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2021年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:環境局
2020年08月31日


  1. 地球温暖化抑止のとりくみについて
    ここ数年、世界各地で地球温暖化の影響とみられる局地的豪雨などの異常気象が増え、日本国内でも頻発している。2020年の夏も40℃超えが各地で観測され、命の危険を招く事態となっている。地球温暖化対策は待ったなしの課題であり、世界第5位の温室効果ガス排出国である日本が、削減の国際的責任を果たすのは当然のことである。石井市長も議会答弁において「地球温暖化は世界的規模の問題であるが、行動を起こさねばならない強い危機感を持っている」と述べているように、一つ一つの自治体が本気になって取り組んでいかねばならない課題である。
    市として次のことにとりくむこと。
    (1)地球温暖化対策に積極的に取り組む意思を示すために、市としてまず「気候非常事態宣言」を行うこと。
    (2)地球温暖化抑止について本市は、「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画」(2019年〜29年度)を策定し、二酸化炭素排出の少ないまちをめざしてとりくんでいる。しかし、電力自由化によって電力消費量の把握が困難となっていることから、「省エネモニター事業」で市民の動向をつかんで目標を設定するとしている。この動向の把握を行い、排出量の多い民生家庭部門の中で計画を引き上げて取り組むこと。
    (3)市は市役所の温暖化ガス排出削減に取り組む「第三次西宮市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」の改定を2020年度に行うことにしている。市内で最も排出量の多い市役所部門で具体的目標をかかげ、こだわって目標を実現すること。
    (4)店舗の看板や店内照明および自動販売機については、過剰な電光の使用を抑制するようひきつづき指導すること。また、節電という意味からも、市庁舎内の自動販売機を減らすこと。

  2. 温室効果ガスを減らすためにも、電力における自然再生可能エネルギーの活用は欠かせない。
     日本は自然再生可能エネルギーの宝庫といわれており、特に太陽光発電パネルや地熱発電の日本の技術は諸外国で活用されている。
    自然再生可能エネルギーを増やすために、次のことに取り組むこと。
    (1)国や県に太陽光パネル設置に対する補助制度をなくしたが、まだまだ普及の可能性はあり、現在はベランダ発電なども開発されている。国民一人一人の取り組みが重要であることから、制度を復活させるよう国や県に求め、市も制度を復活すること。
    (2)市立中央体育館等、今後新増設される公共施設に太陽光パネルや蓄電池システムなどを大胆に計画し実行すること。
    (3)全国的に市民共同発電などが広がっている。研究を行い、立ち上げの時には市としてバックアップできる準備をしておくこと。
    (4)バリアフリー法で共有部分にも補助がでることになったマンションにも太陽光発電設置の助成を行うこと。
    (5)市は個人住宅用への蓄電池システムやエネファームの導入などへの補助制度を設けたが、さらに設置を増やすため補助金の増額をはかること。

  3. 日本で初めて環境学習都市宣言を行った本市では、環境学習サポートセンター、甲子園浜環境センター、甲山自然センターなどそれぞれが、環境学習の場としての役割を果たしているが、総合的に地球温暖化問題などの環境問題が学習できる場も必要である。佐用町にあるひょうご環境体験館などを参考に、県とも協議のうえ、学習の場の建設を検討すること。

  4. 石炭火力発電は世界の流れに逆行しているが、神戸製鋼所は灘区にある石炭火力発電所に新たに2基の増設を進めている。市は立地自治体ではなく意見を述べる立場にないと消極的であるが、開発で高塚山の森がなくなったことにより、大気の流れが変り西宮市にも大きな影響を及ぼす可能性がある。大気の流れに市境はないことから、稼働すれば温室効果ガスの大幅な排出にとどまらず、PM2.5による被害の可能性もある。市民の健康や環境を守るためにも、市として石炭火力発電所には反対すること。

  5. 国は「空き家対策特別措置法」を制定し、市も「西宮市空き家等対策計画」を策定している。市内で空き家は増えてきているが特定空き家はないと聞いている。国は現行法で対処できない事例もあることから、法改正を検討しているがまだ具体化されていない。市内の状況を十分把握した上で、条例化の検討も行うこと。

  6. 市と芦屋市とのごみ処理広域化の検討の中で、広域化においては大規模側にメリットが少なく、小規模側にメリットが大きいことが確認されている。また、これまでの話し合いでは芦屋市の中継拠点施設整備は芦屋市負担だったものが、1年以上のブランクの後に再開された検討会では両市の負担とするなど、芦屋市にとって都合のいい提案もなされている。
    もともと災害時などのことを考慮すると各自治体が自前の焼却施設を確保していることが望ましいことから、広域化はやめること。

  7. ごみ問題について以下のことに取り組むこと。
    (1)ゴミ収集の業者委託は、市内7割以上へと拡大してきた。災害時の対応や、民間への適切な指導上の必要があることからも、これ以上の民間委託は行わないこと。
    (2)市はこれまで無指定だったごみ袋について、ごみ減量につながることを理由に、数年後にゴミ指定袋制を導入するとしている。減量化のためには有料化が必要との意見もあるが、市民負担が増える有料化は絶対に行わないこと。
    (3)粗大ごみや家電4製品等の不法投棄が多い。特に、家電4製品の不法投棄を誘発する「家電リサイクル法」について、リサイクル料金等の製品価格への内部化を義務づけるよう国に求めること。また、引き続き監視カメラの設置や不法投棄のパトロールを強めること。
    (4)市は破砕選別施設の更新に合わせ、燃やさないごみの分別を行う方向を示している。市のビン類のリサイクル率は中核市の中でも著しく低くなっている。できるだけ細分化をした分別を行い、リサイクル率を高めること。
    (5)ごみ減量・再資源化を促進するうえでカギを握るのは事業系一般廃棄物や産業廃棄物である。この分野での再資源化を強化すること。
    (6)ゴミを荒らすカラス対策については他市の事例や市民の意見をよく聞いて実効性のある対策を検討すること。

  8. 食べられるのに捨てられる食品ロスが大きな問題となっている。未使用のこうした食品を持ち寄り、フードバンク協会などを通じて福祉団体や生活困窮者に届けるフードドライブの取り組みが広がっている。市内のスーパーなどと協力して取り組みを強めること。

  9. 海洋プラスチック問題は国際的に大きな問題となり、2050年には海の魚の量を超えるという研究もある。国は2020年7月1日からプラスチック製レジ袋の有料化を行ったが、レジ袋ごみはプラスチックごみの1.7%と言われており、化石燃料から作られるプラスチック全般を減らしていくことが求められている。以下のことに取り組むこと。
    (1)その他プラスチック製容器包装の分別収集については、当初の目標値から大幅に下回っている。まずは市民の意識向上のとりくみが必要である。そのためには、リサイクルの重要性とともに、詳細な分別方法等を周知し、回収の増加をはかること。
    (2)容器包装リサイクル法の対象外となっているプラスチックなどのリサイクルへ国も動き出している。その動向を注視しつつ、処理ルートや処理施設の確保の準備を進めておくこと。
    (3)市が設置している自動販売機については、ペットボトルを減らし、アルミ缶や紙コップへと、切り替えていくこと。

  10. 市は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」を目的としていた大阪国際空港周辺都市対策協議会に属し、環境・安全対策を求めてきたが、同協議会はジェット機の増便を求めるなど、利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調し、当初の目的から大きく変容している。大阪空港廃止を主張する大阪市は同協議会から脱退した。市も脱退すること。

  11. アスベスト(石綿)は、人体に重大な健康被害を与えるものだけに、一本たりとも飛散させてはならない。2019年、鹿児島市で大手ゼネコンがアスベストの含有を無届けのまま建物の解体工事を行い書類送検された事例も出ている。国は2020年6月に、建築物などの解体工事における石綿(アスベスト)排出などの抑制を図るため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」を公布し、一部の規定を除いて一年以内に施行する予定としており、その具体的な監視を行う自治体は対策に万全を期さなければならない。
    2028年にはアスベスト含有の建材を使った建物の解体のピークを迎えることから、担当部署の人数を増やし十分に監視監督ができるような体制を確立すること。また、国に対してそのために必要な財政措置を求めること。

  12. 西部工場の解体が行われることになっているが、アスベストの含有のみにとどまらず、地中などへの有害物質汚染も懸念されている。解体時には有害物質の綿密な調査を行うとともに、飛散防止などの対策を十分行うこと。

  13. 24時間営業の店舗や深夜営業のカラオケ店、また、焼肉等のにおいの強い飲食店など、騒音、臭気、光などの苦情が多い。「快適な市民生活の確保に関する条例」を実効ある内容に抜本的改正を行い、市民の要望にこたえられるようにすること。