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2013年度予算要望書
2012年8月30日

都市局

  1. 東日本大震災から二年目を迎えたが、あらためて災害の恐ろしさと備えの必要性が認識され、どんな災害が来ても被害を最小限に抑える防災・減災の街づくりが求められている。街づくりにあたっては、あらゆる建築物への耐震化を早急にすすめるとともに、津波避難場所の拡充や災害時の避難路などの確保を計画的に行うこと。
    また、文教住宅都市や環境学習都市としての特性をふまえ、豊かな自然環境や住環境を実感できるまちづくりをおこなうこと。
  2. この間、西宮市は児童急増対策として、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」や「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとってきたとしているが、効果がなく後退している地域すらある。
    政府が今後行なうとしている少人数学級が進められれば、教室不足はさらに深刻となる。その抜本的対策をはかるために以下のことに取り組むこと。
    1. 早急に教育委員会と連携し、義務教育全期間の30人から35人学級に対応できるよう、マンション開発などを規制する「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を条例にすること。また、教室不足だけに着目せずに、保育所や福祉施設なども視野に入れたまちづくりという視点に立った条例にすること。
    2. 建て替えをした学校地域においては、教室不足が解消されたとして要項の緩和が行われているが、逆に開発が進みつつある。市全域を「準受け入れ困難地区」以上に規制すること。
    3. 一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供を求めるとともに、開発によって市に整備が求められる教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。
  3. 開発指導について
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)に基づく事業者による住民協議に対して、昨年マニュアル作りをしているが、引き続き市として市民の立場に立った指導を徹底すること。
    2. 開発区域への進入路が6m未満の場合の開発が条例で規制されたが、わずかな戸数制限にしかつながらず不十分である。条例をさらに見直し、開発を認めないよう誘導すること。
    3. 500u未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらし、結果的に500u以上の開発を行うなどの「開発のがれ」の事例がある。1昨年10月に開発条例の規則改正が行われたが開発業者の思惑から必ずしも規制につながっていない面がある。全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど、さらなる対応策を早急にたてること。
    4. マンション開発などにあたっては、業者に対して災害時に一時的に活用できるような機能をそなえた構造を推奨し、防災型へと誘導していくこと。
  4. 生産緑地は都市部での緑地の保全だけでなく、災害時の避難場所等の多面的役割を果たしている。この間、相続税を払えないなどの理由で生産緑地の解除が年々進んでいる。一度こわした農地を元に戻すのは大変であるとともに、緑地の減少にもつながる。生産緑地の保全を営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、生産緑地拡大にむけて基準面積縮小などの手立てを取ること。
  5. 名神湾岸連絡線について県は2012年度に調査費を計上し、国に対する計画の具体化を求める要望書には西宮市も名を連ねている。不要不急の公共事業であるととともに環境悪化につながりかねない。県に対してきっぱりと反対の立場を表明すること。
  6. 阪急武庫川駅については2012年度に調査費が計上された。新設となれば多大な市の負担が生じることから、検討については慎重に進めること。
  7. JR甲子園口駅北側は、歩行者、自転車、バスが交錯し、大変危険な場所である。ロータリーの改善策などを講じること。
  8. 阪神甲子園駅以東で連続立体交差事業が進められている。工事中は踏切横断距離が長くなり、安全確保のためにガードマンの配置がされているが、十分に安全を確保すること。
  9. 阪神甲子園駅のバリアフリー駅舎改築及び駅周辺整備については昨年秋から着工されているが、阪神電鉄(株)任せではなく十分地元の意見を聞いて進めるよう市として責任をもって関与すること。
  10. JR西宮名塩駅の改札口までに下りエスカレーターを設置するよう、引き続き関係機関にはたらきかけること。
  11. 阪神久寿川駅については早期にバリアフリー化をすすめること。
  12. 市民生活を支援するためにも、公共交通の充実をはかることが求められているが、遅々として進んでいない。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目にとりくむこと。
    1. バス会社との協議で新たなバス路線や運行経路の変更などが行われている。今後も住民要望に基づく路線開拓に努めること。
    2. 北部の住宅開発地区では高低差があることと合わせ高齢化が進んでいる。この間、塩瀬地区で順次交通実態調査が行われた。生瀬地区では住民によるボランティアバスが運行され、今後、他の形態も含めた実験的運行についての検討も進められている。地域住民まかせではなく市が主体性をもってコミュニティバス運行等を進めること。
    3. 南北バス(さくらやまなみバス)については導入時の経過から2015年度までの運行は約束されているが、その後の方向性については2012年度中に示されることになっている。バス会社の採算にかかわらず、市が責任をもって運行を継続すること。
    4. 交通不便地域については、それぞれの地域でのニーズや課題を深める努力が不十分である。交通不便地域対策の予算を増額して公共交通政策に生かすこと。
  13. 西宮市の南部と北部を結ぶ盤滝トンネルは、住民の要望や議会の取り組みを経て3年前倒しの無料化の方向が示された。しかし、それまでに全国でも前例のない大規模改修を行うことになっており、無料化をさらに早めるための阻害要因となっている。
    また、「無料化にあたっては損失補填引当金の活用ができる」という国の見解が明らかになっているにもかかわらず、今回活用することになっていない。兵庫県道路公社との協議においては、さらなる前倒しに向け、あらゆる可能性を追求すること。
  14. UR(都市再生機構)による浜甲子園団地の建て替え事業が行なわれている。長期にわたる事業であり、まちづくりに対する市の主体性が求められる。以下の点に取り組むこと。
    1. さくら街に続き、なぎさ街が完成した。新たに特養ホームが設置され、戸建住宅も計画されている。今後の課題は、残る団地の建て替えとともに、幼稚園・保育所・集会施設、商業施設等の整備である。早期に整備計画が示されるよう都市再生機構と協議をすること。
    2. さくら街では、建物の不備、来客用駐車場不足、グラウンドの騒音など、多数の問題を抱えていたにもかかわらず、住民の要望、意見が取り入れられなかった。なぎさ街を含め、新たな建て替え団地については、住民の意見が反映されるようにすること。
    3. 戻り入居者は高齢者が多く、一定の配慮はされているものの、高くなった家賃負担は深刻である。家賃の引き下げを都市再生機構に求めること。
    4. 建て替え前の団地街は、道路・通路なども老朽化が進んでいる。大きな段差などは生活に支障がでないようURと協議の上、全体計画工事前であっても早めに補修などに取り組むこと。
  15. 市営住宅について
    1. 「地域主権改革」一括法による市営住宅の条例改正が日程にのぼってきている。その際、入居における収入基準を厳しくしないこと。
    2. 市は現在約9,600戸の市営住宅を1,000戸減らす内容の「西宮市営住宅整備・管理計画」を策定した。貧困と格差が広がり、不況が追い打ちをかけるなか、年々市営住宅への入居希望者は増大している。福祉的観点からも市営住宅統廃合計画は撤回し、市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。
    3. 市営住宅の管理について、現在、南部地域は非公募で都市整備公社を、北部地域は公募によって民間会社を指定管理者としているが、次期指定管理者の募集方針では、公募地域を増やす方向が示されている。これまでの民間指定管理者については、「法制面での対応が不十分で、関係行政機関との調整力も不足している」との評価されているとおり、入居者の様々な要求や相談に迅速かつ責任ある対応ができていない。指定管理者制度における総務省通達も踏まえ、個人情報の保護や福祉の観点等からも、現在の南部の都市整備公社の指定管理とあわせ、すべて直営に戻すよう検討すること。
    4. 空き家募集の際、多回数落選者優先制度を復活させること。
    5. 階段型市営住宅のエレベーター未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、エレベーターの電気代(年間、1機当たり約6万円)については、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。
    6. 一般住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いは一定改善されたが、まだ一部残されている。入居者が快適な日常が送れることが目的であることを踏まえ、市として明確な同一基準をつくり実施すること。
    7. 風呂の補修や入れ替えについては、入居時に自ら設置したケースや復興基金を活用して設置した場合は自己負担で行わなければならず、入居者の大きな負担となっている。風呂も標準仕様という観点に立ち、改修や入れ替えについては市の費用で行うなど早急に改善すること。
    8. 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させ、職員の滞納者については厳正に対処すること。
    9. 市営住宅の共益費徴収については住民間のトラブルのもととなっている。市が責任を持って徴収すること。
    10. 名義継承は配偶者に限るようにとの国の通知(指針・ガイドラインとして)があり、兵庫県がその方向での検討をはじめるとの報道がなされたが、これは低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き慎重に対応すること。
    11. 市営住宅団地自治会の運営費や駐車場管理費の問題をめぐるトラブルが多く発生している。市は適切な運用に責任をもって対応すること。
  16. 復興借り上げ住宅については、借り上げ契約期限が迫り住民に大きな不安を与えている。一般市営住宅と比べても借り上げ住宅については高齢化が進んでおり、住民アンケートでは住み替え困難との回答が多い。市はURへ返還する方針としているが、国は「工夫できることはないか、自治体と話をすることはできる」「国としても柔軟な対応を検討する」との立場を示している。国に対して買取りや借り上げ延長などについての支援を求め、返還方針を撤回し、買取りか借り上げ延長をおこない、住民が住み続けられるようにすること。
  17. 特定優良賃貸住宅制度は国が推進した施策であるが、国からの補助が減らされ、市の負担が増えている。20年間の期限までは補助を拡充し、国が責任を持つよう強く求めること。
  18. 青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者に対しては、市営住宅や特定賃貸住宅の空き家で対応しようとしているが、倍率が高いことや家賃が高いことなどから現実的対応とはいえない。市として、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。
  19. 県の耐震診断と耐震補強についての補助制度とともに、市の補助制度が上乗せされた。東日本大震災などにみられるように全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が求められている。個人住宅の耐震化を一層進めるため、さらに制度を拡充すること。
  20. 堀切町市営住宅跡地利用について、一部売却の方向には住民の合意がえられていない。早急に全体を公園として整備すること。また、堀切川沿いの市道の拡幅整備については住宅跡地利用と関係なく早急に整備を行うこと。