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佐藤みち子の一般質問
2021年09月06日

障害児の通学支援について


 障害のある子どもさんを育てている市民団体の方から、6月22日、切実な話を聞きました。「特別支援学校に通学する子どもは通学バスがあるけれど、地域の学校の特別支援学級に通学する子どもは、一人で通学が困難な場合は保護者が付き添わなければならず、保護者の体調が良くないときは、学校を休ませている。保護者が付き添うことは当たり前だと諦めていたが、市民団体でアンケートを実施したところ、支援を望む声が多くあり制度として導入できないか」ということでした。この要望を5月28日に市長と教育委員会あてに出されています。

 このアンケートに回答を寄せた総数109人の内、94人が登下校時に保護者が付き添っています。また、保護者が体調不良時は38人が学校を休ませていると回答しています。

 自由記述欄には50人がコメントを寄せています。その中のいくつかを紹介します。

・フルタイムで働いている親には登下校について行くのは難しい。そこをケアする人員配置をしてほしい。
・きょうだい児が小さい頃、体調を崩した時の登下校の際には、車で体調が悪いきょうだい児も連れて登下校しないといけなくて大変だった。
・今後、保護者が体調不良になった場合、通学の付き添いを頼める人が身近にいないため不安である。

 このことから毎日の登下校の付き添いが保護者にとっては大変な負担になっていることがわかります。

 さらに、アンケートで私が気になったことは、就労したいが、登下校の付き添いがあるので諦めていることです。現に、登下校に付き添っているのは、圧倒的に母親です。今や共働き世帯が多くなり、出産をしても女性が働き続けることが当たり前になってきています。しかし、障がいのある子どもは家族、特に母親がケアをすることが、日本では何年も前から続いています。果たして、それでいいのか。女性にとって働いて賃金を得ることは、自己実現以外にも、配偶者と対等な関係でいられることや自分自身の財産や年金の確保など、とても重要なことです。一方、不況の影響もあり、生活費や兄弟の学費、ケアにかかる費用を夫の稼ぎだけでは支えられない家庭も多くあります。子どもの障害の有無というのは、非常に偶発的な事象です。そのことによって、母親の人生や家庭の生活が大変になるリスクにさらされるというのはあってはなりません。
 子どもの登下校の問題は、本来なら、就労している、いないに関係なく、保護者が付き添うのではなく社会が支えるのが当たり前だと思います。

 さて、本市は、障害者総合支援法による障害児の移動支援事業を実施しています。しかし、この事業は、通学に使うことはできません。その理由は、移動支援事業は、余暇活動等社会参加のための外出であり、通勤や通所施設、保育所及び学校等への送迎は、通年かつ長期にわたる外出に該当するためだからです。納得しがたいですが、現状では、そのような解釈になっています。唯一、保護者があらかじめ入院するなど、一定期間、保護者による送迎ができない場合等は利用が可能とされています。しかし、突然の病気やケガ等には対応できません。

 午前中のわが党野口議員の質問で、障害者権利条約は、締約国に合理的配慮を提供するための適切な措置を義務付けていることを指摘したところです。本市では、2020年7月1日から「西宮市障害を理由とする差別の解消及び誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例」が施行されました。通学保障も合理的配慮の一部ではないでしょうか。


質問
1、6月議会では一色議員がこの問題について一般質問を行い、市教委は「現在、居住地校への登下校において支援を必要とする児童生徒には、保護者に付き添いをお願いしている現状がある。特性や障害などが理由で自力通学の困難な児童生徒にとっては、保護者の突然のけがや病気によって登校できず、学校での学習活動ができない状況が生じる。このことについては、教育委員会としても課題であると認識しており、この課題について関係部局や関係機関と連携し、検討する」と答弁しています。どのように検討しているのか。

2、本市は、障害者総合支援法による、障害児の移動支援事業を実施していますが、その利用については、保護者の入院など緊急時で認められた場合に限られ、保護者の就労で毎日の登下校の付き添いができない場合には使えません。本来ならすべての人が使えるようにすべきです。枚方市は「障害児の通学支援事業」を実施し保護者の就労にも使えるようにしています。このような事業を本市でも実施できないか。聞く。