野口あけみの代表質問/* --項目挿入-- */?>
2021年03月01日
行政経営改革のうち市役所のICT化やデジタル化 について施政方針では「市としてデジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXを推進するため、「(仮称)西宮市DX推進指針」を策定し、市民サービスの向上、市の業務効率化、さらには地域の活性化に向けて、行政手続きのオンライン化をはじめ、市役所のICT化やデジタル化を、スピード感を持って進める」としています。 多くの市民が聞きなれない「デジタル‐トランスフォーメーション」とは、IT(情報技術)が社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革とのことです。 日本人に向けてもう少しわかりやすくDXを説明したものとして、経済産業省が2018年12月にまとめた「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」における定義があります。それによれば、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。それによって企業として安定した収益を得られるような仕組みをつくること」とありました。こうした変革を、ビジネス分野にとどめず、自治体行政分野にまで、もたらそうというのです。 これまで「スマート自治体」などと呼んでいたものが、今後はこの「自治体デジタルトランスフォーメーション」「自治体DX」などと称されるようです。 デジタル化を看板政策とする菅政権のもと、昨年2020年12月25日、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」「デジタル・ガバメント実行計画」が閣議決定されました。また、同日、総務省が「自治体DX推進計画」を策定しました。 この自治体DX推進計画では、次のように言われています。 「ビジョンの実現のためには、自治体、とりわけ市区町村の役割は極めて重要だ」……これは、市区町村こそが、全市民の基礎データ、個人情報の宝庫であり、かつ土地やインフラなどの基幹的データを保有しているからにほかなりません。 また、「データが価値創造の源泉であることについて認識を共有し、… 多様な主体によるデータの円滑な流通を促進する … 多様な主体との連携により民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値等を創出する」などとも記述されています。 これらは、こう解釈できるのではないでしょうか。「自治体が保有する貴重なデータ」は新たな価値を生み出せる、それを多様な主体=民間企業も含めて活用し、新たな価値=儲けが上がるようにしよう。 そして、これらの具体化として、2月9日、国会に、デジタル庁の設置法案など「デジタル改革」関連法案が提案されています。大きく6本の法案で、600ページにおよぶ膨大なものです。自治体の情報システムを標準化・共通化するなどの「地方公共団体情報システム標準化法案」や、データを利活用しやすくするため、自治体の個人情報保護制度を法律で統一化・平準化する、当面の中心としてマイナンバーカードの普及促進など、地方自治体に直接かかわる内容も多く含まれています。 コロナ対策として政府が用意した「特別定額給付金オンライン申請」「COCOA」「HER-SYS」などのIT活用はどれも失敗し、平井デジタル改革大臣は「デジタル敗戦」と呼んだそうですが、日本における、いわゆる「デジタル政府」への国民の信頼や評価は、もともと極めて低いといわなければなりません。そこに、コロナに便乗し、遅れを一気呵成に挽回しようとするかのような、このたびのデジタル関連法の提案です。 自由法曹団事務局次長の大住広太弁護士は、「デジタル化による利便性向上という表向きの目的の背後に、政府による個人の監視や企業によるデータの利活用という裏の目的が入り込んでいる。データの利活用を進める前に、自己情報コントロール権など情報主体としての個人の権利を確立することのほうが先ではないか」と語っておられます。まったく同感です。 個人情報を、特定企業の儲けのために活用して、プライバシー保護をないがしろにするような動きは許すわけにはいきません。プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権です。 デジタル化は社会発展の当然の方向ですが、このデジタル化をどう民主的に管理し、民主主義の発展にどう生かすか、基本的人権をどう守るかが問われています。自治体でデジタル化を進めるにあたっても、自治の精神からしっかりと「住民の福祉の増進」に役立てることを基本に据えるべきです。 質問 1、「地方公共団体情報システム標準化法案」における自治体の情報システムの標準化・共通化について聞く。カスタマイズ(仕様変更)ができないのではなどの懸念があるが、そのメリット、デメリットをどう考えているか。 2、「(仮称)西宮市DX推進指針」を策定しようとしているが、計画ではなく指針となっている。その意義や目的は 3、障害者や高齢者はなかなかICTを使いこなせません。また、経済的理由でIT機器の使用が困難な条件や環境にあることもあります。こうしたことで生じる格差を「デジタル・デバイト」というそうですが、これはそう簡単には解消できません。行政手続きのオンライン化では、経費削減や効率化を追求していった結果、紙や窓口を利用した手続きが廃止され、市民の利便性がないがしろにされかねません。 災害やシステムトラブルを考えても、職員が対応できる体制は当然確保すべきです。例外といった扱いではなく、当然の手続きとして紙や窓口を利用した申請を継続することについて、どう考えていますか。 |