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佐藤みち子の代表質問
2022年02月22日

高齢者問題について


 まず、最初にコロナ第6波について一言申し上げます。年明けより全国で、コロナオミクロン株の感染が急拡大しています。保育所、幼稚園、学校等で子どもの感染者が増え同時に家庭内感染も広がっています。また、2月に入ってからは、高齢者に感染が拡大し、保健所・市役所業務がひっ迫しています。これらは本市でも全国と同じ状況が続いているのは周知のとおりです。

 この問題で、わが党の志位委員長は、17日、国会内で記者会見をしました。新型コロナウイルス感染症による死亡者や救急搬送困難事案などのデーターをもとに、依然深刻な事態が続いていることを示し、とくに死亡者数は最悪を更新するなど「コロナ危機が始まって以来一番深刻になっている」と述べました。救急医療がひっ迫し、崩壊の危機にあるのに、17日、各種メディアは、感染者数が「ピークアウト(頭打ち)」したと報じました。このことで、国民の中に、大丈夫だという空気が流れていることは政府の責任であると指摘しました。

 その上で、15日に全国知事会が政府に対して緊急提言を提起しているように、現在の危機的状況が国民に正しく認識されるよう国として強く発信することを求めました。また、2021年11月に公表した「取り組みの全体像を」を見直し、オミクロン株の特性を踏まえた戦略的な命を守る方策の全体像をパッケージで国会に提示すること、そのことを国民の前で議論することが必要だと提起してきたが、いまだにその全体像が、政府から出されていないと厳しく批判しました。わが党は、コロナ問題で政府の姿勢を根本からただし、国民の命を守るために引き続き頑張ることを表明します。

 さて、2022年度本市予算案は3月に行われる市長選挙を控えての骨格予算となっています。一般、特別、企業会計の総額は3322億2600万円で前年度より0.1%減。一般会計予算は1.0%増の1958億2800万円で6年連続の増、阪神淡路大震災直後の1995年度を除いて過去最高の規模となっています。

 歳入の根幹である市税は景気の緩やかな回復基調による市民税や固定資産税等の増などにより、前年度比2.4%増、871億3500万円を見込んでいます。新型コロナウイルス感染症への対応のほか、学校施設の改築・改修に係る経費や子育て支援などの社会保障関係経費などが増となっています。

 骨格予算案のため、新たな課題に取り組まないものの、新年度予算案には大きく2つの点で懸念があることも指摘しておきます。ひとつは、今後の保育施設のあり方で公立保育所の民営化が推察されることや民間による放課後学童クラブの開設を積極的に進めることなどです。また、同じ目的の事業については官民の垣根を越えて統合するなど、随所に民でできるところは民でという、新自由主義的な施策をすすめようとしていることは問題ありです。

 二つ目は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を市民サービスの向上と庁内業務の効率化等を加速度的に進めるとのことです。市民の利便性が向上することは願ってもないことですが、市民の個人情報の取り扱い等、懸念される問題があります。同時に業務の効率化が職員削減につながることがないよう求めておきます。

 市長は、施政方針でコロナ禍の影響を大きく受けたひとり親家庭への支援が必要なことや離職、減収などで厳しい生活を強いられている生活困窮者が増えていることから、就労など生活の安定に向けた支援に取り組むとしています。それらは当然のことと思いますが、支援は生活困窮者のみではなく、市民の暮らしを応援することが望まれます。言うまでもなく、地方自治体の本旨は「住民の福祉の増進」です。このことに、しっかりと取り組んでいただくことを要望します。

 今議会は、コロナ禍のなか特に多忙を極める健康福祉局、子ども支援局、教育委員会の3局については本来なら質問を避けるべきだと思いましたが、どうしても質問しておきたい項目があり、最小限に絞って質問させていただきます。

1,高齢者問題について


 市長は、施政方針で、高齢者のフレイル予防事業やまち歩き等を通じた健康増進の取組を積極的に進めると述べています。

 一つ目の質問は、高齢者の外出支援に寄与してきた高齢者交通助成事業についてです。
 70歳以上の高齢者に年間5千円分の交通費を助成する「高齢者交通助成事業」が2020年度で廃止になりました。対象者が増え、事業に協力する鉄道会社が撤退を申し出たことなどから、継続が難しくなったというのが理由です。これに代わる事業として、市は健康増進やフレイル(虚弱)予防のために「健康ポイント事業」を導入しました。歩いた歩数に応じて年間3千円を上限とするポイントを付与し、景品と交換できるようにするというものです。
 この健康ポイント事業は「歩く」ことが中心です。しかし、70歳を超えた高齢者は膝が痛くて長時間歩くことが困難な人、障害があり車いすを利用されている人などそもそも歩けない人がいます。そのため、議会や市民からも歩けない人を対象にした対策が必要との要望が出され、市は「福祉タクシー派遣事業」の拡充、「高齢者バス運賃助成事業」を新設しました。
 次に「福祉タクシー派遣事業」は、定額制の対象を現行の要介護4・5に加えて、要介護3までに広げ利用券一枚当たりの助成額を500円の定額制とし、交付枚数を年間最大72枚に拡充しました。併せて、同事業の対象である在宅障害者・障害児についても定額制助成(500円券72枚交付)に変更しました。

 また、新設された「高齢者バス運賃助成事業」です。2021年度は対象者全員に案内文書と登録申請書を郵送し、申請受付後に割引購入証を交付します。2022年度以降は登録者のみに割引購入証を送付し、新規対象者には、案内文書と登録申請書を交付します。従来の助成事業と同じく、年間5千円を上限とし、バス会社の対象商品、ハニカまたはグランドパス65を購入・チャージする際に半額を補助します。市の担当者は、これら3事業について、「持続可能な範囲で対象者を幅広くカバーした事業展開を考えた」とのことです。

質問
1,昨年10月より開始された健康ポイント事業、福祉タクシー派遣事業、高齢者バス運賃助成事業の実態と市の評価を聞く。

2,高齢者交通助成事業は鉄道会社から取り扱いを断られたが、鉄道利用者が8割を占め高齢者から高く評価されていた事業でした。今でも鉄道利用の復活を望む声がたくさんありますが、市民の声をよく聞いて再考すべきと思うがどうか。

3,市内には、鉄道駅やバス停まで遠い地域、いわゆる交通不便地域があり、高齢者はタクシーを利用する機会が多くなります。以前のようにタクシーを利用できるようにできないか。

A高齢者の補聴器補助について
 市議会は2019年12月議会で、「加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度の創設を求める国への意見書」を全会一致で採択しました。その後も党議員団は本会議、予算決算分科会の質疑で、市独自で制度を創設するよう求めてきました。
 2022年度兵庫県の予算案で、「高齢者の補聴器活用状況の調査の実施」として、補聴器購入支援制度創設に向けた国への提案根拠とするため、補聴器のニーズや社会参加活動の状況などを把握する予算総額1,080万円のモデル事業を実施します。その対象者は、@65歳以上A聴覚障害による身体障害者手帳の交付を受けていないB耳鼻科医師の診断を受け、補聴器が必要との意見を受けたC事後アンケート・モニタリングに協力するーなどの要件を満たした人を、地域・年齢等を考慮の上、抽選で400人程度を選び、補聴器の購入費用として上限2万円を補助するというものです。
 この際、市としても県同様のモデル事業を実施することを考えたらと思うがどうか。