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野口あけみの一般質問
2022年02月28日

「生理の貧困」「生理の尊厳」について


 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、野口あけみが一般質問を行います。傍聴のみなさん、お疲れ様です。ありがとうございます。

1,「生理の貧困」「生理の尊厳」について


 コロナウイルスの影響でより一層深刻になった貧困のもと、「生活苦で生理用品を買えない」などの「生理の貧困」が、社会問題となっています。後で述べる生理をめぐる諸課題から「生理の貧困」は「生理の尊厳」とも言われていますが、この問題はコロナ禍でより可視化されただけことであり、ずっと以前から存在している問題です。

 生理は12歳前後から50歳前後までの平均35年〜40年間もの間、女性だけにやってきます。
 毎月5日間が生理期間だとすると、女性は一生で約2400日、通算約7年間、450回以上の生理と付き合っていくことになります。その間の経済的負担、身体的負担、精神的負担は計り知れません。
 人によっては期間中の生理痛や、生理前後のホルモンの影響等でPMS(月経前症候群)の症状が重く、仕事や通学がままならなかったり、月のほとんどで何かしらの影響を受けている女性も少なくありません。
 これら女性が経験する生理の負担は、男性には理解しにくいことかもしれません。しかし、「生理」は女性だけの問題ではなく、男性も理解すべき問題として社会全体で捉える必要があるのではないでしょうか。

 現在は世界でも様々な動きが広がり、ニュージーランド政府は18歳までを対象に、すべての学校で生理用品の無料配布をはじめ、フランスでも2021年9月からすべての大学や学生寮で生理用品を無料で配布すると政府が発表しました。また、イングランドやニュージーランドも学校での生理用品の無償提供を始めており、カナダやオーストラリア、ドイツ、イギリスなどの国々では生理用品への課税が廃止もしくは引き下げが行われ、深刻的な問題を徐々に改善していく取り組みが進んでいます。

 日本では2021年春ごろから生理の現状が訴えられ、そこからスピーディに国や自治体が無償配布に動き出しました。内閣府男女共同参画局の7月20日時点の調査では、何らかの「生理の貧困」に係る取り組みを実施した地方公共団体は581団体で全自治体の約35%。3自治体に1つが実施したことになります。西宮市でも2021年4月16日から同月22日までのうち、本庁と鳴尾、塩瀬、山口各支所では、5日間、男女共同参画センターでは6日間、計5か所で防災備蓄品を活用して、相談窓口の案内も添えて生理用品の無償配布を行い、426パックを配布しました。継続した無償配布を求めた我が党まつお議員の同年6月議会一般質問への答弁は、「今回の生理用品の配布は、臨時的な事業。今後の配布予定はない。また、学校では、保健室に生理用品を用意しており、今後もこの取組を継続する」というものでした。このようにこれらの取り組みの多くは一過性で、継続していないのが問題です。

 一方、東京・豊島区や中野区、横浜市は女性個室トイレに生理用ナプキンを常備し、無料で提供する民間企業と連携して、区役所などに設置され、8月から稼働しているとのことです。
 学校の女子トイレ配備に踏み出した地方自治体も随分と広がっています。東京都、神奈川県、群馬県、長野県、宮崎県、佐賀県、神奈川県大和市、綾瀬市、静岡県三島市、岐阜県土岐市、京都府八幡市、亀岡市、奈良県大和郡山市、兵庫県では明石市などなどです。全国的な調査やとりまとめは先ほど申しあげた内閣府男女共同参画局の2021年7月20日時点の調査以外は今のところ存在しないようで、これらはネットや新聞等の情報によるものです。     

 さて、「生理の貧困」を構成する要素は、大きく3つあります。
 1つは、経済的貧困。経済的な問題で生理用品を買えないという問題です。
 2021年3月に『#(ハッシュタグ)みんなの生理』という団体が、日本の若者の生理に関するアンケート調査を行い、メディアにも取り上げられました。
 このオンラインアンケートは2021年2月から5月にかけて、日本国内の高校、短大、大学、大学院、専門専修学校などに在籍し、過去1年間で生理を経験した773人を対象に実施されたものです。
 生理用品代を支払うのが家族である人が6割を超える一方で、自身のアルバイト代やお小遣いからねん出していると答えた人も3割以上存在することが明らかになりました。
 過去1年間で金銭的な理由によって「生理用品の入手に苦労したことがある」と答えた人は19.7%。5人に1人です。
 トイレットペーパーやティッシュなど「金銭的な理由で生理用品でないものを使った」と答えた人は26.2%。「生理用品を交換する頻度を減らした」と答えた人は36.5%でした。
 「ひとつひとつはそこまで高価では無いですが重なるととても大きな出費で困っています」(19歳・大学生)、「月経困難症なので、定期的に産婦人科に行って薬を処方してもらっています。1回あたり診察代と薬代合わせて約2000円を年3回支払うのは、母子家庭で学費を自分で払っている大学生には経済的に厳しい」(20歳・大学生)など、生理用品等の経済的負担を訴える声がありました。

 2つ目には、知識の貧困です。
 生理についての知識や教育が、親や学校などから十分に施されてなく、適切な手当てができない状態があるという問題です。生理痛がつらくて仕事や家事が難しくても「つらい」と言いにくい。生理痛が酷い場合は子宮内膜症という病気の可能性があったり、無月経を放置してはいけないなどという知識が十分教育されていません。
男女問わずに生理も含めた性教育と生理への誤解を解くことが大切です。

 3つ目に、家族関係の貧困。
 生理が来たことを親に言えなかったり、生理痛を訴えても「生理は痛いものだから我慢しろ」などと、生理の辛さを親に頼れない状態を指します。ネグレクトや父子家庭ではさらに事態は深刻です。もちろん、男性も生理の知識があれば、父子家庭でも対応できるはずです。裕福な家庭でも“薬は身体に悪いから”と鎮痛剤を飲ませてくれなかったり、親のピルへの誤解から服用ができなかったり、婦人科へ通うこともできない人も存在するようです。
 国連女性機関日本事務所長の石川雅恵(かえ)氏は、「『生理の貧困』の根源は人権問題であり、女性が衛生的に生活できる環境の確保も、守れらるべき「基本的人権」である」と、語っておられます。同感です。これら、「生理の貧困」「生理の尊厳」をめぐる諸問題解決へのとりくみは、人権尊重や、男女共同参画、ジェンダー平等を実現していくために、たいへん重要な新しい課題だと、私は考えます。

 具体的な質問です。なお、教育委員会に対する質問は、今回はコロナ対応を配慮して遠慮します。

1、市として、「生理の尊厳」「生理の貧困」をどう認識しておられるか。

2,性教育が遅れている日本では、生理に関する理解を進める活動は、学校教育だけでなく、社会教育のなかでも重要だと思います。現在の取り組みはどのようなものでしょうか。

3,ナプキンはトイレットペーパーと同じく、衛生消耗品です。思えば、今はスタンダードになっている学校や公共施設へのトイレットペーパー設置も過去にはそうではありませんでした。ナプキンも少しずつですが、先ほど述べたように、世界でも日本でもトイレに配備しようとの機運が広がりつつあるのです。
 子どもの生理の課題も多いのですが、シングルマザーなど大人の生理の貧困も深刻です。こうした人たちの場合は、自分の状況を認識しておらず、情報を入手する機会も少ないため、例えば市役所や図書館などの公共施設に生理用品を設置するなど、利用しやすい仕組みづくりが必要です。
 そこで、市役所庁舎、公民館、図書館、そして小中高の学校など、公共施設のトイレにトイレットペーパーと同じように自由に使用できるよう、生理用品の無償配置をすべきと考えますが、いかがでしょうか。特に、男女共同参画センターは、直ちに実現すべきと考えます。答弁をお願いします。
 また、各地にみられるような企業や他の支援団体と連携した、生理用品の無料配布等の、市における状況について、つかんでおられたらお聞かせください。