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まつお正秀の一般質問
2021年12月06日

核兵器禁止条約における石井市長の意思表明について


 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して私まつお正秀が三つのテーマで一般質問を行います。傍聴の皆さんありがとうございます。

●一つ目のテーマは平和行政で、今回は核兵器禁止条約における石井市長の意思表明について伺います。

 2017年7月7日、国連において核兵器禁止条約が採択されました。この年にノーベル平和賞を受賞したICANで活動されていた被爆者のサーロー節子さんが受賞演説でこの条約について述べられた「核兵器の終わりの始まり」がまさに始まったのです。
 条約採択後は、署名した国が議会での承認を得る批准国が50に達した日から90日後に「発効」、すなわち核兵器を違法なものとして法的拘束力を持つことになっており、昨年10月24日に50か国目となるホンジュラスが批准したことから、今年の1月22日、ついに発効して現時点では批准が56か国になっています。
 この条約は核兵器における、開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、移転、使用、威嚇、さらにそれらの活動への支援、奨励、勧誘など、核兵器にかかわるほとんどの活動を非合法化したという事において画期的なものです。
 そうした中でこの条約に反対している日本政府の態度が問われています。
 2015年まで日本政府は、核兵器廃絶の法的枠組みをつくること、これはそれまでの国連の会議内容などから核兵器禁止条約のことだとされていますが、唯一の戦争被爆国であることから、核保有国と非保有国が分断されないように橋渡しをするという事を理由に棄権の態度をとってきました。しかし、2016年の国連総会に提案された核兵器禁止条約の交渉会議を翌年の2017年に開催する決議案には明確に反対しました。日本政府がそれまでの棄権から反対に回った背景には、国連総会前のアメリカから送られた同盟国への書簡が理由だといわれています。それでも122か国の賛成で採択され2017年の3月と7月の2回にわたって会議が開催されます。日本政府はこの1回目の会議に参加しますが、この条約に反対を表明してそそくさと日本に帰国してしまいます。それでも2回目の7月の会議で採択され成立したのです。会議では日本政府の机の上に大きな折り鶴がおかれ、その羽の部分に「あなたがここにいてくれたら」と書かれていたことは有名な話ですが、当時の外務大臣が岸田首相だったのです。
 岸田首相は広島出身であることから被爆者の期待を集めました。ところが首相就任後の所信表明演説で「被爆地・広島出身の総理大臣として目指すのは核兵器のない世界。核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たす」と語ったものの、1月に発効した核兵器禁止条約に一言も言及しなかったことからそれは失望に変わります。
 長崎県県平和運動センター被爆連議長の川野浩一さん(81歳)は「なぜ核禁条約に触れなかったのか。橋渡し役なら、これまでの首相の主張と変わらない」「被爆地・広島出身だと胸を張って言えることをしてほしい」と述べられています。
 こうした被爆国である日本政府の態度に対し、地方議会においても国に署名批准を求める意見書採択が広がり、10月14日現在において615議会で採択され、県、市町村あわせた1788の34%で採択されています。特に東北の県レベルで見ると、岩手100%、新潟87%、秋田85%、宮城61%、福島と宮城でそれぞれ50%と、福島原発事故の周辺県で高い採択率となっていることが見て取れます。一方、西宮市議会においては、2018年6月と2020年12月議会で国に同様の意見書提出を求める請願が出されましたが、残念ながらどちらも不採択となっています。
 核兵器禁止条約では条約発効後1年以内に締約国会議を開催することになっており、2022年、来年1月に会議開催通知が出されましたが、新型コロナウイルスの影響で少し遅れて3月22日から24日まで開催されることになりました。この締約国会議で採択権を持っているのは批准国のみですが、どの国もオブザーバーとして参加し、発言をすることもできる会議として開催されます。現在この条約にTATOは反対の立場ですが、TATO加盟国のノルウェー、先日はドイツ、ドイツはアメリカの核兵器配備国とされていますが、どちらもオブザーバー参加を表明しています。日本は現時点でこの条約に反対をしていますが、当然オブザーバーとしてこの会議に参加すべきと私は考えます。

そこで質問です。

 1点目、私は3年前の9月議会において、ヒバクシャが求めた核兵器禁止条約への参加を各国に求める「ヒバクシャ署名」に石井市長が署名されたことから、日本政府に参加するように求めるべきと議会で問いましたが、石井市長は、条約署名は国の専権事項であるとして明確なご答弁を頂けませんでした。滋賀県米原市の平尾市長は「日本政府に条約の署名批准を求める署名」の呼びかけ人になって推進しておられます。また、京都府亀岡市の桂川市長は議会において、条約の批准を政府に求めていきたいと答弁されています。私は市長が同様に政府に署名批准すべきと意思表明を行うべきと思いますが、現時点での市長の考えを伺います。

 2点目、毎年行われている国民平和大行進は7月9日に西宮を通過するとき市役所前での集会も行われています。昨年からコロナウイルスの影響でコースの短縮や行進者の制限などを行って取り組まれたことから、幅8センチ、長さ65センチのペナント、表面には「日本政府は核兵器禁止条約に参加を」と印字され、裏面には団体名や個人名などを書いてもらい、それを広島に届けるペナント運動を重視して取り組んでいます。今年の国民平和大行進団に石井市長が手渡されたペナントの表面には「まずはオブザーバー」という言葉が手書きで加えられていました。そのメッセージに込められた思いを伺います。

 3点目、西宮市は尼崎市、豊中市、吹田市の4市でNATSという連携組織を立ち上げています。この4市ともが核兵器廃絶を求める宣言を行っています。この会議で政府に核兵器禁止条約締約会議にまずはオブザーバーとして参加するよう求める共同アピールの提案を市長から行ってはどうかと思いますが、考えを伺います。