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まつお正秀の反対討論
2023年03月22日

議案第614号西宮市国民健康保険条例の一部を改正する条例の件について


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第614号西宮市国民健康保険条例の一部を改正する条例の件について、日本共産党西宮市会議員団は反対いたします。以下理由を述べます。
 この条例案は主には新年度、すなわち2023年度の本市における国民健康保険料を定めるものです。この保険料は医療給付の基礎賦課額分、後期高齢者支援金等賦課額分、介護納付金賦課額の3つで構成され、この合計によって決まります。
 2018年度から行われた国保の財政運営における都道府県化によって県が各自治体に県への納付額とともに、参考保険料率を示してくるようになりましたが、最終的には各自治体で保険料を決めることになっています。
 今年度はわずかに本市の平均保険料が下がりましたが、新年度、県が示してきた保険料率では一人当たり平均138220円となっています。本市はそれと比べて134421円と、少し低くは設定していますが、今年度から比べると1.82%、金額にして2402円引き上がることになっており、この値上げは容認できません。
 また、国の政令改正によって、保険料の上限額が102万円から104万円になることも盛り込まれていますがこれも問題です。
 国民健康保険制度ができたのは1961年で、当初は農業者や自営業者が中心だったものが、今では年金者受給者や非正規労働者などの低所得者が中心となっている支え手の構造的な問題があります。また、被用者保険では半分を事業主が負担するという仕組みがありますが、国民健康保険の保険料は全額自己負担です。それに加えて「人頭税」ともいえる家族の数に比例して賦課される均等割りという仕組みが、「高すぎる国民健康保険料」となって全国で問題となっているのです。
 この構造上の問題とともに、特に均等割りの問題については全国の知事会、市長会、町村会なども、国が1兆円の財政措置を行って均等割りをなくせば、協会けんぽ並みの保険料になると国に対して要望しているところです。
 また、保険料の賦課限度額の引き上げについても、高知市の岡崎誠也市長、この方は国民健康保険中央会会長もされていました。この方がかつて厚労省社会保障審議会医療保険部会において、各保険者の実態、これは自治体によって限度額に達する所得に大きな格差があることを指摘しているわけですが、「この実態を考慮せず一律に限度額を引き上げていく手法は、もはや限界に達している」と文書で意見を述べられています。
 もちろん、こうした構造的問題は国において解決されるべき問題ではありますが、それでも自治体によってはいろんな工夫をして保険料を引き下げているところがあります。
 今議会の一般質問において、我が党の佐藤議員が18歳以下の均等割りの免除を求めましたが、兵庫県加西市、宮城県亘理町などでは現にそれを行っています。また、名古屋市では子どもに限定せず被保険者全員の均等割りを3%減免していますが、新年度はこれを拡大して5%にするそうです。こうして保険料を低く抑える取り組みを行っている自治体があるわけですから、本市でもできないことはないと考えます。
 国が自治体に一般会計からの繰り入れを6年間でなくすように求め、本市では6億円の繰り入れをこの3年間で3億円に減らしてきました。新年度はこれをさらに1億5000万円減らします。一方で、財政安定化基金から1億5000万円の繰り入れを行い、2年前から新たに実施している所得割での減免額を2億円から3億円に増やしますが、新年度は先ほど紹介したように値上げになるのです。こうして国の言うとおりに一般会計からの繰り入れをなくしていけば、今後も毎年保険料が上がり続けていく事になりかねません。国の圧力に屈せずに、本市でもまずは子どもの均等割り免除など、様々な取り組みを行って保険料を引き下げるよう求め、議案614号への反対討論といたします。