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ひぐち光冬の一般質問
2020年12月16日

誰ひとり置いてきぼりにしない教育を目指して


 みなさん、こんにちは。傍聴席にお越しの皆様、インターネット中継をご覧の皆様、さくらFMをお聞きの皆様、ありがとうございます。そして、いつもご丁寧に対応してくださる当局のみなさまにも心より感謝申し上げます。

 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して、私ひぐち光冬が大きく2つのテーマについて一問完結方式にて一般質問を行います。1点目が「誰ひとり置いてきぼりにしない教育を目指して」、2点目が「母親・父親の「産後うつ」を防ぐために」というテーマです。配布資料のほうに、質問のポイントを載せていますので、適宜ご参照ください。

 それでは1点目の「誰ひとり置いてきぼりにしない教育を目指して」のうち、1つめの「教員の働き方について」から質問していきます。

(1)教員の働き方について
 西宮市で学ぶ子どもたちはみんな幸せになってほしい、幸せであってほしい。誰ひとりとして置いてきぼりにしてなるものか―。この想いは、教育長も教育委員会のみなさんも市長も、みんな同じ想いであると信じています。

 では、誰ひとり置いてきぼりにしない教育を実践していくためにはどうすればよいか?私は何よりもまず「教員のゆとり」が重要であると考えています。今はあまりにも先生方が忙しすぎます。実際に、2016年の文部科学省「教員勤務実態調査」で、時間外労働月80時間の過労死ラインで働いている教員が、中学校で57.7%、小学校で33.5%にのぼるということが明らかになりました。「子どもと過ごす時間も十分にとれない」「あしたの授業準備さえままならない」など、教育現場は今、悲痛な声であふれています。教員の労働環境は、子どもにとっての学習環境です。今こそ教員がしっかりと子どもと向き合い教育活動に専念できる抜本的な労働環境の改善−すなわち、先生が「先生」として働けるための環境づくりが、早急に求められています。

 このような教員の過酷な現状の改善策として政府は、2019年12月4日、「公立学校の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特例措置法」−いわゆる「給特法」と呼ばれるものですが、これを一部改正し、「1年単位の変形労働時間制」を教員にも導入することができるようにしました。「1年単位の変形労働時間制」とは、通常の勤務時間を延長し、かわりに夏休みなどの勤務時間を短くする仕組みです。たとえば、現在の教員の所定勤務時間は7時間45分ですが、授業のある期間はこれを10時間に延ばし、その分授業のない夏休みなどの勤務時間を減らし「休日のまとめ取り」ができるようにしようというものです。ところが、文科大臣自身が「この制度の導入によって教師の業務や勤務が縮減するわけではない」と明言している通り、この法改正は、教員の負担を分散するに過ぎず、日常における教員の労働環境の抜本的な改善になるものではありません。むしろ、この制度が導入されれば通常時は勤務時間がより長くなってしまうことになり、ただでさえ過酷な現場がより過酷になり、教育の質がさらに低下してしまうのではないかと危惧されています。
 このことを踏まえ、以下質問します。

 1点目、変形労働時間制の導入によって、教員の働き方が改善されるどころか、むしろ悪化する懸念があります。また、この制度の導入の前提条件は、「対象教員の時間外労働が月45時間以内、年360時間以内であること」となっています。しかし現状として、多くの教員がこれ以上の時間外労働をしており、導入の条件さえ満たしていない状態です。このような中でこの制度を導入することはできないと考えますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

 2点目、教員が子どもとしっかりと向き合い、授業準備の時間の確保など、教育の質の保障という観点から、教員の労働環境の抜本的な改善を行うこと−先生が「先生」として働ける環境づくり―がいま求められていますが、教育委員会としてどのような改善を行っていきますか?教えてください。

 3点目、教員に時間的にも精神的にも「ゆとり」をもたらしていくためには、何よりも「人」を増やしていく必要があります。今年度、新型コロナウイルス対応として、消毒や掃除、事務作業などを行うスクールサポートスタッフをすべての学校に1人ずつ配置するための予算措置が取られました。配置の現状はどうなっているでしょうか?そしてこの措置は今のところ今年度一杯(3月末まで)で終わることになっています。しかし、コロナの現状を見ても、教員の労働状況を見ても、今年度一杯で終わらせるわけにはいかないのではないでしょうか?引き続き来年度以降もスクールサポートスタッフを全校に配置する措置を求めたいと思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

(2)少人数学級について
 次に、少人数学級について伺います。まず、この少人数学級こそが、誰ひとり置いてきぼりにしない教育を実現するために欠かせないものであり、教員の働き方の抜本的な改善策であるということを述べておきたいと思います。

 さて、今年の6月議会において、私は20人程度の少人数学級の実現を求めました。そのときの教育委員会の答弁は「20人程度で授業を行う場合、仮設教室が増加し、望ましい教育環境が確保できなくなる。また、市独自で教員を採用する必要があるため、人件費の負担や人材確保といった極めて困難な問題が生じてくる。確かに感染症対策や子供たち一人一人への手厚い対応については、教科によっては一定の効果が期待できるが、一方では、多様な考えを持った児童生徒との日常的な関わりや授業における様々な意見交換の機会が減少するなどの問題もあり、これらを考え合わせると、市の取組として直ちに対応を進めていくことは難しいと考えている。」というものでした。

 ところがこの間、情勢は大きく動いています。少人数学級を求める声は全国から上がり続け、その実現を求める署名は現時点で18万筆を越えています。そしてそのような世論の高まりを受け、文部科学省は来年度の予算概算要求で、少人数学級の実現のための予算を事項要求として盛り込みました。さらに、萩生田文科大臣は11月13日の衆院文部科学委員会の答弁において「30人が望ましいと私は思う」「少人数学級の実現に向けて、不退転の決意で臨む」と述べました。まだ確実に来年度から少人数学級がスタートすると決まったわけではありませんが、政府が実現に向けて歩み始めたことは間違いありません。

 ここで伺います。このような政府の動き・情勢の動きを西宮市教育委員会はどのように受け止めておられるでしょうか?お聞かせください。

(3)不登校支援について
 最後に、不登校支援について伺います。資料1をご覧ください。近年の本市の不登校児童生徒数の推移ですが、その数は急増しています。小・中学生の合計で2017年が554人、2018年が816人、そして2019年が866人となっています。この状態を放っておくわけにはいかないと、本市の教育委員会は今年から「不登校対策庁内検討委員会」を設置し、改善のために力を尽くしてくれており、来年度には本市で3カ所目となる不登校児童生徒のための通級教室「あすなろ学級かわらぎ」が開設されます。また北部地域でも、週1日の2時間ではありますが、山口公民館・塩瀬公民館のそれぞれで「北部あすなろ教室」を試行実施しています。不登校児童生徒にとって、またその家庭にとっても、このような「居場所」があることは救いです。ところが、今はまだ来年度に開設する「かわらぎ」を含めても市内に5カ所しかないので、「本当は通いたいけれど、距離が遠くて通えない」という子どもたちがいることも事実です。
 ここで1点目の質問ですが、「北部あすなろ教室」のような公民館などを活用する「サテライト型の支援教室」を各地に増やしていくことはできないでしょうか?サテライト型だと、「あすなろ学級なるおきた」や「かわらぎ」のような大きな建物がなくても、「人」さえ確保できればすぐにでも実現可能だと思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

 ところで、不登校児童生徒の抱える問題は多種多様です。「集団」そのものが苦手で、「あすなろ学級」でさえ「集団」だから行きたくない・行けないという子どもたちもいます。つまり、「あすなろ学級」やサテライト型の「あすなろ教室」さえ整備しておけば不登校支援は十分という話ではなく、集団が苦手で家にひきこもりがちになっている子どもたちにもしっかりと支援の手を差し伸べていく―そのための支援メニューを揃えておく必要があると考えます。

 では実際にどうすればいいか。尼崎や伊丹・宝塚・吹田などの近隣他都市では、大学生を中心とした若者を、このようなひきこもりがちな不登校児童生徒宅へ派遣する家庭訪問事業を実施しています。この事業はとにかく「家族以外の人とコミュニケーションをとる」ということを目的にしており、決して勉強や外に出ること、ましてや「学校復帰」を強要するようなものではありません。主に「遊び」を通してコミュニケーションをとり、利用者自身が社会とのつながりを探っていく手助けをするものです。実際に実施自治体に聞き取り調査をしてみたところ、「外に出ることが難しい子どもの受け皿として必要な施策」「この事業を通じて実際に外に出られるようになった子もいれば、少数ではあるが学校復帰ができた子もいる」とのことで、実施する意味が強い施策であることが窺えました。

 そしてこの事業は利用者側だけでなく、サポートする側の大学生にとっても大きなメリットがあります。例えば福井市では福井大学と提携してこの事業を実施しており、この事業に参加した学生には単位認定までしています。特に教員などを目指す学生にとっては、学生時代に不登校児童生徒と関わり合いが持てることは大変貴重な経験であり、教師としての資質を向上させてくれることは間違いありません。そして西宮市には、関西学院大学や武庫川女子大学、大手前大学など多くの大学があるではないですか。
 ここで2点目の質問です。家族以外の人たちと接する機会の乏しい不登校児童生徒にとっても、サポートする側の学生にとっても大きなメリットがあるこの「家庭訪問事業」をやらない手はないと思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

 以上で壇上での質問を終え、これ以降のやり取りは対面式質問席にて行います。ご清聴ありがとうございました。