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野口あけみの賛成討論
2022年12月19日

請願第19号 国に対し「介護保険制度の改悪をしないことを求める意見書」の提出を求める請願について


 請願第19号 国に対し「介護保険制度の改悪をしないことを求める意見書」の提出を求める請願に、賛成の立場から討論します。

 2024年度から始まる第9期介護保険事業計画の改定において、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会介護保険部会では現在、@介護保険サービスの自己負担を原則2割、あるいは2割負担の対象者拡大、Aケアプランの有料化、B要介護1,2の生活援助を保険給付から外し、市町村の裁量による総合事業に移行させる事などが議論されており、年内にも取りまとめ、2023年の通常国会で法改正をしようしています。
 本請願は、今でさえ、費用負担ができずに、必要な時に必要な介護サービスを利用することができない実態があり、これらの改悪はやめてほしいと議会から国に対し意見書提出を求めているものです。なお、本請願には市民のみなさん3512人の署名も添えられております。

 これまでも介護保険制度は改定のたびに負担が増えて給付は減らされてきました。「保険あって介護なし」とか、制度創設に関わった厚労省官僚は「介護保険制度は国家的詐欺」とまで酷評しました。そして、この度の改定議論の内容も「史上最悪」と評価されるようなものです。

 こうした改定内容に、事業者も利用者も反対の声を上げています。
 介護業界8団体(公益社団法人全国社会福祉施設協議会、同 全国老人保健施設協会、同 日本認知症グループホーム協会、同 日本介護福祉士会、一般社団法人日本介護支援専門員協会、日本ヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会、全国社会福祉法人経営者協議会)は、連名で10月21日、厚労省に「医療、介護、行政、住民が力を合わせてきた、過去の積み上げを破壊し、先人たちの努力を踏みにじる改革」だと改悪反対の要望書を提出しました。
 利用者団体の「認知症の人と家族の会」は、11月5日、「コロナ禍で募る不安と物価高、生活苦に追い打ちをかける介護保険の負担増と給付削減に断固反対します」とのアピールを出しました。そのなかでは、「サービス利用の自己負担が1割から2割になったら、私たちのくらしはどうなるでしょうか。施設入所の人は現状でも負担額が大きいのに、さらに負担増になったら、施設にいることができなくなる」などの声を紹介し、「全国どこにいても必要な人が必要なサービスを権利として使うことができる介護保険制度の根幹を揺るがすもの」「介護保険が利用したくても利用できない制度になってしまったら、私たちの生活が破綻するだけでなく、次世代の人たちに安心な社会を受け渡すことができない」と断罪しています。11月24日には8万4千人の署名も厚労省あて提出しています。
 中央社会保障推進協議会、全日本民主医療機関連合会、全労連は11月22日、13万8千人の署名を国会に提出しています。

 こうした世論の高まりのなかで、ケアプランの有料化と要介護1,2の総合事業への移行は今回改定では見送り、あるいは年内のとりまとめは延期などと報道されているところですが、なんとか支出を抑えたい財務省はまだあきらめていないとも言われています。また、利用料の2割負担対象者の拡大は強行の構えであり、その先には原則2割を目指しているのです。

 よって、保険者である市も、また市議会からも介護保険制度の改悪を許すなとの声を上げていくことが大変大事です。

 本請願の委員会質疑では、「財源をどう確保するか」「介護保険制度の持続可能性が大事云々」などとのご意見がありましたが、持続可能性とは、その機能が継続されなければなりません。この度の改悪が許されれば、それこそ、「保険あって介護なし」です。制度は残る、持続するかもしれないが、必要な介護が受けられない、機能が失われるということになりかねないのです。
 また、岸田首相は来年度からの5年間で防衛費を43兆円にするよう指示、大増税とともに歳出改革を打ち出しました。大軍拡のために介護が必要な人々の暮らしの支えが押しつぶされるようなことがあってはなりません。

 議員各位におかれましては、本請願を採択していただき、西宮市議会として、国に対し、介護保険をこれ以上改悪するな の声を示そうではありませんか。以上、賛成討論といたします。