HOMEへ
佐藤みち子の一般質問
2020年09月03日

ジェンダー平等−見えてきた女性の働き方


 昨今は働く女性が増えていますが、その置かれている環境はどうでしょうか。非正規、低賃金、働いているのに貧困、さらにセクハラ、パワハラ等の被害もあり困難を抱えている女性も多いです。今回は市役所で働く女性の置かれている環境について質問します。

 2019年12月に公表した、世界経済フォーラムが毎年示す「ジェンダーギャップ指数2020」は、各国における男女格差を図るジェンダーギャップ指数を公表しました。この指数は4つの分野で出されます。日本はまず、教育分野が91位、健康分野では40位ですが、日本が際立って低いのが経済分野と政治分野です。経済分野は115位です。「所得の男女平等」108位「管理職における男女平等」131位「専門職・技術職における男女平等」110位となっています。政治分野は144位と4つの分野では一番低くなっており、「国会議員の女性割合」135位、「閣僚の女性割合」139位の低さです。これらの結果、日本の総合順位は、153カ国中121位で、G7諸国(日本、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ)の中では、断トツの最下位でした。

 日本共産党は2020年1月、第28回党大会を行い綱領を一部改定し「ジェンダー平等社会をつくる」ということを明記しました。そもそも、ジェンダーとは、社会が構成員に対して押し付ける「女らしさ、男らしさ」「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担などを指し、一般的には「社会的・文化的につくられた性差」と定義されています。しかし、それは決して自然にできたものではなく、人々の意識の問題でもありません。時々の支配階級が、人民を支配・抑圧するために政治的につくり歴史的に押し付けてきたものにほかなりません。

 さて、新型コロナウイルス感染拡大による日常生活の激変は、女性にとりわけ深刻な影響を与えています。働く女性の多くは低賃金・不安定な非正規労働者で、コロナ禍の下では真っ先に切り捨ての対象となりました。非正規労働者の女性比率は68.8%でコロナ禍の中、多くの女性が職を失いました。

 さらに、学校の休校に伴って仕事を休んで子どもの面倒をみたり、高齢家族の感染防止のケアや介護を担ったりしているのも、多くの場合は女性です。そのうえ、外出自粛と生活不安のストレスが、家庭内でのDVや虐待の増加につながりました。国連女性機関は、各国政府に対し、「コロナ対策が女性を取り残していないか」と問いかけ、「ジェンダーの視点にたった対策は女性のみならず社会のすべての構成員に良い結果をもたらす」と強調しました。日本では、コロナ危機のもとで、とりわけ女性や子どもに矛盾と困難が集中していますが、このことは日本におけるジェンダー平等の遅れを改めて浮き彫りにしました。

 コロナ感染拡大の中、医療現場では「コロナ患者を受け入れたが通常診療を大幅削減した」との悲痛な声が噴出し、介護現場でも「コロナ離職」が起こり、元々人手不足だった現場は過重負担を強いられています。
 このような事態になったのは、歴代政権が医療、介護等、公的サービスを切り捨て、国民に自己責任を押し付ける新自由主義のもと、社会保障削減路線を突き進んできた結果です。とりわけ、女性従事者の割合が高い、医療・介護・福祉・保育などの職種については、社会的にふさわしい労働条件・処遇を保障し危機的状況に対応できるように体制や予算を確保することや充実した給付制度を整備するなど社会保障・ケアを抜本的に拡充することが必要です。

 さて、本市では2019年〜2028年度までの10年計画で「西宮市男女共同参画プラン」を策定しました。男女共同参画社会とは、「男女が社会の構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会です」と明記しています。

 このことを前提に本市職員の状況をみると、西宮市職員定数条例では職員数は3946人となっていますが、実人員は3826人充足率は96%です。嘱託職員、臨時職員は2020年度より法改正され会計年度任用職員となりA、Bを合わせると1891人、本市職員の32%、職員の3人に1人が非正規公務員で、その内1616人85%が女性です。

 「西宮市男女共同参画プラン」の中で、企業等に向けた取り組みを実施するにあたっては、まず市が率先して女性活躍や男女共同参画の実現に向けた取り組みを行う必要があるとし、「管理職に占める女性の割合」「男性の育児休暇取得率」を上げています。そのことは大事なことですが、女性活躍や男女共同参画の実現というのなら、まず、多くの女性が定数外職員、低賃金の非正規公務員として働いていることについて改善すべではないでしょうか。

質問
  1. 市長事務部局、行政職の正規職員の男女比は。
  2. 本市における会計年度任用職員A、Bの職種、正規職員との労働条件の違い、男性が少ない理由について。
  3. かつては正規の女性職員の割合が高かった保育士、給食調理員等の職種が非正規職員に変わっていっている理由は何か。
  4. 本市「男女共同参画プラン」では、「男女が均等に、経済的、社会的及び文化的な利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会」と明記している。しかし、実態は非正規職員の8割が女性ということでプランとは齟齬がある。女性の働き方について検討すべきではないか。