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新型コロナウイルス感染症対策についての緊急申し入れ(申し入れ:2021年1月27日、回答:2021年3月2日)
2021年03月02日

 各地の爆発的感染拡大で医療のひっ迫、崩壊が始まり、深刻さが増している。また陽性者が病院や宿泊療養施設に入れず自宅待機となり、死亡する事態まで起こっている。本市も例外ではない。
 全国11都府県に「緊急事態宣言」が発出されたが、政府のコロナ対応策は無為無策と言わざるを得ず、国民の不安をいっそう広げている。わが党国会議員団は、コロナによって深刻な不安と苦しみの中にある国民の命とくらしを守るため、1月8日、政府・与野党連絡協議会に「要望事項」を提出したが、党西宮議員団としても本市の対応について、以下、要望し申し入れる。

(1) 社会的検査等の抜本的強化と、医療機関・保健所への支援に全力をあげること
@この間、党議員団が繰り返し求めてきた社会的検査について市は、「課題は多いが検討する」としているが、進展が見えない。とりわけ重症化リスクの高い医療機関、高齢者施設等でひとたびクラスターが発生すると、対応が非常に困難になることはすでに本市でも経験していることである。よって、当該施設の職員・入所者に対する定期的なPCR検査は、急を要する課題である。
 世田谷区では、保健所への負荷をかけないよう、社会的検査の受付・実施・結果返送・陽性者の行動追跡まで、業務委託で実施している。また、保健所負担を増やさない方策として、各施設が民間機関を活用した「自主検査」を行い、その費用を負担する仕組みも考えられる。こうした事例の研究を含め、健康福祉局(保健所)任せにせず「検討」を進め、早急に実施すること。
(回 答)
本市においては、2020年9月より介護・障害福祉サービス等事業所において感染者等が発生した場合に、施設内での感染状況を速やかに把握することによって、サービス提供体制を維持するため、行政検査の範囲外とされた職員や利用者の検査費用を補助するPCR検査等受診支援事業を実施しております。当該事業は、検査受付から結果返送まで民間の検査機関と法人指導課が連携して行っているものです。
また、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に基づく、高齢者施設の従事者等の検査の徹底の要請を受け、2021年3月より希望する市内介護施設等従事者に一斉検査を順次実施予定としています。これらの行政検査やPCR検査等受診支援事業を活用し幅広く検査を実施することで、集団感染が発生しやすく、また感染した場合には重症化のリスクが高い高齢者施設等への検査体制を強化してまいります。実施にあたっては、保健所の業務負担の軽減が図れるよう取り組んでまいります。

A市内での感染動向や、県所管である医療体制等についての情報発信が不十分である。不安の中にある市民に、例えば感染経路の特徴や自宅待機者数などの正確で的確な情報が頻度よく伝わることは、大変重要な「支援」となる。これらの情報は保健所が主に有しているが、保健所任せにせず、全庁的な支援体制の中で適切な情報発信をおこなうこと。
(回 答)
市内感染動向の現状をお伝えできるよう、ホームページにおける表記方法について改定いたしました。今後も適切な情報発信に努めてまいります。

B感染が急拡大するにつれ、入院や宿泊療養施設入所の調整がなかなかつかず、自宅待機となる陽性者が増えている。急変の不安も常にあるため呼吸状態確認のためのパルスオキシメーターの貸与や必要な介護サービスの提供、食糧等日用必需品の支給など、一人ひとりの実情に応じた支援を行うこと。
(回 答)
 入院や宿泊療養の調整を引き続き迅速に行えるよう、県と連携を強化していますが、やむをえず自宅待機となった陽性患者に対しては、毎日の健康観察を行うとともに、必要に応じて往診や介護サービス等の提供ができるよう関係機関などに協力いただいています。また、パルスオキシメーターの貸出についても準備を進めております。今後も支援を続けてまいります。

C保健所、特に積極的疫学調査(感染追跡)や健康相談などを行う保健師等のご苦労に敬意を表するものであるが、医療機関と同様にひっ迫し、もはや限界ではないかと推測される。市当局では臨時的な人員強化に鋭意努力中と認識しているが、全力をあげること。また、これを今後の保健所体制の基盤とできるように、抜本的な定員増員に踏み切ること。
(回 答)
新型コロナウイルス感染症への対応については、保健所業務が増大する中、保健所と人事部局の間で情報交換を行っており、これまで来年度採用予定の保健師を前倒しで採用したほか、人員強化が必要となった場合には、兼務等を発令して保健所へ保健師や事務職等の配置を柔軟に行うなど、最優先に対応してまいりました。
今後も業務量に見合った人員配置に取り組むとともに、持続可能な体制の構築に努めてまいります。

Dワクチン接種の担当組織がたちあがり準備が始まっているが、16歳以上の市民を対象とする一大事業となる。いっそう体制強化を図り、実施の際には全庁的な支援を行うこと。
(回 答)
多くの市民を対象とする新型コロナワクチン接種を実施するにあたっては、膨大な業務量が発生するものと想定しています。そのため、2021年2月1日付で「新型コロナワクチン接種課」を新設するとともに、副市長をリーダーとするプロジェクトチームを設置し、体制強化を図ったところです。  
今後もワクチン接種事業を円滑に進めるため、全庁を挙げて取り組んでまいります。

E医療機関の疲弊とひっ迫は、医療崩壊、さらには医療壊滅とまでいわれているが、国に対し医療機関への減収補填や、従事者に対する支援金支給を求めること。併せて市独自で何らかの支援を行うこと。
(回 答)
新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関や従事者への支援については、国に対して要望してまいります。
また、本市独自の支援策として、既に帰国者・接触者外来を担う市内医療機関に対して支援金を交付しているところですが、今後も引き続き、国や各自治体の動向も注視しながら、状況に応じた支援を検討してまいります。

F東京都では数か所の公立・公的病院をコロナ専門病院とすることに踏み切った。本市市立中央病院もコロナ対応で役割を果たしているが、さらに病床増などに取り組めないか、検討すること。
(回 答)
 中央病院は、2020年3月の兵庫県下で第1例目となる新型コロナウイルス感染症陽性者の対応を行うなど、いわゆる感染流行期第1波以降、当該感染症に対し、公立病院としての役割を果たすべく国、兵庫県の要請に応え、陽性患者の受入、治療を行ってまいりました。
 しかしながら、いわゆる感染症法で義務付けられる換気設備、遮断施設または消毒設備等を備える感染症病床は有しておらず、現有する医療設備・資源を最大限に活かしながら感染症に対応しているのが現状です。また現在は、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症に係る予防接種への対応を検討しているところです。
中央病院は、今般の新型コロナウイルス感染症のみならず、2次救急を担う急性期病院であり、地域医療の中核を担う地域医療支援病院としてまた県指定がん診療連携拠点病院として市民の命と健康を守る役割を果たす義務があります。
今後も、公立病院として、地域医療の中核病院としての役割を担いながら、新型コロナウイルス感染症にも対応して参ります。

(2)経営と雇用を持続できる施策について
 1年以上に及ぶ自粛の中で、緊急事態宣言による時短要請を受けている飲食業にとどまらず、様々な産業分野で多大な経済的打撃が生じている。また、派遣やアルバイト、パートなど非正規で働く人たちが雇止めにあい、困窮に陥っている。なかでも女性が職を失い、DV被害に直面するなどして自殺が増えている。
 こうした事態を食い止めるのが政治の仕事であり、国において事業と雇用を守ることを大方針にすえ、補償と支援をおこなうべきである。本市でも以下の支援を行うこと。
@持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金の打ち切りは回避されたが、第2弾の実施や対象拡大を国に求めること。
(回 答)
持続化給付金や家賃支援給付金、雇用調整助成金は、一定の条件を満たせば給付されることから、コロナ禍において経営が苦しくなっている事業者にとって不可欠な支援策であったと認識しております。従って、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長引く場合には新たな支援策が必要となることから、国の動向を注視し、必要に応じて国県に対して要望等を行います。

A本市独自策の家賃支援策を対象も拡大し、再度実施すること。
(回 答)
市内で店舗を賃借する個人事業主に対し、賃料支援金を給付しましたが、その後には国が同様の趣旨で対象や給付額を拡大した「家賃支援給付金」制度を実施しました。したがって、市は現在のところ、家賃支援を目的とした給付金事業を予定しておりません。今後、事業者の経営状況と、国が実施する支援策に注視し、市が実施すべき支援策について検討します。

B生活困窮者・低所得者に新たな給付金制度の創設を国に求めるとともに、市独自でも支給すること。
(回 答)
 生活困窮者・低所得者への支援策については、県や市長会などを通じて国に対して要望を行っており、今後も引き続き、施策の改善策を含め、国県に対し要請してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金や国県補助金等の活用も図り、市独自での支援策や既存の新型コロナウイルス感染症対策関連事業の強化についても、必要に応じ検討を行ってまいります。

C生活困窮者・低所得者、外国人など困っている市民に対するワンストップ相談窓口をつくり、周知すること。また、「生活保護は権利」であることを徹底して広報し、必要な人がちゅうちょなく利用できるようにすること。
(回 答)
 本市では、生活困窮者自立支援制度に基づき、自立相談支援窓口を勤労会館2階に「ソーシャルスポット西宮よりそい」、総合福祉センター2階に「西宮市くらし相談センターつむぎ」を開設しております。当該窓口は、生活困窮者のワンストップ的な相談窓口としての役割を担っており、外国人の方からの相談に対しましても適宜応じております。
 また、“生活保護は権利”であることは、ホームページや「生活保護のしおり」に生活保護法第1条を掲載し、広報及び啓発を行い、窓口においても、誰もが生活保護を受給する可能性があり、国民の権利であることを説明しつつ、丁寧な対応に努めてまいります。

D第1波の際に貸し付けた緊急小口資金・生活福祉資金の返済時期が迫っている(据え置き期間12か月)。償還時に住民税非課税世帯等の償還は免除されることとなっているが、具体的な要件を早くつかみ周知するとともに、感染拡大がとまらないもとで、要件の拡大を国に求めること。
(回 答)
 緊急小口資金と総合支援資金(特例貸付)はともに、2021年1月8日以降に据置期間が終了し、2022年3月末日以前に償還が始まる貸付について、2022年3月末日まで据置期間が延長されることとなっております。対象となる借受人宛には、兵庫県社会福祉協議会からの文書送付により、据置期間の延長をご案内いたします。また、兵庫県社会福祉協議会ホームページ等でも制度の周知を図ってまいります。
 償還免除に関しましては、厚生労働大臣宛に全社協・各都道府県社協会長連名で要望書を提出しております。緊急小口資金の償還免除要件に関しては、2021年度又は2022年度において、借受人及び世帯主の住民税が非課税である場合に全額一括免除することとされたところですが、それ以外の要件については現在のところ決まっておりません。また、総合支援資金の償還免除の要件についても、兵庫県社会福祉協議会をはじめ複数の都道府県社協から、一括の償還免除を求めているところです。今後とも情報収集に努め、制度変更に速やかに対応してまいります。