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2013年度予算要望書
2012年8月30日

政策局

  1. 「地域主権改革」では、「国と地方の役割分担」と称して、国の役割を外交・防衛などに限定し、身近な福祉や教育、社会保障は地方で担うとし、国の社会保障に対する責任を放棄しようしている。また、「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」「国の出先機関の原則廃止」「ひも付き補助金の一括交付金化」など、どれもが「地域主権」の名のもと、一括して地方に丸投げしようとするものである。
    これらは、市行政に重大な影響を与えるが、市として大切にすべきは憲法と地方自治法の精神である「住民福祉」の増進である。その立場に立った行政運営を行うこと。
  2. 市は「限られた経営資源を最大限に活用し、市民満足度の高い行政経営をおこなう」という理念に基づくとして民営化や、指定管理者制度、PFI、民間委託などの手法を導入してきたが、様々な弊害が生まれている。
    1. これ以上民営化等を進めず、市の責任を果たすこと。
    2. 大阪府泉南市や埼玉県ふじみ野市での指定管理者のもとでの死亡事故では、発注者である市の監督責任が厳しく問われている。市は指定管理者制度においてチェック機能を高めたモニタリングをおこなうとしているが、民間委託も含め、良質な公共サービスが提供されるよう、しっかり管理監督義務を果たすこと。
    3. その際にはいわゆる「官製ワーキングプア」を生み出さないという観点も必要である。公契約条例制定をはじめ「官製ワーキングプア」を生まない仕組みをつくること。
    4. 「市場化テスト法」が成立し全国に広がっていが、公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は今後とも導入しないこと。
  3. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざそうとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものである。
    市では、甲子園9番町市営住宅建て替えや中学校普通教室へのエアコン設置などでPFIを導入しているが、地元中小業者から「仕事が来ない」などの声が聞かれる。また、これまで10億円以上の工事でPFI導入可能性調査を義務付けてきたが、これには市職員の膨大な時間と事務量がかかっている。このほどこれを20億円以上に修正するなど見直されたが、この際、PFIの導入はやめること。
  4. 市は、市民及び専門家の目線を加え、透明性を高めた事業点検を行うとした「西宮方式の事業仕分け」を2011年度はモデル実施し、2012年もひきつづき実施した。実施のために市の業務量の増大が伴うが、それに相応する成果が上がっているとは言い難い。「事業仕分け」は実施しないこと。
  5. 2009年3月に策定された10年間の「第4次西宮市総合計画」は、中間年度の2013年度に見直しを行なうこととし、2012年7月には見直しにあたっての基本的な考え方が示された。すなわち、人口フレーム、財政フレームについて実績値をもとに見直しこれらを反映させる一方、新たなまちづくりの課題として、(1)東日本大震災を踏まえた新たな防災・減災対策の策定やエネルギー政策の見直し、(2)アサヒビール西宮工場閉鎖後の跡地と周辺のまちづくり、(3)公共施設マネジメントへの対応を盛り込むとしている。
    見直しにあたっては、5年間の計画残期間に取り組む事業・施策を具体的に明らかにすべきである。また、議会に対し随時報告しながら、市民に対してもパブリックコメントや地域説明会などをおこなうとしているが、その意見についてはよく聞き、反映させること。
  6. アサヒビール西宮工場が2012年8月、操業停止した。2014年度をめどに市は約半分の土地を一括購入し、中央病院など公共施設に活用、残りの民有地については市にふさわしいまちづくりへと誘導、規制したいとしている。
    公共施設整備のうち、中央病院移転については先行し、他の西宮消防署、中央体育館の移転新築等は財政状況も見ながら計画するとのことだが、議会や市民の間でも賛否を含め様々な意見が交わされている。
    2013年度中には土地購入について具体化するとのことだが、議会や市民の意見要望も反映させた上で、不要な土地は購入しないこと。
    また、民間開発についても市がしっかり関与し、規制すること。
  7. 多くの市施設が建築から相当年が経過し、計画的な維持補修工事や建て替えなどが必要になる一方で、事業費の抑制も求められている。施設の長寿命化、機能再編、利用の効率化をはかり、改修等での財政負担も平準化しようとする全庁的な「公共施設全体の最適化」―公共施設マネジメントにとりくまれている。
    2012年9月には基本方針を示し、以降具体的な計画を検討するとしているが、その際には、各所管局や住民・利用者の意見を十分聞き、特に、公民館や市民館等の施設再編(統廃合)は強行しないこと。
  8. 東日本大震災を契機に、被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。以下の項目を国に要望すること。
    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。抜本的引き上げをおこなうこと。
    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。