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坂上明議長不信任決議(案)の提案
2022年12月19日

 ただいまより、決議案 第4号 坂上明議長不信任決議(案)について、僭越ながら私、野口あけみが、提案者7名を代表して提案説明を行います。 まず文案を読み上げます。

坂上明議長不信任決議(案)



 NPO法人との間での金銭授受問題について、市民の疑惑がいまだ晴れず、2022年6月議会には疑惑解明の進展を求める陳情が出された坂上明議長だが、今度は旧統一協会との深い関係が、11月15日、ネット配信記事で報道された。
 
 今や、旧統一協会は多額の献金の強要や霊感商法など違法な行為を行ってきた反社会的団体であることは明らかであり、被害者救済や宗教法人としての認可取消しが取り沙汰される事態となっている。そのような旧統一協会と自民党は、半世紀にわたって関係を続け、結果として自民党は旧統一協会の反社会的活動を庇護してきた。

 記事では坂上議員と旧統一協会の関係が3点指摘され、自身が下記のように取材に答えている。
@2020年2月に旧統一協会は関連団体とともに「ワールドサミット2020」などを韓国で開催した。これは元信者によると合同結婚式で、このイベントに50〜60人の地方議員が参加。兵庫県からは少なくとも7人が参加しておりその一人が坂上明議長である。
 これに対し坂上明議長は「旧統一協会の誘いで韓国に行ったのは事実、合同結婚式があるとは知らなかった」旅費は「6万円くらい用意したが、『今回は結構です』と言われ先方が払ってくれた」
A選挙支援については、「18年かその前の統一地方選で、推薦はがきを10枚か20枚、お願いしている。選挙はそれだけだ」
B「秘書時代から懇意の方に誘われ年に2回くらいイベントに出席している。自民党の派閥の領袖を務めた先生の秘書からで30年近く前から、その後3人の国会議員に秘書として仕えた。4人の先生いずれも旧統一協会とは何らかの関係があった。旧統一協会のイベントに何度も出席した。そういう関係から韓国にも誘われた」
 
 以上のように、坂上明議員は取材に対し、旧統一協会との深い関係を認めている。政治家として旧統一協会との深いつきあいを認め、真摯に反省するなら、議長を辞職する以外にない。
 坂上明議員が議会を代表する議長の役職をこのまま続けることは、西宮市議会の名誉を傷つけるものである。

 よって、ここに坂上明議長の辞任を勧告するとともに、不信任を決議する。



 決議案にもある通り、11月15日に坂上議長と旧統一協会の関係を示す記事が配信されました。11月22日の議会運営委員会で、これをよつや議員が紹介し、追及。その後、11月29日に、わが党議員団3人と、よつや、一色議員5名で、議長と旧統一協会との関係について、「説明責任を果たすこと」と「議長辞職」を申し入れました。12月6日に「質問があれば、事実に基づいて誠実に説明する」などの回答があり、12月16日、議会運営委員会の陳情審査の場で、議長に対する質疑があったところです。

 坂上議長は、1992年(平成4年)河本敏夫衆議院議員の秘書から始まり、2007年に西宮市議会議員になるまでの間、4人の自民党国会議員秘書を務め、その4人ともが「ふつうに報じられている通り」これは坂上議長の言葉ですが、旧統一協会の行事に出席したりメッセージを送るなどしていたため、ご自身も代議士代理として出席していたと説明されました。
 「知り合いを通じて付き合いがあったが、他のいろいろな団体とも付き合ってきた。いったい何に責任をとっていいのかわからない」とも語られました。

 やり取りを進める中で、坂上議長は、秘書時代にも市議会議員になってからも、宗教団体である旧統一協会のイベントには一切参加していない、旧統一協会ではなく天宙平和連合(UPF)の行事に参加していただけだ、訂正する、とされました。

 しかし、天宙平和連合(以下、UPF)は2005年に、文鮮明とその妻、ハンハクチャによって創設された団体であり、このことは、坂上議長もUPFの母体は旧統一協会だとお認めになっています。UPFが事務所を置く新宿のビルの3Fには、世界平和統一家庭連合東京同胞教会(旧統一協会)があり、その他、平和大使協議会、真の家庭運動推進協議会、一般財団法人国際ハイウェイ財団、日本純潔同盟、世界平和宗教連合、宗教新聞社、統一思想研究院、世界平和教授アカデミー、世界平和青年学生連合などなどの、いわゆる旧統一協会の関係団体がずらりとそろっています。さらに、安部元首相の銃撃事件の直接のきっかけは、加害者が2021年9月に開催されたUPFのウェブ集会に安倍元首相がビデオメッセージを送ったことを知り、安部氏が旧統一協会とかかわりがあると考えたからだといわれています。

 また、旧統一協会問題を追及してきたジャーナリストによりますと、2020年4月、ハンハクチャは旧統一協会=世界平和統一家庭連合の名称を「天の父母様教団」と変更し、教団側が言うところの摂理機関を包括する組織「天の父母様聖会」をつくろうとしたとのこと。2020年5月15日、旧統一協会公式チャンネルでハンハクチャは、「天の父母様の大きな傘の下にこれまで私たちが活動してきたNGO 天宙平和連合(UPF) 家庭連合 女性連合などすべてが入り天の父母様を120%証ししなければなりません」とのべています。
 この計画は日の目を見ず撤回されたようですが、いずれにしても、旧統一協会側からは、UPFや世界平和女性連合などは自らの教えを世に普及するための摂理機関にほかなりません。その他、霊感商法を行っている株式会社ハッピーワールドなどなどを含め、旧統一協会関連団体は、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)の調べで、わかっているだけでも70団体以上ありますが、旧統一協会の活動は、このように多数の関連組織、団体によってなされています。

 坂上議長は、ご自身は霊感商法などを行ったこともないし、選挙で支援を受けたこともない、イベントに招待があったから参加しただけのこと、なのにどうして責められなければならないかわからないということなのでしょう。今後関わらないようにしたいといったのも、反省からではなく、大きな社会問題となっており、自民党のコンプライアンスが変わったので、お付き合いは清算しなければならないからだ、と語られました。

 しかし、旧統一協会と政治家と関わることの問題点は、2018年6月1日、全国弁連によって発せられ、全国会議員に配布された声明で明瞭です。一部を読み上げます。
 「昨今、国会議員、地方議員を問わず、家庭連合の集会や式典に出席し、祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っています。これらは、家庭連合により、自分たちの活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」として利用されます。」「家庭連合は、統一協会と名乗っていたころから、信者の人権を抑圧し、霊感商法による金銭的搾取と家庭の破壊等の深刻な被害をもたらしてきた反社会的な団体であり、家庭連合に名前を変えてからもその体質は変わっていません。政治家によるお墨付きは、家庭連合による反社会的な活動を容易にし、また、是正を困難にするものとして悪用されます。これは政治家にとって、本意ではないはずです。」「政治家の皆様が統一協会と連携することがどのような社会的弊害をもたらすか考えて慎重な対応をされるようお願いします」
 全国弁連は2019年9月にも国会議員に向け、要望書を届けています。そこからも少しご紹介します。
 「政治家は国民あるいは住民の指導的立場にあり、その行動が国民や住民に対する指針となるべきです。私たちの指導者が、ある団体の行事に参加し、祝電を送る場合、国民はその団体が反社会的団体であるなどとは思わないのが通常でしょう。これは、指導者である政治家が反社会的団体に関する否定的な見解を一掃し、公的団体としてのお墨付きを与える効果をもつことを意味します。」
「市民が、政治家の行動を見て、家庭連合の勧誘に警戒心を抱かないようになれば、新たな被害者を生みかねません。政治家は自身の行動が及ぼす社会的影響に十分な注意を払うべきです」
 この要望書では、旧統一協会が単なる宗教団体ではなく、いかなる反社会的活動を行ってきたのかについても詳しく述べています。私も議会運営委員会の場で申し述べました。

 坂上議長の特に市議会議員となってからのかかわりは、「事実に基づいて誠実に説明をする」という割には具体性に欠けており、行事参加の一覧など資料の提供を求めました。また、議運では選挙での支援はなかったと答えておられましたが、取材に対しては、選挙はがきは頼んだとも応じておられます。さらなる解明が必要だと考えます。

 しかしながら、それを待つまでもなく、旧統一協会と30年にわたってかかわりがあり、そのことが社会的にどんな影響を与えているのかに、いまだにまったく無自覚である坂上明議長は、議長の職にふさわしくない、よって辞職を求めるものです。

 以上、決議案第4号 坂上明議長不信任決議案の提案説明とします。