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野口あけみの反対討論
2021年12月16日

議案第406号 西宮市個人番号を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例制定について


 私からは議案第406号について反対討論を行います。
 この議案は、特定健康診査や特定保健指導、がん検診や9月議会で実施が決まったがん患者アピアランス助成事業など、市民の健康保持・増進のための各種事業実施に際し、個人番号、マイナンバー制度とひも付けし、他の特定個人情報を利用しようとするものです。

 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものです。個人情報は、「個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」(法第3条)であり、プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権です。ところが、政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにするマイナンバー制度自体が、プライバシー侵害の危険性を持つものだと考えます。

 今後政府がデジタル関連法成立によって進めようとしていることは、先ほどまつお議員が述べたとおり、自治体システムの標準化による情報連携と一体的に、地方自治体独自の個人情報保護条例をいったんリセットして全国共通のルールにし、保護措置を最小限にすることで、自治体の持つ膨大な個人情報、データを、民間企業を含む多様な主体が利活用しやすくしようとすることです。
 この議案によってマイナンバーに紐づけされる特定個人情報は、がんかどうか、生活習慣病の有無などの健康や医療にかかわるセンシティブな情報ばかりです。これらが特定個人情報となり、この「データの利活用」の対象となるのです。また、個人情報漏えいの危険性も否定できません。
 すでに、「特定の個人を容易に識別できないものに加工」すれば、本人同意を得ずに、民間を含めた様々な主体に提供する、「匿名加工情報制度」や、「非識別加工情報制度」、「仮名加工情報制度」などが始まっています。デジタル関連法によって、今後、自治体が持つ膨大かつ有用な個人情報の活用がねらわれ、加速していくことは間違いありません。

 国民のくらしに役立つデジタル化はもちろん否定するものではありません。しかし、政権に都合の悪い情報は隠したり、改ざんする一方で、国民には個人情報を提供させようとしても、納得できません。デジタル化の大前提は、政治の透明性と説明責任を果たせる政府が、個人情報を適切に管理し、安心・安全性を求める国民に信頼されることです。この点で、残念ながら今、政府が進めようとしているマイナンバー制度を含む一連のデジタル施策には問題あり、ということを指摘して討論とします。