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佐藤みち子の賛成討論
2021年09月16日

全国学力・学習状況調査の悉皆実施中止を求める請願(15号)


 ただいま上程中の請願第15号「全国学力・学習状況調査の悉皆実施中止を求める請願」につきまして、日本共産党西宮市会議員団は賛成します。以下、理由を述べます。

 文部科学省は2007年より、全国の小学校6年生、中学校3年生を対象に、全国学力調査を行ってきました。全国学力調査は、学校で普通に行われるテストとは違います。通常のテストは授業でやったことを子どもたちがきちんと理解しているか、誰がどこでつまずいているかを確認し、指導に役立てられています。しかし、全国学力テストは結果が示されるのは実施から数か月後で、子どもたちがどんなテストだったか忘れたころで、子どもはどこが間違えていたのかもわかりません。教員にしても、ただでさえ長時間労働を強いられているのに、さらにテストの分析と対策に追われ、疲弊しています。

 全国学力テストは、全員参加の悉皆方式で実施され、学校別の成績を開示する地方自治体が次々と現れたため、学校間の点数競争を引き起こしています。このことで傷つくのは子どもたちです。また、全国学力テスト以外にも都道府県や市レベルでも独自の学力テストを実施しています。本市でも独自の学力テストを小学校6年生と中学校3年生に実施しており、子どもたちはテスト漬けの状態です。

 文部科学省は全国学力テストについて、「調査で測定できるのは学力の特定の一部」また、学校における教育活動の一側面」だとしています。しかし、平均点を一点でもあげて競争することが目的化し、教育を歪めています。請願にも書かれているように、このような状況を受け、国連子どもの権利委員会は、2019年2月、子どもにとって、あまりにも「競争的な日本の教育環境を改善するよう」、日本政府に勧告しています。しかし、日本政府は度々の勧告を無視し続けています。許されないことです。

 教育こども常任委員会の質疑で、請願に反対する会派から「子どもの学力がどれほどのものか知ることが必要、そして抽出では十分なものではない、競争のない社会はありえない」との意見が出されました。序列と競争の教育で、子どもたちがどれだけ苦しい思いをしているのか、あまりにも想像力が欠如している発言です。

 毎年約50億円もの税金を、大企業が実施する全国学力テストに費やすのではなく、一人ひとりの子どもを大切にする教育を保障するためにこそ使うべきです。
 全国学力テストの目的が「調査」であるならば、悉皆実施ではなく抽出方式で十分です。