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2022年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:市民局
2021年08月31日

  1. 国民健康保険制度について
    高すぎる国民健康保険料を引き下げるために、市は2008年度より一般会計から国保特別会計への繰り入れを行い、また2018年度以降は基金からも繰り入れを行ってきたが、2018年度に都道府県が保険者となり、国からこの繰り入れをやめるよう厳しい指導が続いている。そのような中で市は一般会計からの6億円の繰り入れを2019年度からの6年間でなくす計画を策定した。しかし繰り入れをなくせば当然被保険者の負担が増大するため、市は新たな減免制度を2021年度から実施しているが、不十分であるため対応が求められている。以下のことにとりくむこと。
    (1)減免制度については以下のように拡充すること。
    @所得激減減免の対象を前年所得金額の5割以下から3割以下とすること。
    A2020年度から低所得者の保険料について、所得の19%を超えた分の4分の1を減免することにしたが、所得の19%を超えた分については全額減免とすること。
    B国は2022年度から未就学児の均等割保険料を半額にするとしている。残りの半分を市が負担し、全額免除にすること。
    (2)新型コロナウイルス感染症の影響で納付が困難な人が増えている。収入が前年よりも30%以上減った方たちには減免・減額ができるが、前年比だけでは困窮状態が長引いている方たちを救うことができない。前年比だけではなく、コロナ禍以前(2019年度)の収入とも比較できるようにすること。
    (3)保険料滞納者や分納誓約者に対し,突然差し押さえの通知が送られるケースが増えている。年に一度は行なうとされている分納相談をはじめ機会をとらえ、ていねいな説明を行うこと。
    (4)1984年以降減らされてきた国民健康保険会計への国庫負担率を元に戻すよう国に強く働きかけること。

  2. こども(乳幼児等)医療費助成制度の小学1年生から小学3年生までの所得基準額以上の世帯の児童について、2021年7月より医療費自己負担額の一部助成が拡大されたことは評価したい。来年度は中学3年生まで拡げること。また、一部助成にとどまらず、完全無料化を目指すこと。さらに、高校生までの拡大を検討すること。

  3. 後期高齢者医療制度について、単身世帯200万円以上、夫婦世帯320万円以上の収入がある世帯を対象とし、医療費窓口負担を2倍化する法律が2021年6月に成立した。早ければ2022年10月から施行される予定である。実施後3年間は負担の急上昇を抑える「配慮措置」が取られることになっているが、その事実が負担増の過酷さを証明している。本市においてはこれまで通り1割負担を継続できるよう県に助成制度の創設を求め、市としても何らかの措置を講ずること。

  4. 平和の施策について
    今年2021年はアジアで2000万人、日本でも310万人近い人が亡くなった先の大戦から76年となった。戦争を二度と繰り返さないためにも、戦争の悲惨さを知ってもらう活動や、戦争につながっていく動きに常に警戒をして警鐘をならしていくことが重要である。
    また、県下に先駆けて平和非核都市宣言をした西宮市が、核兵器廃絶に向けて全国や世界に向けて発信していく意義は大きい。
    平和行政として次のことにとりくむこと。
    (1)2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効された。しかし、日本政府はこの条約への署名・批准を拒否し続けている。唯一の被爆国としてあるまじき姿である。平和非核都市宣言を行っている西宮市としてはこの事実を重く受け止め、国に対して署名・批准を求め、条約参加への世論が高まるとりくみを積極的に実施していくこと。
    (2)毎年開催されている市の原爆展は重要である。広報をさらに強化し、より多くの人々に来場してもらえるよう努めること。
    (3)高齢化が進む中で戦争体験者が年々少なくなっている。西宮空襲などの「語り部」の発掘に本腰を入れること。また、戦争体験を継承していくためにも、体験者以外の「語り部」の育成に本格的にとりくむこと。
    (4)日本においては戦争の実相を伝える際、“被害”に重きを置いて語られることがほとんどである(実際に戦争映画はたくさん創られてきているが、“加害”の事実を伝える作品はほぼない)。特に若い世代に正確な事実を伝えていくためにも、少なくとも平和資料館(川添町)においては“加害”の事実を伝える資料も展示等すること。

  5. 人種差別やヘイトスピーチを許さない世論が急速に高まり定着しつつあるが、コロナ禍においてはワクチン未接種者やマスク未着用者に対し、職場で解雇をほのめかされたり学校でイジメられたりするなどの差別が実際に起きており、これらの差別も決して許してはならない。市として「第2次西宮市人権教育・啓発に関する基本計画」に基づいた啓発を行うなど、差別のない社会を目指すとりくみを強化すること。

  6. ジェンダー平等は世界的な流れになっているが、日本では十分理解がすすんでいない現状がある。性的マイノリティーの人たちを含めた差別解消や支援の推進等、一人ひとりの人格と個性が尊重される西宮市をつくるために、以下の項目にとりくむこと。
    (1)2021年4月から「西宮市パートナーシップ宣誓証明制度」が実施されたことは大きな前進である。しかし、現時点でこの制度の利用者はごく少数に留まっている。制度そのものやそのメリットについて、更なる周知を行うこと。
    (2)公的書類の性別欄について、撤廃可能なものは早急にすべて撤廃すること。
    (3)「西宮市男女共同参画プラン」が策定されているが、様々な指標の数値目標を達成するための具体策が不十分である。さらに具体的な計画をつくること。
    (4)男女共同参画センター(ウェーブ)における中央公民館との貸館窓口の統合は、4階に人流が集中することにより利便性が向上するどころかウェーブの相談者にとってはむしろ利用しづらくなる恐れがある。貸館窓口の統合は行わないこと。
    (5)ジェンダーフリーの観点から、そもそも「男女共同参画」という言い方自体がそぐわない。名称の見直しを検討すること。

  7. 地域の集会施設について
    施設の総量縮減は公共施設マネジメントの取組みの一つだが、市民館・共同利用施設などはそれぞれの歴史的経過もちがうことから、安易な統合や廃止は行ってはならない。以下のことにとりくみ市民サービスを向上させること。
    (1)各施設の使用料については受益者負担という考えを導入し、多くの市民館で使用料が引き上げられた。こうした施設は市民のコミュニケーションをはかる、あるいは文化の向上にも寄与していることから今後は安易な引き上げは行わないこと。また、共同利用施設は有料化しないこと。
    (2)国道171号線以北の広田地域については市民集会施設の空白地であることを市は課題として認識している。早急に地域の希望を聞いて解決すること。
    (3)市民館・共同利用施設の視聴覚設備についてはWi-Fi環境の整備を行うとともに、最新のマルチメディアに対応できる機器を配備すること。

  8. マイナンバー制度について
    国が行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のために導入したとしているマイナンバー制度は、様々なデータを一元化して国民を管理監督しようとするものである。2021年3月からはカードを健康保険証としても利用できるようになっており、今後はさらに銀行口座に紐づけすることも検討されている。
    日本弁護士連合会も個人のプライバシー権の侵害になることを指摘していることから、マイナンバーカードの普及を積極的に行わないこと。