HOMEへ
野口あけみの一般質問
2022年09月06日

「住まいは人権」の観点から 〜 住宅セーフティネット制度について


 ただいまから、日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、野口あけみが一般質問を行います。傍聴にお越しのみなさん、さくらFMや市議会インターネット中継をご視聴のみなさん、お疲れ様です。ありがとうございます。

2006年、住生活基本法が制定され、本市でもそれに基づいた住宅施策が展開されています。マンション管理基礎セミナーや実務セミナーの実施、分譲マンション管理アドバイザーの派遣、空き家利活用制度、住まいに関する各種相談業務などです。

 住生活基本法制定からさかのぼること10年、1996年6月にトルコのイスタンブールで第2回国連人間居住会議が開催されました。 この会議には各国政府代表だけでなく、地方自治体、NGO、研究者、企業などが参加し、採択されたイスタンブール宣言では、「人間にふさわしい住まいは、命の安全、健康、福祉、教育や本当の豊かさ、人間としての尊厳を守る基礎であり、安心して生きる社会の基礎である」という前提のもと、「適切な居住への権利」は基本的人権であることが宣言され、各国政府は居住権の保障を自国の住宅政策の最重要課題として進めていくことを確認しあいました。このイスタンブール宣言には日本政府も署名しています。日本政府も「住まいは人権」であることを認め、住宅政策を拡充していくことを、国際的にも確約したということです。

 「すまいは人権」、このことは、阪神淡路大震災を体験した私たちも実感するところではないでしょうか。震災で住まいをなくした被災者の生活再建は、とりわけ困難をかかえました。住まいがあってこその生活であって、住まいは安心して生きる社会の基礎、土台です。

 さて、この宣言から10年後に策定された住生活基本法は、「住まいは人権」の観点に必ずしも立ち切れていないものです。「住生活の安定の確保及び向上」を掲げてはいますが、住宅確保は個人の努力に任され、ひきつづき持ち家の建設、取得、維持対策に偏重している一方で、賃貸住宅の居住者支援は極めて乏しいままです。

 また、公団住宅(現在の都市再生機構住宅)を含む、公共住宅の位置づけが大きく変わりました。公共住宅は長らく幅広い国民を対象とした住宅でした。それが憲法に基づく国の責任だと考えられていたからです。また、かつては公団住宅が「寝食分離」やシステムキッチンなど近代的な住生活を定着させるなど、我が国の居住水準の向上に大きな役割を果たしました。安価で良質な公共住宅が一定のシェアを占めれば、それは民間の住宅にも影響を与え、国民全体の住生活の改善・向上につながります。ところが、基本法のもとでは、公共住宅の供給に関する政府目標をなくし、公共住宅の供給を「セーフティネット」対策、救貧対策に矮小化させて、どんどんと削減していくこととなりました。

 住まいは人権の観点から、この基本法の問題点や、特に公共住宅の供給についてなど、言いたいことは山ほどありますが、本日の質問では、民間賃貸住宅の問題のうち住宅確保に関して配慮が必要な世帯についての現在の施策に絞って取り上げます。なお、6月議会大原議員の一般質問と一部重なりますが、別の観点からの質問ということで、ご容赦ください。

 賃貸住宅の供給はほぼ民間市場にまかされており、高すぎる家賃に暮らしが圧迫されている世帯が、年金世帯や、学生を含む単身者世帯、シングル子育て世帯などに広がっています。 民間賃貸住宅を視野に入れた住宅困窮者支援は、生活保護制度の住宅扶助や、コロナ禍で利用が拡大した住宅確保給付金以外に、2017年10月からスタートした、住宅セーフティネット制度があります。これは同年4月に公布された住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (略称 住宅セーフティネット法)によるものです。

 国土交通省によればこの住宅セーフティネット制度は、次の3つの柱からなっています。1つは、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット登録住宅)の登録制度。2つ、登録住宅の改修や入居者への家賃補助など経済的支援、3つ、住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援です。

そこで質問です。
@本市における、持ち家(戸建て、マンション)、公的住宅、民間賃貸住宅のそれぞれ居住者の割合はどうなっているか。住宅セーフティネット制度の対象となる住宅確保要配慮者は、どのぐらい存在するか、お答えください。
Aセーフティネット制度の本市での現状と課題
B真に住宅確保が困難な世帯を支援しようと思えば、家賃補助こそ必要ではないか。全国には、自治体独自で家賃補助を実施している例もあり、本市でも検討すべきでないか。