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まつお正秀の決算討論
2022年10月05日

認定第20号令和3年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について


 ただいま上程されております議題のうち、認定第20号令和3年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について、日本共産党西宮市会議員団は反対いたします。

 以下理由を述べます。
 まずその前に今朝、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を行いました。これは同国の核兵器開発と弾道ミサイル関連のあらゆる活動を禁じた国連安保理決議への違反であり、日本共産党は厳しく抗議するものです。
 また、ちょうどこの決算審査のさなかに安倍元首相の国葬が行われました。この国葬は憲法14条の法の下の平等原則、19条の思想信条の自由に反するものであり、そもそも国葬を行うための根拠となる法律がないことなどから、国民の6割以上が国葬に反対していたなかでの強行です。市当局や教育委員会にはわが党議員団だけでなく、市民団体からも弔意の強制につながらないように、との申し入れもなされましたが、国論が二分された中での国葬において、市役所庁舎には半旗が掲げられ、私費(わたくしひ)とは言え、石井市長が国葬に参列されたことは大変残念に思います。
 さらにこの銃撃事件をきっかけに明らかになった旧統一協会と安倍元首相の関係は、旧統一協会が国政だけでなく地方政治にも深く入り込み、長年にわたって影響を与えるとともに、お互いが持ちつ持たれつの関係であったことも明らかになりましたが、このことに対する調査もまともに行われていないことも岸田内閣不支持の拡大へとつながっています。党議員団は9月16日に議長に対し、全議員の旧統一教会との関係を調査・公表する様に申し入れを行ないましたが、議長からは思想信条の自由もあり、議長の権限としてはできないという回答がありました。
 また、昨日の議会運営委員会で議長は信教の自由があるとも発言されました。わが党としては、旧統一教会は単なる宗教団体ではなく、反社会的カルト集団だと考えます。現に欧米ではカルト集団として扱われています。議会運営委員会で調査・公表について各会派に持ち帰っていただいて検討いただくことを求めたところですので、ぜひご検討いただきたいと思います。

 それから、国は約3年近くに及ぶコロナ対策での無為無策で多くの犠牲者を出しており、本市も例外ではありません。さらにとみに深刻となっている物価高騰への対策では世界では96の国が消費税減税を行い国民の暮らしを本気で応援していますが、わが国ではそうした本気度が見えない対策のみとなっています。
 本市においては地方創生臨時交付金を活用した物価高騰対策として、学校給食の来年3月までの無償化が行われます。このこと自身は評価をしたいと思いますが、一時的な制度としてでなく、継続して行うように求めておきます。また、暮らし応援という点では子どもの医療費助成制度の対象が高校生にまで拡大されたことは喜ばしいことですが子どもの医療費完全無料化を早期に行うよう求めるものです。

 さて、今回上程されております令和3年度の決算は、一般会計と特別会計を合わせて歳入では3014億8979万円、歳出では2945億3357万円で69億5622万円の黒字、翌年度に繰り越すべき財源2億9287万円を控除した実質収支は66億6333万円のプラスとなりました。
 一般会計だけで見てみますと歳入が2104億807万円、歳出では2049億3420万円で、阪神淡路大震災直後の2年間を除き、コロナウイルス初年度対応で膨れ上がった令和2年度に次ぐ決算規模となり、実質収支は51億9000万円の黒字となっています。
 この一般会計の黒字について市は、歳入において国からの新型コロナ対策事業費の増、また地方交付税や臨時財政対策債の増が主な要因であるとしています。また、市税は前年度比マイナス10億7000万円となったものの、譲与税や交付金が22億7000万円増になったことも黒字の要因としています。国や県から概算で受けた補助金などの今年度返還分が29億円含まれるとはいえ、予定していた基金も取り崩すことなく、財政基金と減債基金はあわせて237億3200万円、公共施設保全積立基金などの特定目的基金164億7000万円を加えると402億300万円と初めて基金が400億円を超えるなど、安定した財政運営ができているということが言えるのではないでしょうか。当局は、口を開けば財政が厳しいと繰り返していますが、市民の福祉の増進を実現することを何よりも優先して取り組むよう求めておきます。

 それでは決算における問題点を指摘します。
 まず、何よりも国言いなりの政治姿勢の問題です。
 特に国のデジタル化に対する追随姿勢です。2025年度までに、国は「情報システムの共同化・集約化の推進」を掲げ自治体に対し、国が決めた基準に適合したシステムの利用を義務付けています。このことは自治体それぞれの独自施策システムを統一化させようとする狙いを垣間見てとれます。また、デジタル化関連法では、個人情報保護法が改正され、今ある個人情報保護条例をいったん廃止し、施行条例を新たに定めることになります。これまでの保護条例の内容を後退させることのないように求めておきます。
 そして同時にデジタル化と一体に国はマイナンバーカード普及をしようとしているのです。国のマイナンバーカードを何としても作らせようとする姿勢は20000円分のマイナポイント付与に表れていますが、このことについて新たに就任した河野太郎デジタル大臣がこのマイナポイントについて若干邪道なところがあると述べています。今度はさらにカードの普及率を地方交付税の算定基準にする方針を国が示して地方の反発を受けていますが、なりふり構わずカードをつくらせようという姿勢は言語道断といわざるを得ません。市は市政ニュースでのこのカード推奨を行い、さらにカード発行者にノベルティの配布などを行っていますが、国に追随するこうした姿勢は問題と考えます。

 二つめは名神湾岸連絡線推進の姿勢についてです。この計画は当初600億から700億円といわれていたものが、計画の変更や人件費の高騰などがあって予定費は1000億円を超えるまでに膨れ上がっています。この事業は第二次安倍政権が打ち出した200兆円の国土強靭化計画の一環であり、その時に自民党は日本建設連合会に4億7100万円の政治献金を要求しています。まさにゼネコンのための公共事業ですが、名神湾岸連絡線はその一つでもあり、すでに事業化をされた現在、近隣住民や移転対象事業者などの理解を得ることを求めるものではありますが、それを推進する立場の市の姿勢には反対するものです。

 三つめは本市で初めて導入した国家戦略特区を活用した小規模保育事業における保育所整備と公立幼稚園の連携についてです。小規模保育所を卒園した3歳児の受入枠が少ないため、特区小規模保育所は1歳児〜3歳児を保育し、卒園時に公立の夙川幼稚園、越木岩幼稚園、高木幼稚園の4歳児クラスに入園が可能となります。
 2022年9月1日現在、特区小規模保育所8カ所に102人の子どもが在籍しています。1施設19人定員となっていますが、どこの施設も定員を下回っており保育だけでなく、運営面でもやりくりが大変ではないかと思います。
 2022年4月、特区小規模保育所を卒園した子どもは夙川幼稚園に6人中4人、高木幼稚園に5人中3人が入園しています。公立幼稚園を入所先に選ばなかった理由として市が言うには、給食がないので、毎日お弁当を持参しなくてはならないとのことです。やはり、保護者が望む就学前まで安心して通える認可保育所を増設することを要望します。
 
 ついで意見・要望などを申し上げます。
 一つ目は行政経営改革についてです。2021年4月に「業務効率化取り組み方策」が策定され、その中では市民課窓口業務について民間委託を検討するとしています。
 吹田市では市民課委託業務計画が、2022年3月議会で関係予算削減を全会派から求められ、計画の撤回へと追い込まれました。その背景には、計画内容が明らかになるにつれ市民から反対の声が広がり、5人の弁護士などからも@個人情報漏えいの可能性A偽装請負の危険性B住民サービス低下C委託料増加の可能性を指摘する意見書が提出されるなど運動が広がったことがあります。委託の問題点は吹田市で指摘されたとおりであり、本市の市民課業務委託は行わないように求めておきます。

 二つ目は廃止となった高齢者交通助成制度についてです。
 今回、これまでの高齢者交通助成制度の対象者は88853人だったものが、バス運賃助成制度や福祉タクシーの対象者拡大にとってかわられ、バス運賃助成制度や福祉タクシーの対象者拡大の人数を入れて利用は34751人、健康ポイント制度利用(5011人)を含めてもこれまでの半数以下しか利用できていないという実態です。またバス助成制度はバス路線が不十分な地域もあります。そうした地域ではタクシーが利用できるよう拡充することや、今後鉄道会社の再度の協力を求めることと合わせ、さらなる研究・検討を求めるものです。

 三つめは高校の統廃合についてもこの際申し上げておきます。
 2022年7月14日、県教委は突然県立高校14校を6校に統廃合する計画を発表し、西宮市では西宮北高校と西宮甲山高校の2校を統廃合の対象校としました。しかし、中学生には県教委が作成したビラを1枚配布したのみで、生徒・教職員、保護者、地域住民に全く説明もなく、疑問や不安に応えるものではありません。
 統廃合の理由は少子化のみとし、子どもをめぐる貧困、虐待、いじめ、不登校、ヤングケアラー、教師の多忙化等々、様々な問題については何の議論もありません。
 兵庫県は全国に先駆けて1992年に40人学級を導入しました。そして、現在では国が小学校で35人学級を進めています。高校統廃合については、現場の教師、保護者からは、少子化の今だからこそ、一人ひとりの子どもを大切にする行き届いた教育への第一歩として、学校を統廃合するのではなく、少人数学級を実施するべきとの声が出されています。そのことが、生徒たちの教育環境をより一層改善していくことにつながると考えます。

 次に特別会計について意見を述べます
 まず、国民健康保険特別会計についてです
 本市ではこの時平均保険料率が1.59%、金額では平均2070円引き上がりましたが、他の阪神間のほとんどの自治体が新型コロナウイルスによる所得減少を考慮して保険料を据え置いたことに加え、国の求めという事があるものの、今後も保険料引き下げの一般会計からの繰り入れを順次なくしていく計画が示されたのは冷たい仕打ちであるといわざるを得ません。新たな減免制度が設けられましたが、これまでの保険料引き下げのための繰り入れ額を下回り、トータルでは保険料が上がっていくことになります。さらなる保険料引き下げの仕組みの研究を要望しておきます。

 次に後期高齢者医療保険特別会計についても申しあげておきます。
 この制度の批判回避のために制度発足当初からあった特例軽減制度において、国が令和元年度から順次廃止し、令和3年度は残っていた7.75割軽減を7割にしてすべての特例軽減が廃止となりました。また、令和4年10月、今月の1日から窓口負担が一割のところが二割負担になる、この制度対象者の20%ですが負担が大きく増えることになります。また、この9月4日の新聞では、「国が近く、後期高齢者医療制度保険料の引き上げの検討に入る」と報じていますが、今後も高齢者の負担が増やされていく可能性があり、「高齢者の姥捨て山制度」といわれるこの制度の廃止を国に求めるものです。

 次に介護保険保険特別会計についてです。令和3年度は1号保険者の保険料そのものは据え置きとなったことは評価するものの、第8期の計画では、国が特別養護老人ホームにおける低所得者に対する食費の値上げ、補足給付の対象外を拡大するなど負担増が盛りこんだとは大きな問題と考えます。第9期に向けて利用料の二割負担や、要介護1,2の保険給付からの排除、ケアプランの有料化などの論議も始められており大いに問題があると考えます。

 最後に食肉センター特別会計です。
 我々は食肉センターで加工された食肉のほとんどが市外で消費されている事に加え、市は一般会計から毎年多額の繰り入れを行っていることからこの会計には反対してきました。令和3年度も一般会計から1億8900万円が、繰り入れされ、債務負担行為で皮剥ぎ機の購入も行われました。今後も様々な機器の購入に加え、将来の建て替えも含めて多額の市税を費やす食肉センターは民営化、もしくは廃止すべきであり、この特別会計に反対するものです。

 以上、認定第20号に対する反対討論とします。