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佐藤みち子の一般質問
2023年03月02日

加齢性難聴の補聴器購入助成制度について


 近年、加齢による難聴と認知症の関係について研究がなされ、高齢者の聴力低下が、精神的健康、社会生活に及ぼす影響があると指摘されています。加齢性難聴による聞こえにくさがある場合、周囲との意思疎通に困難を感じ社会生活に不自由を感じることでQOL(生活の質)の低下につながると言われています。このような聞こえにくさを補うために、本人の状況に応じた補聴器の利用が重要です。
 しかし、加齢性難聴などの場合は本人が気づかないうちに進行し周囲も難聴であることがわからず適切な受診や支援につながらないということが多く発生しています。

 厚生労働省は、2020年度、老人保健健康増進等事業にて各自治体が難聴高齢者の把握の取り組みや補聴器利用に関する施策の実態調査を実施しました。その後、2021年3月、「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」を発表しています。

 この、実態調査の中で、各自治体における難聴高齢者の把握の取り組みが十分になされていないことがわかり、報告書では、各自治体の課題を明らかにするとともに、それに応じて自治体のとりくみ強化の検討が求められるとして、@難聴を早期発見する仕組みを構築すること。A難聴が疑われたとき、医療機関への受診勧奨ができるよう耳鼻咽喉科との連携の仕組みを整えること。B受診勧奨から適切な補聴器利用のために、補聴器相談医や認定補聴器技能者の周知を図ること。C補聴器装用後、装用を継続するために難聴高齢者のフォローを行うこと。D難聴高齢者への戦略的な支援スキームの検討が必要との5点が指摘されました。

 こうした結果を受け、東京都港区は「研究結果もふまえて購入費用の助成について検討する」と前向きになり、その後、難聴高齢者の社会参加を積極的に支援するために、補聴器相談医、認定補聴器技能者と連携し、補聴器の購入前からアフターケアまでを継続的に支援する港区独自の補聴器購入費助成制度を整備することになりました。
 2022年4月より港区では、「難聴の早期発見から補聴器相談医の受診、補聴器購入時の認定補聴器技能者によるアフターケアまで、継続して支援することができる内容の助成制度が実施されています。
 私も高齢者の方から「最近、耳が聞こえにくい」「耳が聞こえなくて会話がしんどい」「補聴器買いたいけど高いし助成があればな」という声をよく聴きます。


質問
ア、これまでもこの問題について一般質問や委員会で補聴器購入助成制度を実施するよう求めてきた。市は「補聴器の利用は、とじこもりを防ぎ高齢者の社会参加の促進に有効であると認めているが、加齢に伴う身体機能の低下により様々な日常生活の支援を必要とする高齢者がいる。公平性と財源の課題がある」と冷たい答弁を繰り返してきた。2021年3月に発表された「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」について市は、知っているか。
イ、自治体に課題を明らかにするとともに、それに応じて自治体の取り組みの強化の検討5点が求められているが、本市はどのような検討をしているのか。
ウ、本市でも補聴器購入助成制度を実施すべきではないか。