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2022年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:環境局
2021年08月31日

  1. 地球温暖化抑止のとりくみについて
    石井市長も議会答弁において「地球温暖化は世界的規模の問題であるが、行動を起こさねばならない強い危機感を持っている」と述べているように、一つ一つの自治体が本気になってとりくんでいかねばならない課題である。
    市として次のことにとりくむこと。
    (1)中核市として連携している「NATS」の豊中市と吹田市が2021年2月に「気候非常事態共同宣言」を出した。本市も「NATS」の一員として「気候非常事態宣言」を出すこと。
    (2)地球温暖化抑止について本市は、「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画」(2019年〜29年度)を策定し、二酸化炭素排出の少ないまちをめざしてとりくんでいる。しかし、電力自由化によって電力消費量の把握が困難となっていることから、「省エネモニター事業」で市民の動向をつかんで目標を設定するとしている。この動向の把握を行い、排出量の多い民生家庭部門の中で計画を引き上げて取り組むこと。
    (3)市は市役所の温暖化ガス排出削減にとりくむ「第三次西宮市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」の改定を2021年度に行うことにしている。先進市の取り組みを積極的に取り入れ、こだわって目標を実現すること。

  2. 自然再生可能エネルギーの活用について
    温室効果ガスを減らすためにも、電力における自然再生可能エネルギーの活用は欠かせない。日本は自然再生可能エネルギーの宝庫といわれており、特に太陽光発電パネルや地熱発電の日本の技術は諸外国で活用されている。また、経済産業省は2030年時点で太陽光発電のコストが原子力より安くなると試算している。
    自然再生可能エネルギーを増やすために、次のことにとりくむこと。
    (1)国や県は太陽光パネル設置に対する補助制度をなくしたが、まだまだ普及の可能性はあり、現在はベランダ発電なども開発されている。国民一人一人のとりくみが重要であることから、制度を復活させるよう国や県に求め、市としても制度を復活させること。また、エネファームや蓄電池の補助は実施されており評価するが、更なる補助の拡充を行うこと。
    (2)今後新増設される公共施設は、太陽光パネルや蓄電池システムなどを導入することを前提に設計すること。
    (3)全国的に市民共同発電などが広がっている。研究を行い、立ち上げの時には市としてバックアップできる準備をしておくこと。
    (4)市内の自然再生可能エネルギーのポテンシャルを調査し、実際に活用できそうな地域においては実現に向けて動き出すこと。

  3. 環境学習について以下のことにとりくむこと。
    (1)日本で初めて環境学習都市宣言を行った本市では、環境学習サポートセンター、甲子園浜環境センター、甲山自然センターなどそれぞれが、環境学習の場としての役割を果たしているが、総合的に地球温暖化問題などの環境問題が学習できる場も必要である。佐用町にあるひょうご環境体験館などを参考に、県とも協議のうえ、学習の場の建設を検討すること。
    (2)子どもたちが環境問題に関心を持つためには、何よりもまず自然に親しむことが重要であると考える。本市には幸運にも海もあり山もあり川もある。これらの雄大な自然を最大限活用し、子どもたちが自然と触れ合い好きになっていくプログラムを積極的に展開していくこと。

  4. 石炭火力発電は世界の流れに逆行しているが、神戸製鋼所は灘区にある石炭火力発電所に新たに2基の増設を進めており、2021年度および2022年度に稼働開始予定である。市は立地自治体ではなく意見を述べる立場にないと消極的であるが、開発で高塚山の森がなくなったことにより、大気の流れが変わり本市にも大きな影響を及ぼす可能性がある。大気の流れに市境はないことから、稼働すれば温室効果ガスの大幅な排出にとどまらず、PM2.5による被害の可能性もある。市としてこれらの影響について調査すること。

  5. 国は「空き家対策特別措置法」を制定し、市も「西宮市空き家等対策計画」を策定している。市内で空き家は増えてきているが特定空き家はないと聞いている。国は現行法で対処できない事例もあることから、法改正を検討しているがまだ具体化されていない。市内の状況を十分把握した上で、条例化の検討も行うこと。

  6. ゴミ問題について以下のことにとりくむこと。
    (1)ゴミ収集の業者委託は、市内7割以上へと拡大してきた。災害時の対応や、民間への適切な指導上の必要があることからも、これ以上の民間委託は行わないこと。
    (2)2022年4月より、指定袋制度が開始される予定である。有料指定袋制度ではないものの、これまで家庭ゴミの量が少なくゴミ袋を買う必要のなかった人たちも指定袋を買わなければならず、負担が増えてしまう人も少なからずいる。八王子市などでは、生活保護世帯などを対象に、指定袋の無料配布を行っている。本市においても同様の減免制度を設けること。
    (3)ゴミを荒らすカラス対策については2020年度より折り畳み式ネットボックス等購入費の一部補助制度が創設されたが、補助率を上げるなど、さらに実効性のある対策を実施すること。

  7. 食べられるのに捨てられる食品ロスが大きな問題となっている。未使用のこうした食品を持ち寄り、フードバンク協会などを通じて福祉団体や生活困窮者に届けるフードドライブのとりくみが広がっている。市も市内のスーパーなどと協力してとりくんでいるが、十分に周知されていない。市民に認知してもらいとりくみがさらに広がるよう、周知に力を入れること。

  8. 海洋プラスチック問題は国際的に大きな問題となり、2050年には海の魚の量を超えるという研究もある。国は2020年7月1日からプラスチック製レジ袋の有料化を行ったが、レジ袋ごみはプラスチックごみの1.7%と言われており、特に化石燃料から作られるプラスチック全般を減らしていくことが求められている。以下のことにとりくむこと。
    (1)その他プラスチック製容器包装の分別収集については、当初の目標値から大幅に下回っている。まずは市民の意識向上のとりくみが必要である。2022年4月の指定袋制度導入のタイミングで、分別の啓発を強めること。
    (2)容器包装リサイクル法の対象外となっているプラスチックなどのリサイクルへ国も動き出している。その動向を注視しつつ、処理ルートや処理施設の確保の準備を進めておくこと。
    (3)2021年度より給水スポットが公共施設11箇所に設置されたことは評価したい。さらに設置箇所を増やしていくこと。

  9. 市は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」を目的としていた大阪国際空港周辺都市対策協議会に属し、環境・安全対策を求めてきたが、同協議会はジェット機の増便を求めるなど、利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調し、当初の目的から大きく変容している。大阪空港廃止を主張する大阪市は同協議会から脱退した。市も脱退すること。

  10. アスベスト(石綿)対策について、2021年4月より改正大気汚染防止法が施行された。本市においては2020年度より「アスベスト飛散防止対策事業」を立ち上げているが、さらに以下のことにとりくむこと。
    (1)2028年にはアスベスト含有の建材を使った建物の解体のピークを迎えることから、先を見据えた計画的な体制強化を行うこと。
    (2)旧夙川学院短期大学の校舎解体でアスベストが飛散したとして、周辺住民38人が解体業者・開発業者・西宮市に対し損害賠償を求めた訴訟で、請求は棄却されたものの、アスベストが飛散した事実は認定され、市の調査権限の行使は不十分で妥当ではなかったと判断されている。市としてこの判断を真摯に受け止め、今後希望する周辺住民の健康被害の経過観察を積極的に行うこと。

  11. 24時間営業の店舗や深夜営業のカラオケ店、また、焼肉等のにおいの強い飲食店など、騒音・臭気・光などの苦情が多い。「快適な市民生活の確保に関する条例」を実効性のある内容に抜本的改正を行い、市民の要望にこたえられるようにすること。