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まつお正秀の反対討論
2021年12月16日

議案第415号令和3年度西宮市一般会計補正予算(第10号)について


 次に、議案第415号令和3年度西宮市一般会計補正予算(第10号)について述べます。
 今回の補正予算には、2つの債務負担行為、ひとつは住民記録標準システム移行準備業務、こちらは1243万円、もう一つは標準化対応全体移行計画支援業務、こちらは4年間で2566万4000円が盛り込まれています。
 今年の国会において成立したデジタル改革関連法、これは地方自治体のシステムや規定を標準化・共通化して個人情報を含むデータの利用を強力に進めるものであり、この法案は1つの法案ではなく63の法案を束ねたものでしたが、6つの柱で構成されています。その柱の1つになるのが地方公共団体情報システム標準化法であり、今回の2つの債務負担行為はその具体化となるものです。この法律では、これまで各自治体で独自に工夫し積み上げてきた様々な住民サービスのための情報管理やシステムを、国が標準的な仕様を示してそれに合わせるように求めるものとなっており、住民記録、地方税、福祉、選挙人名簿など実に17の業務において令和7年度までに国の仕様に合わせることを義務としています。 
 また、その情報の保管先なども国が今後整備する予定である全国規模のクラウドサービスを使用する事、こちらは努力義務とはなっていますが、そうしなければ国の補助などの対応で不利になる可能性があるなどの問題が指摘をされています。
 この法律の肝となるのが住民記録であり、住民記録標準システム移行準備業務、こちらはすでに国が標準仕様の具体的内容を示していることから、その内容に照らして行うフィット&ギャップという手法、すなわち国基準に適合できるものと乖離しているもの等を洗い出したうえで対応を考える業務で、1243万円は令和4年度のみの支出としての債務負担行為ですが、すでに今回の補正予算案も含め令和3年度に国からの歳入が1804万円組まれています。

 もう1つの標準化対応全体移行計画支援業務は、先ほど紹介した17業務のうち国が標準化の具体的中身をまだ示していない16業務を2つのグループに分け、国が順次示すとされているその内容に対し、どのように対処すべきかなどのアドバイスなどを受けるコンサルタント料で、国が義務化の期限としている令和7年度までの4年間で2566万4000円の債務負担行為です。
 総務常任委員会の質疑では、これまで市で独自に開発してきたシステムが無駄になってしまうのではないという質問には、できるだけ国基準に盛り込んでもらうよう働きかけるという答弁がありましたが、これは保証されたものではありません。
 この3月議会の代表質問において、わが党の野口議員が富山県上市町での国民健康保険における子どもの均等割り減免を求める議会質問で、近隣自治体が共同利用するクラウドであることから、いわゆるカスタマイズ、自治体独自の減免ができないと答弁されたことを紹介しましたが、これまで積み上げてきた自治体の住民サービスの努力が無になってしまうだけでなく、今後は国が決めた基準に従えと言わんばかりのやり方は、戦争の反省のもとにつくられた日本国憲法に盛り込まれた地方自治に照らしても問題です。
 
 もともと新たに設置されたデジタル庁は、首相が強い権限を持ったものとして設置されましたが、法案成立当時の平井デジタル担当大臣は「国や自治体が共有する有用な情報をオープンデータとして整備・公表したり、デジタル社会における基幹的なデータベースとして、多様な主体が参照出来たりするよう整備していきます」と述べていますが、ここでいうところの多様な主体というのは民間企業を指していることは明らかであり、そのために自治体が持つデータなど提供しやすくするということであることも反対の理由であることも申し添え、反対討論といたします。