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2021年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:都市局
2020年08月31日


  1. 開発指導について、以下のことを取り組むこと。
    (1)現行の「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」の手続きにおいては、開発事業概要書受付時に近隣住民との協議を行うよう義務付けし、大規模開発に伴う設計概要協議書受付後には、近隣住民との協議が義務づけられているが、住民の意見が反映されないまま開発が進んでいく実態が多い。大規模開発事業においては、さらに住民の意見が反映される仕組みを検討すること。
    (2)500u未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらすなど、結果的に500u以上の開発を行うなどの「開発のがれ」事例がまだある。全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど、対応策を早急にたてること。

  2. 池田町の卸売市場については、今回の整備は「容積適正配分型の地区計画」によって、35階マンションを建設するなど卸売市場を存続させるための苦肉の策ともいえるものである。今後は過大な開発とならないようにするとともに、景観などで調和のとれた整備をし、緑化にも十分配慮して進めること。
    また、市街地再開発で残らない、残れない人たちには、状況に応じて市営住宅などへ住み替えができるように市があっせんを行うこと。

  3. 旧耐震基準の住宅について、耐震性の簡易診断、あるいは設計や工事に対する補助制度があるが不十分である。市の補助金を増額するとともに、県や国にも増額を求めること。また、耐震診断や耐震工事に対し、他市でやっているような代理受領制度を本市も導入すること。

  4. UR(都市再生機構)による浜甲子園団地の建て替え事業において、戻り入居者は高齢者が多く、一定の配慮はされているものの高くなった家賃の負担は深刻である。家賃の引き下げをURに求めること。

  5. UR(都市再生機構)の家賃については、その公共的使命から機構法25条4項に「既定の家賃の支払いが困難なものには減免することができる」と規定されている。しかし、減免の基準が示されておらず、窓口なども不明確である。一部の障がい者はこれまで減免されたといわれているが詳細が分かっていない。URに対し、減免の基準を明確にすること、窓口の設置、さらに減免申請書の作成など、減免についての規則を設けることを市として働きかけること。

  6. 市営住宅について、次のことに取り組むこと
    (1)市は、「西宮市営住宅整備・管理計画」の中間見直しにおいて、市営住宅を2021年までに9,000戸にした上で、その後さらに第2次建替え計画完了時の2030年にはストックを全体として8,300戸にするとしている。また、その後の長期将来計画では7,000戸を目標とするという議会答弁もあった。貧困と格差が広がる中で住宅困窮者は今後さらに増えることが想定され、また、独居高齢者が民間住宅に申し込みをしても、断られるケースも増えている。福祉的観点からも市営住宅削減計画は撤回し、市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。
    (2)森下町では空き店舗を障がい者、高齢者使用のバリアフリー住宅に改修した。まだまた活用されていない市営住宅の空き店舗が多くあることから、同様の改修整備をすすめること。
    (3)市営住宅の管理については2018年度から一指定管理者で行うことになった。市営住宅は高齢単身者が多数を占め、福祉的な対応が求められることから、指定管理者では入居者の様々な要求や相談に迅速かつ責任ある対応ができない。したがって、市営住宅の管理は市直営に戻すこと。
    (4)市営住宅の申し込みでは、何回申し込んでも当選しないという声がある。空き家募集の際、多回数落選者優先制度を復活させること。
    (5)2020年度から、市営住宅の申し込みが年4回だったものが3回になり、市営住宅の住み替えを年2回から3回に増やした。こうした周知が市政ニュースなどで行われていない。変更する場合は市民に分かりやすく事前に周知すること。
    (6)階段型市営住宅へのエレベーター設置は、電気代等の共益費の新たな負担が生じることから、これまでの全戸の合意ができずなかなか進まない現状にあったが、4分の3の合意でできるように緩和する方向が市から示された。未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。
    (7)市営住宅の共用部分等の管理について、団地ごとに住民が希望すれば、市が共益費の徴収とその収支管理、共用部分等の管理を行うこととなったが、実施している団地は少ない。この背景には、指定管理者が行う共益費の試算が高すぎることへの不安がある。スムーズに管理が市へ移行していくように、条件を緩和するなど、引き続き市が責任を持って対応すること。また、市管理の住宅では、管理費の会計報告が行われていない住宅がある。指定管理者が住民に対して十分説明するよう指導すること。
    (8)家賃や共益費については、福祉的な観点からも、公平性の観点からも、改良住宅と一般市営住宅で統一するよう検討すること。また、市は入居者間で不公平感の解消を掲げているにもかかわらず、一般市営住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いも一部残されており、同一基準とすること。
    (9)改良住宅の空き家については一般市営住宅並み家賃で募集できるようになった。しかし、共益費については徴収せず、一般市営住宅との逆差別ともいえる状況を温存している。今後の建て替えを進める中で改良住宅の在り方を抜本的に整備すること。
    (10)名義の承継について、「配偶者に限るように」との国の通知(指針・ガイドライン)があるが、これは低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き、市の従来方針で慎重かつ柔軟に対応すること。
    (11)市営住宅内の空き駐車場については、議会から要望もあり時間貸しなどでの活用が何ヶ所かで行われている。地域要望も調査し、空き駐車場についてはさらに時間貸し駐車場にして活用すること。
    (12)市営住宅集会所については、高齢化によって閉鎖されるところが出たり、管理運営委員会が定める料金設定が外部利用も含めてばらばらであることから苦情がある。今後は市(指定管理者)が直接管理する支援制度が実施されたが、あわせて納得のいく料金体系に整理すること。

  7. 西宮市内は家賃が高く、青年や高齢者など低所得者が部屋を借りにくい現状がある。
    また、新型コロナウイルスの影響により、離職を余儀なくされたり仕事が減ったことにより収入源で家賃を払えないケースも出てくる可能性もある。家賃補助制度もあるが期間限定であることから、市として賃貸住宅家賃補助制度を創設すること。