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ひぐち光冬の一般質問
2020年12月16日

母親・父親の「産後うつ」を防ぐために


 それでは次に大きな2点目の「母親・父親の「産後うつ」を防ぐために」の質問に移ります。1点目、「育児支援家庭訪問事業(ヘルパー派遣事業)について」です。

 大きな1点目の質問で「誰ひとり置いてきぼりにしない」という言葉を使いましたが、これは当然乳幼児期の子どもたちにも当てはまります。西宮市で育つ子どもたちが今もこれからも幸せであるためにはどうすればよいか―。行政として最大限悩み、そのためにできることは最大限実行していくことが求められます。当然児童虐待などあってはなりませんし、それを防ぐための手立てを尽くしていくことは何よりも重要です。

 では、実際に0〜18歳未満の児童虐待の実態はどうなっているのか。まず全国の児童虐待対応件数ですが、資料2に示した通り、2017年が13万3778件、2018年が15万9850件、2019年が19万3780件となっています。そして、西宮市の児童虐待対応件数ですが、同じく資料2に示した通り、2017年が645件、2018年が683件、2019年が1012件であり、全国と同様に大きく増加しています。このうち小学校入学前の乳幼児に対する虐待は半数近くにのぼると言われており、したがって2019年度は本市でおよそ400件〜500件の乳幼児に対する虐待があったと考えられます。この数字を聞いただけで胸が痛みますが、表に出てきている数字はあくまでも「氷山の一角」であると考えられ、実際に虐待で苦しんでいる子どもたちはもっと多いと思います。これを放っておいていいはずがないんです。虐待をゼロにする―というのは現実問題として難しいかもしれません。だけどだからと言って、手をこまねいていていいはずがありません。できることから少しずつでもやっていく。今回はそういう思いで、虐待の原因のひとつと言われている「産後うつ」に焦点を当てます。この「産後うつ」を防ぐことによって少しでも虐待を減らしていく−そのための取り組みについて取り上げたいと思います。

 では、「産後うつ」とは何か?出産後、泣き止まない赤ちゃんをあやしたり、夜も眠れず数時間おきに授乳したりと、特に初めての子育てを経験する母親にとっては、生活が一変し大きなストレスにさらされます。またさらに、産後すぐはホルモンバランスが急激に変化するため、精神の安定を崩しやすくうつ症状が出やすくなります。これが「産後うつ」です。今、この「産後うつ」が母親の10人に1人に発症すると言われており、さらに新型コロナウイルスの影響で状況は悪化しており、4人に1人に「産後うつ」の可能性があるという調査報告もあります。これをなんとかしていかなきゃいけないわけですが、本市では、田中まさたけ議員が一般質問で取り上げておりましたが、地域保健課所管の「産後ケア事業」が行われています。そしてそれに加えて、一色議員が取り上げておりました子供家庭支援課所管の「育児支援家庭訪問事業(以下、ヘルパー派遣事業と言います)」が行われています。この2つの支援が「産後うつ」防止に非常に重要な役割を果たしていると思われるわけですが、今回私は後者の「ヘルパー派遣事業」に焦点を当て質問をしていきます。

 本市のヘルパー派遣事業は2007年に開始されており、今年で14年目です。市はこの事業を西宮市社会福祉事業団に委託しています。本市のヘルパー派遣事業は3種類あり、「産前ヘルパー」・「産後ヘルパー」・「育児支援ヘルパー」に分けられます。基本的には周りに助けてくれる人が誰もいない家庭が対象になるわけですが、資料3に示した通り、それぞれ利用条件があり、「産前ヘルパー」は切迫早産などの医師の診断書がある家庭、「産後ヘルパー」は産後8週間までの家庭、「育児支援ヘルパー」は産後おおむね1年以内で子育てに対して強い不安や孤立感を抱える家庭など、となっています。依頼を受けた社会福祉事業団のヘルパーさんがそれぞれの家庭に入り、掃除・洗濯などの家事支援や、おむつ交換などの育児支援を行います。子ども1人当たり20回まで利用可能となっており、最初の5回は無料で利用できます。6回目以降は収入によりますが、1回あたり最大で900円です。

 このように現状でもかなり手厚い支援が行われており、実際に利用者アンケートを見ると、満足度も高いです。このような支援体制があるだけで本当にありがたいですし、この支援のおかげで救われている人もたくさんいるだろうなぁと思うわけですが、ただ、残念ながら現状では「産後うつを防ぐ」という観点が抜け落ちてしまっているのではと思われます。この点を加味していただくだけで、この支援は断然よくなり、さらに救われる家庭が増えていきます。ひいては児童虐待の減少にもつながると考えられるので、ぜひともこれは実行していただきたいと思い、以下、具体的に質問していきます。

 1点目、資料4をご覧ください。2019年度の「産前ヘルパー」・「産後ヘルパー」・「育児支援ヘルパー」それぞれの利用世帯数を載せました。「産前ヘルパー」が5世帯、「産後ヘルパー」が122世帯、そして「育児支援ヘルパー」が37世帯となっています。前段で述べた通り、今は10人に1人の母親が「産後うつ」になると言われています。コロナ禍でそのリスクはさらに高まり今年は4人に1人とも言われています。西宮市の出生数が毎年約4000人程度ですから、単純計算で、そのうちの400人〜1000人の母親が「産後うつ」になってしまっている可能性があるわけです。このことから、本当は支援を必要としている家庭に支援が十分に行き届いていないと考えられますが、市はこの現状をどのように捉え、どのように改善していくつもりかお聞かせください。

 続いて2点目ですが、「産後うつ」に対応していこうと思えば、当然ヘルパーの「質」も問われてきます。現状では社会福祉事業団のヘルパーさんが対応しているわけですが、社会福祉事業団はもともと介護や障害福祉の専門であり、産前産後ケアに習熟しているわけではありません。このような中で、産前産後のお母さんの心身の状態を理解できていないヘルパーさんが派遣されてしまうこともあり、実際に利用者から「不用意な言葉をかけられ逆に傷つけられてしまった…」という不満の声も上がっています。サポートするはずのヘルパーさんが利用者を傷つけてしまっては元も子もありません。このような現状をなくすため、産前産後ケアの研修を強化するなど、産前産後ケアに習熟したヘルパーを派遣できる体制づくりを進めていく必要があると考えますが、市の見解をお聞かせください。

(2)父親の「産後うつ」支援事業について
 次に、少し視点を変え、‟父親“の「産後うつ」について取り上げたいと思います。実はこの「産後うつ」、母親だけでなく、父親にも発症すると言われています。今年の8月に公表された国立成育医療研究センターの調査によると、子どもが生まれて1年未満に精神的な不調を感じる父親の割合は11%だったとのことです。つまり、母親とほぼ同水準で父親も「産後うつ」になってしまっている可能性があるということです。
 国立成育医療研究センターの竹原室長は、「夫婦のどちらかがメンタルヘルスの不調になると、もう一方も不調に陥る可能性が高くなる傾向がある。夫婦が同時期に不調となると、養育環境も著しく悪化しやすくなることが懸念される。そういう危機的な状況を防ぐためにも母子だけでなく、父親も支援対象とみなければならない」と、父親への支援の必要性を訴えています。

 このような現状があることを受け、厚生労働省は来年度(2021年度)の予算案に「出産・子育てに関して悩む父親支援のため、ピアサポート支援や、産後うつ対応を行うカウンセラー配置に係る支援の補助」を盛り込み、このような支援を実施する自治体に費用の2分の1を補助するとしています。ピアサポートとは、同じような経験を持つ人同士で支え合うことで、つまり、父親のピアサポートとはお父さん同士で悩みを打ち明け合う交流をしたり、先輩お父さんに相談にのってもらったりすることを指します。このような‟場づくり“を積極的に進めていくことが今、各自治体に求められているのです。

 ここで質問です。
 まず、本市ですでに取り組まれている「父親支援」の現状とそれをどう評価しているのかを聞かせてください。そして、今後厚労省の補助を活用するなどして支援を強化していくつもりはないか教えてください。

 以上、よろしくお願いいたします。