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野口あけみの代表質問
2023年02月24日

少子化対策 ―— 子育て支援策について


 「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田政権ですが、まだ具体策は見えていません。それどころか、育休中の学び直しなどと的外れな施策を打ち出し、子育て世代から「実態をわかっていない」と大ブーイングを浴びている始末です。
 岸田首相は基本方向として@児童手当などの経済的支援強化、A子育て家庭を対象にしたサービスの拡充。B働き方の改革を示していますが、一番大事な問題が抜け落ちています。教育費負担の軽減です。2020年度の政府による「少子化社会に関する国際意識調査」では、「育児を支援する施策として何が重要か」という質問に「教育費の支援、軽減」が69・7%と断然1位でした。続いて経済負担軽減のための手当の充実や税制上の措置、49・3%、雇用の安定45・4%と続きます。
 少子化には、結婚しないできないという非婚化と、夫婦が望む子どもを持てない、という2段階があります。より深刻なのは非婚化です。非正規労働が増え賃金も上がらない中、結婚が増えるわけがない。雇用対策や賃上げ、住宅支援が必須だ、この30年、少子化対策にこれらが盛り込まれてこなかったのが重大な問題だ、とある有識者は語っておられます。
 ただし、結婚をするしない、子どもを持つ持たないは個人の選択を尊重すべきです。「性的少数者は子どもをつくらない、生産性がない」などという自民党国会議員の主張は国民から厳しい批判にさらされ、こうした差別的発言は堂々と語れなくなったと思いきや、先ごろ、岸田首相秘書官は性的少数者や同性婚について「見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ。同性婚なんか導入したら国を捨てる人も出てくる」などと述べ、更迭されました。こうした古すぎる家族観やジェンダー観が少子化対策にも影響を与えています。今これらを乗り越える世論が若い世代を中心に沸き起こっています。
 その一つが、所得制限撤廃問題です。かつてこの議会でも所得制限をやめよ、緩和せよという私たちの主張や市の施策に対し、バラマキだという批判が公然と上がっていましたが、昨今特に、子育て支援に際しては所得制限があることがおかしいという声が広がりつつあります。「子育て関連支援の所得制限撤廃を求める親の会」が発足し、児童手当や高校無償化、障害児支援の対象から外れ、子育てにかかる負担が重くなっているとして所得制限の撤廃を求めています。子供の産み控えや世帯間の分断を招きかねない、子育ては自己責任とみなす風潮につながる、親の所得なのに影響が子どもたちに及んでいる、などと訴えておられますが、その通りだと思います。

質問です。
ア、所得制限について
 昨年6月議会で、佐藤議員がこども医療費助成制度の質問のなかで、東京特別区長会会長の「所得制限で差別すべきでない」との言葉、明石市長の「高所得者は保険料や税金をたくさん払っている」これは補足しますと、「払っている分サービスも受けられるべき」ということですが、この言葉を紹介していました。これに、市長も「おおむね同じ感覚だ。一定の所得によってありなしと区切るのは合理性があまりない」とご答弁されました。親たちも声を上げ始めている「所得制限の撤廃」ですが、これをどう受け止めていますか。改めてお聞きします。

イ、こども医療費助成制度
 今年1月から、これまでまったく助成のなかった一定所得以上の世帯の小学4年から中学3年までと、さらに高校生世帯までが助成制度の対象となりました。まだ所得によって一部助成と全部助成の差があり、市長は、今任期中に所得での差なく、完全無料化を目指すとしています。新年度予算にはまだその施策は含まれていませんが、一日も早い完全無料化を市民は待ち望んでいると申し上げておきます。

 質問です。まだ実施後、間がないわけですが、市民からは、どんな声が届いているか。反応や反響などをお聞きします。

ウ、学校給食費無償化
 「義務教育は無償とする」という憲法26条の観点から、国の制度としてはもちろん、市独自での施策を求めてきましたが、本市では昨年10月から今年3月までの半年間、物価高騰対策の一環として国の交付金を活用し、無料化が実現しました。しかし、新年度予算案ではこれを終了し、物価高騰等の影響により学校給食費を小学校等で1食250円から275円に、中学校等で297円から325円に改定する、その増額分を地方創生臨時交付金で充当し、保護者負担額を実質据え置くという内容になっています。
 日本共産党西宮市会議員団と党西宮市員会は、物価高騰が続く下で4月以降も継続を求める署名に取り組み、2月9日、署名の第1次分を市長、教育長に提出したところです。その際、短時間ではありましたが、市長、教育長と懇談させていただきました。
 市長からは食材費値上がり分については市としてカバーするが、無償の継続は無理との回答があり、その理由として、市長と教育長から、順不同ですが次の4点があげられました。
@学校給食費について低所得者には就学援助で支援している。
A「義務教育は無償」(憲法26条)の対象に給食費は当たるか疑問だ。当たるのであれば、国で実施すべき。
B学校給食法では、食材費などは「保護者の負担」と規定している。
C学校給食費無償化は子育て支援策の一環であるが、限られた財源のなかで給食費よりも医療費助成を優先した。

 改めて反論しておきます。まず、就学援助。これはまさしく所得制限がある制度です。
 所得制限に対する昨年6月議会の市長答弁に変わりがなければ、就学援助があるから無償化しなくてよいとはなりません。所得に関わりなくサービスが受けられるべきです。
 次に、義務教育は無償に学校給食費は対象となるかーーこれも昨年6月議会の佐藤質問で、1951年の参議院文部委員会での国会答弁を紹介しています。政府は、「現在は授業料が無料だが、教科書と学用品、学校給食費、できれば交通費も考えている」と答えています。現在は教科書のみ完全無償化になったものの、その後少しも進展していません。
 3つ目の学校給食法の問題です。学校給食法では、原則として施設や設備に関わる費用は自治体が負担、食材費などは保護者が負担すると負担区分を決めていますが、文科省は1954年に通達を出し、「この規定は経費の負担区分を明らかにしたもので、地方公共団体等が児童の学校給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない」としています。2018年12月、参議院文教科学委員会で吉良よし子議員が、この通達について質問、「これは自治体等がその判断によって全額補助すること、これ自体も否定するものではないということでよろしいか」と再確認し、国務大臣は「そのように理解されるところ」と答弁しています。
 結局、西宮で学校給食費無償化が現時点でできない理由は、お金の問題だということです。
 一方で、 教育長は、学校給食費無償化について市民の期待も大きいと思うし、党議員団の考えは分かる、と発言されました。

そこで質問です。
ア、学校給食費無償化について、「考えはわかる」という、趣旨について確認します。

イ、財源確保が問題だというのなら、例えば中学校のみ、例えば第2子第3子からとか、段階的にでも実施することを検討してはどうか。ちなみに猪名川町では新年度6年生のみ学校給食費を無料とするとのことです。ご答弁をお願いします。