2022年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:こども支援局/* --項目挿入-- */?>
2021年08月31日
- 新型コロナウイルス感染症は従来の株からデルタ株に置き換わり子どもの感染が増えている。子どもの命や日常生活を守るために保育や学童保育の現場における新型コロナウイルス感染症対策として、以下要望する。
(1)保育や学童保育の現場で感染者が発生したら濃厚接触者だけでなく、すべての職員、子どもを対象にPCR検査を実施すること。
(2)保育や学童保育の現場では、「3密」は避けられないが、少しでも密を避け、保育士や指導員の負担を軽減していくためにも、保育士・指導員の配置基準を見直し増員を図っていくこと。
(3)保育では一定の配置基準の拡充を行っているが、この際条例化し、さらなる拡充を実現すること。
(4)常に感染リスクを抱えながら働いている保育士や指導員に対して、慰労金を支払うこと。
(5)保育所や学童保育所の利用者・職員・出入り業者等が定期的かつ必要に応じてPCR検査を受けられるようにすること。
(6)各保育園に支給されるコロナ対策の支援金は、分園については本園と合算されて支給されている。本園、分園それぞれ別に支給すること。
- 本市の2021年4月1日現在の保育所待機児童数は182人。また、利用保留児(潜在待機児童)数が、2020年4月1日より、98人増加し1,034人となり、引き続き重大な課題である。待機児童問題について、以下要望する。
(1)民間まかせにせず、公立の保育所や分園も増設し、定員を増やすこと。
(2)保育所に申し込みをしたが入所できなかった子どもたちがどのような実情にあるのかを調査し、適切な対策をとること。
(3)市の保育所待機児童対策として、2021年度から1〜3歳児を対象とした「特区小規模保育事業」をスタートさせたが、入所する子どもが少なかった。この要因として公立幼稚園の預かりでは給食がなく毎日のお弁当作りが大変であること。就学前までの保育を求める保護者が多いのが理由である。これ以上、特区小規模保育所を増やさないこと。この際、保育の質を保ちつつ待機児童を解消する策として、市立幼稚園の認定こども園化を検討すること。
- 3歳〜5歳児の保育料は無償となったものの、給食費は年収360万円以下、全世帯の第3子以外は実費徴収となっている。独自で無償化を実施している自治体に倣い、本市でも無償とすること。
- 保育士不足が各地で深刻になっている。解決のためには、賃金が全職種の平均を月10万円余り下回っているなどの低待遇の改善が不可欠である。本市では「保育士奨学金返済支援事業」「保育士宿舎借り上げ支援事業」を実施しているが、保育士不足を改善するという目的に照らして不十分と言わざるを得ない。
市独自で保育士の給与を引き上げる策を考えること。
- 市立保育所、保育事業について、以下のことを要望する。
(1)芦原むつみ保育所は、2019年度に専門家や保護者、公立保育所職員等の意見を踏まえた検証を行い、2021年度は160人定員とし2023年度は180人定員にするとしている。それ以降は未定としているが、新型コロナウイルスの影響がいつまで続くかわからない中で、密状態を生み出す定員増の方針は見直すべきである。現在の160人定員を堅持すること。
(2)保育における公的責任を考え、公立保育所民営化計画はきっぱりと撤回すること。
(3)虐待や貧困などの影響を受けている子どもや、親自身が特別の支援を必要とするケースが増えている。特にコロナ禍においてそのような家庭が増えているという報道がある。市保育所事業課の保健師や保育士等が、市要保護児童対策協議会と連携して対応しているとのことだが、これまで以上にとりくみを強めること。
また、虐待など問題をキャッチできるのは現場の保育士である。研修を強め、適切に対応できるようにすること。
(4)自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で、給食調理員の過重負担がある。調理員の増員をはかること。
(5)誰もが利用できる一時預かり(一時保育)を公立保育所でも実施すること。対象を限定して実施されている現行の「スマイル保育(一時保育)」事業を他の保育所にも拡大すること。
(6)民間保育所や保育ルーム等に対し、保健指導等のための巡回指導など、保育の質を高めるための支援策が実施されているが、いっそう強化すること。
(7)5歳児が送迎バス内に閉じ込められ、熱中症で死亡した福岡県中間市の保育園では、運転手を務める園長が一人で1歳児4人を含む7人を送迎していた。本市でも「高須の森保育園」と阪神西宮駅前ビル内にある小規模保育所の間で送迎バスを運行し、保育士が同乗しているが運行については保育園に任せられている。
そもそも保育園の送迎バスには法整備や基準がない。限られた人員で送迎と保育を兼ねることは困難である。市が責任を持って要綱等を整備し指導すること。
- 子育て広場の設置目標を小学校区に1か所へと拡充すること。
- 学童保育(留守家庭児童育成センター)は、保護者が昼間家庭にいない子どもに、授業終了後および学校休業日に、専用施設を利用して適切な遊びと生活の場を与え、その健全な育成を図る事業である。また、指導員には子どもの安全を守り、適切な指導で発達を保障する専門職としての重要な役割がある。市として次のことにとりくむこと。
(1)現在学童保育は公募による指定管理者制度により運営されており、株式会社も指定管理者として参入しているが、一部子どもへの指導等に問題がみられる。また、常勤職員が配置されていないことや責任者がいない等、事業計画が守られていないところもある。そもそも学童保育には指定管理者制度はなじまない。子どもの成長発達を保障できているのか、市として検証すること。
(2)保育事業と同様に営利はなじまないが、民設民営学童の運営状況を注意深く観察し、くれぐれも子どもたちに不利益が及ばないよう指導していくこと。そして、今後の民設民営学童の増設はやめること。
- 子ども家庭総合支援拠点については、2021年度中に開設予定である。子供家庭支援課にある家庭児童相談室を子ども家庭支援拠点に移行し、「施設」は作らないとしている。職員については子ども家庭支援員・心理担当支援員・虐待対応専門員が配置されることになっている。資格が必要な専門職であるが会計年度任用職員でも可とされている。正規職員を配置することと合わせて、今後、いっそうの拡充を進めること。
- 尼崎市では児童相談所を設置予定であり、中核市でも徐々に増えてきている。明石市では県の児童相談所もあるが、市の児童相談所も設置した。加えて、児童相談所に併設されている一時保護所に入所した場合は元の学校に通学できないことになっているが、今まで通学していた学校にバスで送迎することを実施している。虐待が年々増えている本市でも、子どもの命を守るためにより強い権限を持つ児童相談所は必要な施設である。児童相談所を設置すること。
- 「子育て支援の拠点」として児童館・児童センターを位置づけるのなら、当然直営を守るべきである。あわせて、休日の開館や、地域偏在の解消・増館についても進めること。
- 子どもの7人に1人が貧困状態にある。コロナ禍において失業者が増えており、貧困率がさらに高まっている可能性は高い。特に母子世帯では貧困状態が深刻である。
市では「西宮市子ども・子育て支援プラン」の中に「子どもの貧困対策計画」が盛り込み、学習支援などを行っているが、まだまだ十分とは言えない。現行の計画を確実に実行するとともに、医療支援を追加するなど、さらなる拡充を図ること。
- 子供家庭支援課では、親族などからの支援が期待できず、乳幼児の適切な養育が困難な家庭に、産前、産後、育児支援ヘルパーを派遣し、食事、洗濯、掃除、買い物等の援助を行っているが、回数や対象者が限られている。困った人は誰でも活用できるように改善すること。また、福祉事業団のヘルパーだけでなく民間やNPO法人等にも拡充しその申請についても簡素なものにすること。