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2023年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:都市局
2022年09月01日

  1. 開発事業等において、西宮市は、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」にもとづき、開発をしようとする事業者にたいし、当該事業敷地の近隣住民等に、事業計画等について十分な説明を行うよう指導するとともに、「近隣協議報告書」の提出を義務づけている。しかし、実態は、周辺住民の意見が十分反映されず、協議が十分尽くされないまま開発が進んでいく例が多々ある。条例で義務づけられた協議対象範囲を、開発の影響を受ける周辺住民へと広く対象を拡大するとともに、協議の在り方を見直し、まちづくりに住民が参画できる仕組みをつくるなど、秩序あるまちづくりのための研究、検討を重ね、現状を改善すること。

  2. 旧耐震基準の住宅について、耐震性の簡易診断、あるいは設計や工事に対する補助制度がある。あわせて、その制度以外に、建物の部分的な耐震化工事費補助として「シェルター型工事費補助」、「屋根軽量化工事費補助」、「防災ベッド等設置助成」がある。 
    しかし、いずれの制度も利用者が少ない。制度の活用促進のための工夫と努力を強め、市の補助金を増額するとともに、県や国にも増額を求めること。

  3. 西宮市内では民間賃貸住宅家賃が高く、学生、高齢者、子育て世帯などが、部屋を借りにくい現状がある。賃貸住宅家賃補助制度を創設すること。

  4. 低所得者などの住宅確保要配慮者対策として、市は相談窓口を設けているが、住宅セーフティネット制度の実効性を高めるため、この制度を市民に広く周知することとあわせ、関係各課や関係団体との連携体制をより充実させ、発展させること。

  5. 空き家対策は、利用促進や適正管理を促す啓発活動や空き家相談などの取組みを継続し、管理が不適切な空き家の発生や増加を抑制していくことが重要であり、西宮市も、2021年2月4日「NPO法人兵庫空き家相談センター」と連携協定を結ぶなど、制度と体制が整えられてきた。しかし、問題が複雑多岐にわたるだけに、その取り組みは、緒についたばかりといえる。いまの制度と体制で、最大効果を発揮するための努力をするとともに、施策や事業の進捗状況をたえず評価・検証し、取り組みを充実させること。

  6. UR(都市再生機構)の家賃については、その公共的使命から機構法25条4項に「既定の家賃の支払いが困難なものには減免することができる」と規定されている。しかし、減免の基準が示されておらず、対応する窓口などが不明確である。市は、URに対し、減免の基準や、窓口の設置、減免申請書の様式など、減免についての規則等をURが制定するよう強く働きかけること。

  7. 市営住宅について、次のことにとりくむこと
    (1)市は、新たに策定した「西宮市営住宅整備・管理計画(2022年−2031年)」において、市営住宅の供給方針を、「真に住宅に困窮する低額所得者に対して市営住宅を供給する」とした。これは、市営住宅供給の対象をより狭く限定することによって、市営住宅の供給を減らす従来の方針を合理化するものといわざるを得ない。
     西宮市民の実態は、貧困と格差が広がるなかで、困窮者は増え続け、市営住宅への入居要求は拡大している。住民要求に応え、市営住宅を増やすこと。
    (2)市営住宅の管理全般は、全市一指定管理者で行っている。市営住宅入居者は高齢単身者が多数を占め、福祉的な対応が求められるが、指定管理者では入居者の様々な要求や相談に十分な対応ができていない。市営住宅の管理は市直営に戻すこと。
    (3)市営住宅の空き室が目立つ。募集戸数を増やすこと。
    (4)市営住宅の公募は、新規申し込みは年3回、住み替えが年3回だが、県営住宅は毎月1回行っている。市でも県と同様の頻度で行うこと。
    (5)階段型市営住宅へのエレベーター設置は、住民の4分の3の合意でできるように緩和されたが、市が積極的にかかわって早急に設置すること。
    (6)家賃や共益費については、福祉的な観点からも、公平性の観点からも、改良住宅と一般市営住宅で統一するよう検討すること。また、市は入居者間で不公平感の解消を掲げているにもかかわらず、一般市営住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いも一部残されており、同一基準とすること。
    (7)改良住宅の空き家については一般市営住宅並み家賃で募集するようになった。しかし、共益費については徴収せず、一般市営住宅との間で、異なる取り扱いとなっている。今後の建て替えを進める中で改良住宅の在り方を抜本的に整備すること。
    (8)名義の承継について、「同居人である配偶者および高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要があるものに限る」との国土交通省の通知があるが、これは運用次第で入居者の追い出しにつながり、新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き、従来の市の方針を堅持し、慎重かつ柔軟に対応すること。

  8. 新型コロナウイルス対策における特別定額給付金については、市営住宅家賃の算定に該当しないということになったが、その他の給付金や協力金については、収入算定されるとのことである。国会での質問主意書に対する答弁書では、新型コロナウイルス対策における給付金や協力金を、家賃の算定において収入に加算するかしないは、それぞれの自治体の判断によるとされている。家賃を算定するにあたっては、兵庫県と同様に、給付金や協力金を収入の対象に加えないこと。