HOMEへ
まつお正秀の賛成討論
2020年12月16日

請願第9号、核兵器禁止条約への日本政府の署名と批准を求める意見書提出を求める請願討論


 ただいま上程中の請願第9号、核兵器禁止条約への日本政府の署名と批准を求める意見書提出を求める請願について、日本共産党西宮市会議員団の賛成討論を行います。
 この請願は、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約において、この10月24日、ホンジュラスが批准したことによって発効に必要な批准国数に達したこと、そしてその90日後となる来年2021年1月22日に効力を発揮することが確定したことを踏まえ、この条約に反対している日本政府に条約への署名とともに批准を行うよう意見書の提出を求めるです。
 この条約が国連で採択されるまでに、国際社会は長い間の紆余曲折を経てきました。1954年のビキニ環礁での水爆実験を機に、日本では一年余りの間に約3150万筆の核兵器廃絶署名が集められ、この力は当時フランスがベトナムに介入戦争を仕掛ける中でアメリカから2発の原爆提供の提案を受けて断りましたが、その理由の一つであるといわれています。
 その後、アメリカ陣営と旧ソビエト陣営との冷戦が続く中で、部分的核実験禁止条約、次いで核不拡散条約(以下NPTと呼びます)が締結されて発効しますが、核保有国に有利、あるいは5つの国だけに核保有を認め、他の国には認めない不平等さなどが問題となり、すべての国の核兵器を廃絶することが必要だという世論が高まっていきます。NPTは25年の期限付き条約だったことから1990年に無期限延長され、5年に1度国連で再検討会議が開催されています。日本ではNPT条約の当初の期限が迫る中で、1985年から「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」という核兵器廃絶署名が取り組まれ、15年間で6000万筆の署名が集められたことが、2000年に開催された国連総会で「6000万人の意思」として報告されました。同年はNPT再検討会議の年でもありましたが、この会議で核保有国は核兵器を廃絶するという明確な約束を行います。ちなみにNPTの第6条において、締約国は核軍縮を義務付けられており、その条約6条を背景とした合意でした。しかし、この時には具体的な期限は決められませんでした。そこで2005年の会議が期待されましたが2003年にアメリカを中心としたイラク戦争が起こされたことなどから、この会議での合意文書をまとめることができませんでした。国連はその反省を踏まえ、2010年には改めて、2010年の核兵器廃絶の明確な約束に加え、その枠組みが必要という文言を加えた合意文書を発表します。ここでいうところの枠組みとは、当時、国連の事務総長だったパン・ギムン氏などの発言から、核兵器禁止条約を指していることは明らかでした。ただ、この時にもいつまでにという期限が決められず、2015年の会議は合意文書を発表することができませんでした。しかし国連は、2005年の失敗から着実に布石を打ってきていました。それは、核兵器が人道的に許されない兵器だということを、ヒバクシャを国連に招いて訴えてもらう、国連会議場ビルでの原爆展を認めるなど、人道的に許されない兵器だということを前面に押し出してゆきます。核抑止力論というものが仮にあるとしても、核兵器は人道的に許されないということを、2015年のNPT再検討会議に向けた2012年のNPT準備会合以降、ノルウエー、メキシコ、オーストリアなどでも順次開催されていき、「核兵器使用の非人道性」を謳った声明が、その都度賛同国を増やしていきます。2014年に国連で提案された決議には「いかなる状況下でも核兵器が使用されないことが人類共存の利益」だとして、「核兵器が再び使用されないことを保証する唯一の方法は核兵器の全面廃絶しかありえない」ことを打ち出し、日本政府は核兵器の非人道性を否定することをできずに賛成しました。当時155か国が賛成し、その後その数は増えています。この動きが2015年のNPT再検討会議の共同声明には反映なかったものの、人道的に許されない兵器をなくすためには法的に禁止するしかないということで、禁止条約を成立させるための作業部会が国連で立ち上げられ、粛々と、そして、過去に大国の意向によって振り回された反省から、そうならないように準備が進められていったのです。その典型が人口500万人にも満たないコスタリカの外交官を、条約制定を目指すための会議の議長にすえました。また、コスタリカが軍隊を持たない国であるということもその背景にあったのではないかと私は考えています。
 そしてついに、2017年に核兵器禁止条約が採択され、核兵器に悪の烙印が押されました。かつてアメリカは、北朝鮮やイラン、イラク、リビアなどをならず者国家と批判していましたが、今度はアメリカをはじめ核保有国は、まさに「ならずもの国家」ということになりますし。日本も含めて核の傘に入る国はならず者国家を擁護する国ということになります。
 この請願が審査された民生常任委員会では、委員から北朝鮮や中国の核兵器増強に対して核抑止力が必要との意見が出されました。しかし、核抑止力というのは威嚇です。「お前は武器を持っているだろう、俺はもっとすごいものを持っているんだ」という論理です。これを国に例えれば際限のない軍拡につながっていきます。また、脅しても命を落とすことをいとわないテロリストには何の役にも立ちません。ましてや死んでしまったテロリストに対してどこに核兵器で反撃するというのでしょうか。
 また、別の委員からは、核保有国などが参加していない中で、唯一の戦争被爆国である日本は核保有国と非保有国との橋渡しをする努力をすべきだし、そうしている旨の意見も出されました。
 しかし、毎年秋から年末にかけて開催されている国連総会において、日本政府は核兵器禁止条約に言及せず、核兵器の廃絶を遠い将来に先送りする決議案を毎年提出しています。この決議案は被爆国からの提案であること、遠い将来ではあるけれども核兵器廃絶に触れていることから、多くの国が賛成していました、しかしここ数年は、世界の流れである核兵器禁止条約に触れていないことも含め、被爆国としての提案としては不十分として、この決議案に反対や棄権する国が増え、共同提案国になる国も減っています。今年に限っていえばアメリカは棄権、中国・ロシアは反対しましたから、今では核保有国と非保有国との橋渡しをするどころか、かけようとする橋の両側が欠け落ちた状態になっていると言わざるを得ません。
 さらに別の委員が、今回の請願とは直接関係のないことを持ち出し、意見表明者を惑わしたことも問題です。それは5年前、この団体が安全保障2法案の廃案に関する請願を提出する際に対応したが、その時に請願団体の一人が「他国から攻撃を受けたときには抵抗せずに殺されてもいい」と述べていた。その立場は今でも変わらないのかとこの委員が質問しました。5年前のことを突然聞かれた意見表明者は大変戸惑っていました。後日この団体とその委員に確認したところ、このやり取りは団体が会派訪問をした時のことらしく、委員会での質疑の話ではありませんでした。また、誰の発言かも不明でした。ちなみにこの団体としては攻撃をされれば防衛のために総力をあげて反撃をするという立場をとっているということでした。この質問はあたかも防衛力、今回であれば核兵器が必要ということを印象付けようとした質疑であると私は思わざるを得ません。
 今は世界中がコロナパンディックというもとで、莫大な費用がかかる核兵器の開発・製造・保有・維持などにかかるお金を、医療やワクチン開発などに使えという声が世界で広がっています。
 今回の核兵器禁止条約の発効がその大きな力になることは間違いないと確信をするものであり、この請願への賛成を呼びかけ、賛成討論といたします。