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野口あけみの賛成討論
2020年12月16日

請願第10号 国に対し「再審法(刑事訴訟法の再選規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願


 ただいま上程中の請願のうち、私からは、請願第10号 国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願について賛成討論を行います。
 本請願は、ひとたび確定した判決といえども、もし冤罪の恐れがあるならば、人道的観点から、基本的人権の尊重という観点から、できる限り救済の道を開くことが必要であるため、裁判のやり直し、再審制度の改善を求め、国に対し意見書提出を求めているものです。
 きしくもつい先ごろ、12月5日に、国内で死刑囚として初めて再審無罪となった免田栄さんが95歳で亡くなられました。強盗殺人事件で24歳の時に別件逮捕された免田さんは、いったんは自供したものの、拷問など無理な取り調べで自白を強要されたと、無実を主張しましたが、26歳で死刑判決が確定しました。その後も一貫して無実を叫び続け、繰り返し再審を請求。第6次の再審請求で再審が開始されたのが28年後のことでした。そして、3年後再審判で無罪となり、実に34年6か月ぶりに釈放されたのです。冤罪を訴えて再審請求を求めている別の事件の支援者は、「免田さんの死を、再審請求制度について考えるきっかけにすべきだ」と語っておられます。
 最悪、死刑になってしまう無実の人を救出できる最後の手続きが再審請求です。ところが、この再審制度には多くの不備があります。一つには、再審を請求するには、「新規明白な証拠」を刑の言い渡しを受けた者が示すことになっていますが、すべての証拠を握っている検察官が自分に不都合な証拠、すなわち被告に有利な証拠を提出しないため、請求さえ困難になっているのです。請願にある、「再審における検察手持ち証拠のすべての開示を制度化する」というのは、当然の要求です。
 不備の2点目は、検察による不服申し立てです。何年、時には何十年もの困難なたたかいをへて、再審開始決定が出されても、検察官が不服申し立てをすることができるため、再審開始が遅らされたり、取り消されたりしています。これもまた再審制度を有名無実化する元凶です。アジア、欧米の国々でも検察の不服申し立ての禁止はすでに取り入れられているとのことでした。
 総務常任委員会の審査では、冤罪の恐れがあるならば救済の道を開くのは当然、無実の者を罰してはならないというのはその通りとしながら、議会での議論にはなじまない、結論を出すのは時期尚早、国での議論を待つなどの意見がありましたが、冤罪被害者を支援する団体の請願者からの説明などで、再審制度の不備や課題のうち、少なくとも請願項目にある、今申し上げた2点については理解できるのではないでしょうか。
 法改正実現のためには、市民、法曹界、政治家、専門家などの幅広い連携と世論の喚起が必要と、「再審法改正を目指す市民の会」が言っておられます。この団体は昨年5月に結成され、「シャルウイダンス」や「それでも僕はやってない」という痴漢冤罪事件を扱った映画監督の周防正行さんが共同代表を務めておられますが、その世論喚起の一つとして、この請願をただちに採択すべきです。
 以上です。