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佐藤みち子の予算反対討論
2022年03月17日

議案第455号令和4年度西宮市一般会計予算、議案第457号令和4年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第461号令和4年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第455号令和4年度西宮市一般会計予算、議案第457号令和4年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第461号令和4年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、以上3議案について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。以下、理由を述べますが、その前にロシアの軍事侵略について語らずにはおられません。
 去る、2月24日ロシアは隣国ウクライナへ軍事攻撃を開始、その攻撃は全土に及んでいます。学校や病院、原発施設までも爆撃し、無残に命が失われ、250万人を超える難民が生まれています。
 とりわけ許しがたいのは、プーチン大統領が核保有国であることを誇示して「攻撃され
 れば核兵器でこたえる」と公言していることです。
 
 ところが、自民党や維新の会の一部の議員は、ロシアによるウクライナ侵略を利用して、「国連は無力だ」「憲法9条は役に立たない」などと言い募っています。事実はどうでしょう。国連憲章は、戦争が「自衛」の名目で行われることから「武力による威嚇」「武力の行使」を禁止、力の強いものが勝つという「力の論理」を否定して、紛争を平和的に解決することを全世界に義務づけています。特に、国連憲章の2条4は、安全保障の基本原則として「武力による威嚇又は武力の行使」を禁止しています。この武力行使禁止原則は国連憲章のなかでも最も重要な原則です。
 日本国憲法は、アジア諸国への侵略への反省を原点の一つにしています。再び侵略国家にならないという決意が込められ、「力の論理」の否定をさらに徹底したのが憲法9条です。国連憲章や憲法9条を攻撃することは「力の論理」をひたすら信奉して戦後の国際秩序の根本や戦後の日本の原点を否定することに行きつきます。到底、世界から理解されることはないでしょう。

 さらに、日本国内では、ロシアによる核の脅しを口実に、安倍元首相は米軍の核兵器を日本に配備し、日米が共同で管理・運用する「核共有」について「議論をタブー視してはならない」と表明。これに呼応した維新の会の松井一郎代表は「非核三原則は昭和の価値観」とまで言い放ち、政府に「核共有」の議論を求める提言を提出しました。こうした動きに、被爆者団体がいっせいに反発、「日本国民を核戦争に導く」と厳しく批判し、撤回を求めました。当然です。維新の会の提言は「核による脅威に核で対抗しよう」というもので、プーチン政権と同じ立場に身を置くことになります。核による脅威を取り除く唯一の方法は核兵器廃絶であり、日本政府に核兵器禁止条約への参加を強くもとめるものです。
 今、私たちは、このロシアの侵略を止めるために国際社会は何ができるのかを考えなければなりません。
 それには、国際社会が協調しての効果的な経済制裁が必要です。同時にいま何よりも重要なのは、世界中の国々と市民社会が「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」この一点で声を上げ、力を合わせることです。本日、市議会でも「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を抗議する決議」が全会一致で採択される予定となっています。こうした世論が、主権を守るためにたたかっているウクライナ国民や、弾圧に屈せず反戦の声をあげているロシア国民を勇気づけ、プーチン政権を追い詰める力になります。同時に、憲法9条を持つ日本政府として、国連でロシア非難決議に棄権、退席した国々に対し、軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかけていくことを求めます。

 次に、コロナ第6波についてです。
 年明けよりコロナ感染者が急拡大し、本市の1月の新規感染者数は第5波のピーク時の2.5倍もの人数になりました。3月に入っても感染者は100人〜200人と推移し高止まりになっています。このような中、保健所の体制強化のために各局からも約130名近くの職員が応援に入り、さらに派遣職員を増やし300人態勢になっています。祝日、土日もコロナ対応に追われている保健所職員の皆さんへは敬意を表するものです。
 障害者・高齢者施設で、感染者が発生しても入院ができずに施設に留め置き状態となり、職員や入所者が感染し多数の施設でクラスターが発生しました。
 また、この第6波は子どもへの感染が多数となり、小中学校61校のほとんどで学級閉鎖が発生しました。保育所、育成センターでも職員、児童等の感染者が急速に増加。保育所の在園時・職員の感染者は第5波ピーク時の3倍以上となりました。これらの施設では、感染状況把握や連絡調整、感染防止対策等に追われて、対応が休日・深夜に及び通常業務もままならない状態が継続しています。
 東京都墨田区では保育園や学校で一人感染者が出たら広く行政検査を行うなど、疫学調査を継続することが必要だと、感染者が出たときは行政検査で幅広く希望者全員を検査できる体制を作りました。党議員団は、感染者がでたら濃厚接触者だけでなく幅広く検査を実施することを当初からくり返し市に求めてきましたが、未だ実現していません。検査を軽視する国の姿勢に追随するものです。ワクチン頼みでなく検査の拡充をすすめることを強く求めます。

 次に、市長の政治姿勢に関わる問題で以下について反対します。
 1点目は、マイナンバーカード発行についてです。
 すでに政府はキャッシュレス化を進めることと一体にマイナンバーカードを持っている人に、マイナポイント2万円分を付与しました。テレビコマーシャルで利便性をアピールするとともに、マイナポイント付与などの優遇措置を設けて躍起になってカード普及を進めようとしています。この制度開始から5年以上経過しても今なおマイナンバーカード申し込みが国民の5割にも満たない背景には、個人情報流出の懸念があるからです。
 さらに、国が進めるデジタル化は、様々な情報を国が管理し、その情報を企業の儲けの対象にしようとしていることが大きな狙いです。住民記録、地方税等、17業務において、国の標準的仕様に合わせることを義務としています。合わせて、各自治体が独自に工夫し、積み上げてきた様々な住民サービスを、国が標準的な仕様を示して、それに合わせるようになっています。今後、国が指定するクラウドサービスの使用については努力義務とされていますが、そうしなければ国の補助などの対応で不利になる可能性があるなどの問題も指摘されています。こうした国の施策に追従する姿勢は問題と考えます。

 2点目は、名神湾岸連絡線についてです。
 今議会では名神湾岸連絡線の事業化によって影響を受ける西宮浜の事業者から請願が出され、全会一致で可決されました。
 請願項目のひとつ目は対象企業が事業を継続できるよう、市として国、県等に働きかけ、また協力して代替地の確保と提供を目指すこと、ふたつ目は市の担当部署が複数にわたることから、窓口を一本化してほしい、という内容です。委員会の質疑では詳細な立ち退き対象などは正式に決まっていないという答弁がありましたが、対象の事業者にとっては、雇用している従業員の勤務地が変わる問題に加え、市にとっては市外に移転となると市税収入が減る問題もあります。事業者たちは名神湾岸連絡線が必要だという立場であり、わが党議員団とスタンスは違うものの、市内の事業者や住民の皆さんの話を聞きながら物事を進めていくという点では一致します。また、詳細な計画はまだですが,今津地域でも、現在の久寿川インターチェンジ直近の事業所や医院も立ち退きの可能性があるということです。阪神高速湾岸線の六甲アイランドから長田までの延伸工事は、事業化をされながらも9年間凍結された事例もあります。名神湾岸連絡線についてもいったん立ち止まり、住民や事業者とよく話し合いを行うことを求めておきます。

 3点目は、自衛隊への名簿提供の件です・
 本市は2020年から18歳と22歳の名簿提供については住民基本台帳の閲覧から、データ提供をするようになりました。この件では2020年9月議会の一般質問で取り上げた時に、福岡市では名簿を提供しないでほしいという方については、削除する対応をしていることを紹介し、とりあえずは本市でも同じ対応をすべきと求めましたが、その時には他市の事例を研究するという答弁がありました。総務分科会での質疑で、阪神間の全市と神戸市、姫路市では名簿提供の有無について、当事者に確かめることもなく、すべて提供しているとの答弁がありました。しかし、全国的にはインターネットで調べただけでも福岡市だけでなく、大阪市や箕面市、新潟市、京都市、名古屋市などは希望者を除外しています。それ以上に問題だと思うのは本市のホームページなどで名簿提供していることが市民に知らされていないことです。オープン西宮を掲げる石井市長は少なくともホームページで名簿提供していることを市民に周知すべきと考えます。

 次に要望事項についてです。
 高齢者の外出支援として2021年10月から始まった健康ポイント事業は参加者が3千人と少なく、多くの高齢者から依然のように、鉄道やタクシー運賃への助成を望む声が多く出され複数の会派からも検討するよう意見が出されています。このことについては、再検討を望むものです。

 指定ごみ袋制度は、コロナが原因で制度実施が7月からになりました。この事業は市民への周知と理解が必要ですが、圧倒的に説明が不足していると感じます。未だ指定ごみ袋に変わることを知らない人もいます。4月からの実施が7月に延期になりますが、4月からの3か月間で市民の疑問にも丁寧に答え説明を尽くすことを要望します。コロナ禍であり今後の先行きが不透明です。指定ゴミ袋制度をいつから実施するかは慎重な検討が必要です。

 本市で小学校、中学校の給食を無償化するには約17億円の財源が必要です。この額は2022年度の一般会計から見るとわずか0.9%です。不可能な数字ではありません。全国ではどうか。完全無償化、一部無償化、一部補助、また、段階的に中学校から無償化と約3割の自治体が実施するまでになっています。
 東京都世田谷区では、2019年、就学援助の対象を生活保護基準の1.24倍から1.4倍(4人家族で年収約590万円)に拡大しています。また、基準を4人家族で年収760万円まで広げ給食費のみの援助を実施しました。小中学校で就学援助と給食費のみの援助を合わせて3割の人が利用しています。そもそも憲法では義務教育は無償とされています。就学援助は生活困窮者世帯が対象ですが、世田谷区のように所得基準を引き上げるなど子育て支援として広く利用できるようにすべきです。

 子ども医療助成制度について、わが党議員団は、本市に住むすべての子どもの医療費を無料にすべきと一般質問等で繰り返し求めてきました。現市長になって現在、小学校3年生まで所得制限が撤廃されたのは喜ばしいことです。しかし、小学校4年生以上、中学3年生までは、所得制限があり一部負担金が必要です。この制度については、医療費無料の年齢を18歳に引きあげ所得制限を撤廃することを求めます。

 紙おむつの持ち帰りについて、わが党議員団は衛生的な問題や保護者の負担感から保育所での処分を求めてきました。2021年10月にこの問題について公立保育所でアンケートを実施しています。この結果を受けて2022年度は、4か所の公立保育所で紙オムツの処分を試行実施することが教育こども分科会で明らかになりました。試行実施後は、保護者の負担なしで、公立・私立のすべての保育所で実施することを要望します。

 コロナ禍でケア労働者の処遇改善が国によって実施されることになりました。2月から9月までは国が財源を確保しますが、10月からは介護報酬や医療報酬の中から支払われることになり、これが利用者の保険料に跳ね返ってくることを危惧します。
 今回の処遇改善は微々たるもので、現場からももっと上げるべきとの声が出されています。わが党議員団は、この問題については国が財源を含めて責任を果たすことを求めます。また、この処遇改善について本市では各局別々の対応をしていることも問題ありだと指摘しておきます。
 
 最後に2つの特別会計予算について反対意見を述べます。
 議案第457号令和4年度西宮市食肉センター特別会計予算についてです。
 食肉センターについて党議員団は、長年にわたって一般会計からの繰り入れを廃止するよう求め、民営化や廃止を提案してきました。2022年度も1億9940万円を一般会計から繰り入れることになっています。この繰入額は昨年度より520万円増えています。今後、施設の老朽化等も問題になってきますが、建て替えとなればさらに多額の一般財源が必要になります。到底市民の理解は得られません。これらのことからこの特別会計予算に反対します。

 次に、議案第461号令和4年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算についてです。
 後期高齢者医療制度の保険料率は都道府県ごとに統一された保険料で、2年ごとに見直され、2022年度は7回目の改正となります。この保険料については制度発足以来初めて、均等割と所得割率の両方が減額となります。この要因は、2022年10月から単身で200万円以上、二人世帯で年収320万円以上の方の窓口負担が2割に上がること、広域連合が積み立てた給付費準備基金残高見込み額が、200億6千万円になりこれを全額取り崩すことによるものです。
 窓口負担を2割にひきあげることについては、日本医師会や医療関係者の団体から「年齢が上がるほど年収に占める割合が高くなり、2割に引き上げることは受診抑制につながるとの反対意見が出されていました。この意見に同感です。2割負担は中止すべきです。この特別会計予算に反対します。

 以上、討論とします。