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野口あけみの代表質問
2021年03月01日

子育て支援策について


ア、乳幼児医療等・こども医療費助成制度の見直しについて
 健康保険適用分の自己負担額=窓口支払い分を公費で負担する医療費助成制度は、当初から県と市の共同事業として、1971年(昭和46年)10月から75歳以上高齢者を対象に発足しました。さらに2年後の1973年8月から乳児、障害者、母子の医療費について制度化されました。
 対象がどんどん縮小されてきた高齢者とは違い、乳幼児等・こども医療助成制度は時間をかけながらも対象年齢が拡大され続けてきましたが、所得制限や一部負担金の導入など、紆余曲折をへて、現行制度となっています。この対象年齢の拡大など制度の拡充は、市民、国民の大きな世論があったからに他なりません。私たち党議員団もその実現のために尽力してきました。

 さて、現行制度は、資料の通りです。0歳は親の所得にかかわりなく、すべての子どもが通院も入院も完全無料。1歳から就学前までは全員が助成制度の対象ですが、所得基準額以上の世帯の子どもは、一部負担金あり、基準所得未満の世帯では完全無料。小1から中3までは所得基準額以上の世帯の子どもは助成なしの3割負担。基準所得額未満では、完全無料です。
 2009年(平成21年)4月から、この制度の対象が、それまでの「小学3年生まで」から「中学3年生」までに拡大され、県下でも先進的なものとなりました。当初から制度には所得制限があり、かつ給付が入院のみ、償還払いなどで受給は6割程度の子どもたちでしたが、翌年に通院まで拡大されたことにより申請が増え、対象年齢の75%の子どもたちが受給できるようになりました。
 その後、親の所得にかかわらずどの子も等しく医療費助成が受けられるべきと、所得制限の撤廃も市民の声となり、2015年(H27年)7月から就学前児童まで所得制限なしで適用されるようになりました。そして、この度の新年度予算で、ようやく小学3年生まで、約5,200人を対象に加える見直し提案がなされているところです。
 しかし、いつまで所得制限を設け、一部の子どもたちを対象外とするのでしょうか。県の制度が、2010年に所得制限はあるものの中学3年生までの制度となり、一定程度経費も抑えられています。所得制限を撤廃する自治体が増え、2019年度末、県下では41市町中17市町が所得制限なし、通院入院いずれかが所得制限なしも2市となっています。また、高校卒業までを対象とする自治体も通院入院ともが2市町、入院のみ実施が4市生まれています。
 全国の自治体で言えば、やはり2019年度末で、中学卒業まで以上を対象にしている市区町村は1741中1585で、91%。所得制限なしは1492、85%となっています。

質問
1、この度の所得制限の対象緩和=小学1年生から小学3年生までの全児童を制度の対象とする提案は評価しますが、なお、対象外となる小4から中3までの児童生徒は何人、対象年齢児童生徒の何%か。また、乳幼児等・こども医療助成制度全体(0歳から中3まで)では、何%か。
2、市長の選挙公約は、「所得制限の見直し」としていました。先に述べたように県内でも全国でも所得制限なしで中学3年生まで実施している自治体は大きく広がっている下で、なぜ、小出しにするのか。思い切って撤廃すべきでした。2022年度予算は、市長は提案はできるものの4月に選挙があり、執行できるかは不明です。この2021年度新年度予算こそチャンスだったのではないですか。小学3年生までとした理由をお聞きします。

イ、「こどもの貧困」対策について
 子どもの6人に1人、ひとり親家庭では2人に1人が相対的貧困の中にあると、「こどもの貧困」に社会的関心が高まったのは、2008年ごろからです。そして2013年「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、2014年8月には「子どもの貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。
 しかし、次のような問題点も指摘されてきました。@生活保護世帯の子どもの高校等進学率・同退学率・大学等進学率、ひとり親家庭の親の就業率・ひとり親世帯の貧困率、子どもの貧困率などの「子どもの貧困に関する指標」について、達成目標が明記されていないこと、A税源の保障がないこと、B学習支援・就労支援など自立支援が中心で、経済的困窮に直接手を差し伸べる施策が不十分であること、などです。
 こどもの貧困対策の成否は、子どものニーズにきめ細かく対応できる立場にある地方自治体の力にかかっているともいわれています。国が力を入れる学習支援だけでなく、子どもの居場所づくりなど地域の実情に応じた対策、それが可能な財源措置を国に求めていくことも必要です。
 本市では、2016年に子どもの貧困にかかる調査を実施し、2017年に「こどもの貧困」対策チームや担当係長が置かれ、2018年には、「西宮市子ども・子育て支援プラン」の一部として、「こどもの貧困対策計画」が策定されました。私は、2015年9月議会で一般質問し、調査や計画策定を求め、その後も2回取り上げてきましたが、今回改めて、計画策定から2年での取り組みの進み具合、進捗状況を聞き取りました。少しづつ前進していることを確認しました。
 貧困はすぐに忘れ去られ、過去のものにされてしまいます。その解決は簡単なことではありませんが、なくそうと思う人を増やすことが遠回りのようで実は大切であると、「こどもの貧困」研究者や実践者が述べておられます。そうした観点から質問します。

質問
1、新年度予算では、拡充施策として生活困窮世帯対象学習支援事業とひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業の一体的実施が提案されています。詳細をお聞きします。

2、コロナの下、女性の困窮が社会問題となっています。わが党の佐藤議員が一般質問で取り上げますが、私からは、こどもの貧困対策の視点から、ひとり親家庭について2点、質問します。
 今、全国で、学生を主な対象とした食糧支援ボランティア活動が話題になっています。テレビニュースでも取り上げられていますが、お米や缶詰、レトルト食品など保存可能な食材を市民や事業者の協力を得て集め、ビラやSNSなどで告知し、困窮している学生さんに配布する活動です。若い人たちの手で取り組まれていますが、市内でも関学生などを対象に数回行われており、私も一部見聞きしました。そこでは、「バイトのシフトが削られた」「バイトがない」「オンライン授業ばかりで友達ができない」などの声とともに「SNSを見て電車を乗り継いできたが、本当に助かった」などの声が寄せられていました。
 もちろんすぐにも直接的な支援が必要なのは学生だけではありません。コロナでの失業者や仕事が減った非正規労働者、女性などにも、首都圏を中心に2009年ごろの「年越し派遣村」のような相談会や支援物資の配布活動などが行われています。

 先ほど申しあげたとおり、ひとり親家庭はその半数が相対的貧困状態にある、と調査からもわかっています。このコロナの下で、より深刻になっているのではないでしょうか。
そこで、
@対象がはっきりしているひとり親家庭からでも、生活実態や不安や悩みをつかみ、すみやかに必要な支援を行う必要があると思います。現時点で、実態把握のため何かしたか。今後すべきだがどうか
A施政方針で市長は、「市役所が、職員だけで仕事をするのではなく、市民や企業、地域団体などとの連携を通じて、よりよいまちを共につくっていく」「OPEN」を志向するんだと語られました。子ども食堂の運営に補助する仕組みがコロナを機にできましたが、さらに進めて、例えばひとり親世帯に対し、食糧支援などを民間団体と共同でおこなってはどうか。または、そうした団体と連携を進めてはどうか。

 以上で壇上からの質問は終え、ご答弁ののちに対面式質問席から再質問、意見要望を述べます。ご清聴ありがとうございました。