されません。
 今津文協保育所は公立で残し「西宮市立保育所民間移管計画」こそを、廃止すべきです。
 三点目は学校給食無償化についてです。代表質問でも取り上げましたが、3年前からわが党議員団は一般質問で取り上げてきました。子育て支援の一環として無償化や減免をする自治体が増えていますが、このたびのコロナウイルス問題にかかわって、大阪市が給食費無償化の1年前倒し、すなわちこの4月から実施すること決めました。大都市である大阪市でできるのですからわが市でできない話ではありません。実施に向けて検討をすべきと考えます。

 四点目は高齢者交通助成制度についてです。
 多くの高齢者に喜ばれているこの制度は、新年度から半額助成からより利用しやすい全額助成に変更されますが、鉄道事業者からの協力が得られないとのことで2021年から事業の見直しをすることになっています。新たな事業を検討する際には、当事者の意見をよく聞くことが望まれます。もともとこの制度は高齢者の外出支援策ですから、尼崎市や芦屋市や尼崎市で実施しているバス半額助成制度や福祉タクシーの拡充等についても検討するよう求めます。

 五点目はUR借り上げ住宅裁判についてです。三年前に市から退去を求めて訴えられた青木町のシティハイツ西宮北口住民7世帯について、地裁判決から控訴となって高裁での裁判が続いています。市長は選挙前には継続入居が望ましいという立場を表明されていました。和解に向けた協議を早急に行われるようにお願いしておきます。

 六点目は阪急武庫川新駅についてです。
 阪急武庫川新駅についてはかねてから該当近隣住民の方たちから要望が出されてきました。2000年12月議会では駅の設置を求める陳情が全会一致で採択されていますが、その時に審査が行われた総務常任委員会の議論では、「請願駅」となって市から持ち出すお金が多大にならないようにという意見が何人かから出されていました。それから20年近く、近隣地域や道路の整備などの問題など、課題も多く今日に至っています。本市と尼崎市、県や電鉄会社の4者による協議も行われていますが、住民の合意を何よりも優先して検討するよう求めておきます。

 続きまして特別会計についてです。
 議案第159号国民健康保険特別会計については、先ほどの日程において、議案第181号で述べたとおりの理由で反対です。

 議案第164号後期高齢者医療特別会計については、保険料の値上げに反対です。
 今回の改定では2020年度と2021年度の二年間の保険料率が決まったことにより、一人当たりの平均保険料は8万2186円となり、二年前に決定された保険料に比べて4.05%の引き上げとなっています。この制度の当初から、対象がほとんど年金生活者で負担が大きいことから特例軽減の制度を設け、本来均等割りの減免を最大7割だったものを9割に拡大するなどの軽減をしていましたが、政府はこの特例減免を激変緩和ののちに廃止することにしています。民生予算分科会の質疑では、政府がその負担増に代わるものとして、低所得者が対象の「年金生活者支援給付金制度」を設けたとしていることが当局から説明されましたが、消費税の増税で負担は増えていますから、まやかしと言わざるを得ません。さらに政府は、この制度における窓口負担は現役並み所得者を除いて1割ですが、今後は一定所得以上について2割に引き上げることをもくろんでいます。
 今回の値上げでますます高齢者を追い詰めていくことになることから、この特別会計に反対です。

 次に食肉センター特別会計についてです。
 2004年3月に西宮市食肉センター検討委員会という第三者委員会によって、県への移管、もしくは民営化、それができなければ廃止という提言が出されながら、それに耳を貸さず、西宮食肉事業協同組合加盟の団体有志によって設立された民間会社が指定管理者となり運営されていることをわが党議員団は問題視してきました。
 2019年2月に出された包括外部監査報告においても、食肉センターについて様々な問題点の指摘がおこなわれ、将来における食肉センターの在り方の検討を早急に行なうべきという意見が述べられています。同年3月の民生常任委員会において、当時の掛田副市長から一旦フラットにして議論をしていきたい、2019年度中、今年度中ですが議論検討など調査も含めてやっていきたいと述べられています。新年度予算ではこの特別会計に一般会計から1億8000万円以上が繰り入れられることになっていますが、ほとんどが市外で消費される食肉を処理する施設に市民の税金を毎年これだけつぎ込むことは問題であり、この予算案に反対するものです。
 以上です。