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庄本けんじの一般質問
2023年09月08日

子どもの権利の問題について


 議場のみなさん。おはようございます。インターネット中継をご覧のみなさん。また、さくらFMを視聴のみなさん、おはようございます。傍聴にお越しいただいたみなさん、ありがとうございます。日本共産党の庄本けんじです。私は、日本共産党西宮市会議員団を代表して一般質問を行います。

 きょうは、子どもの権利の問題を取り上げて、質問いたします。
 子どもの権利といえば、国連の子どもの権利条約です。
 日本の子どもをめぐる状況は、たいへん深刻です。
 いじめ、虐待、自殺など、子どもをめぐる痛ましい事件が後を絶ちません。家庭や学校でのハラスメントや虐待、学校に行けなくなって不登校になっても安心して不登校でいられない。追い詰められて、自殺してしまう。小さな心が痛めつけられているのです。
 ところが、こうした子どもの権利状況にたいして、政府や行政の取り組みはどうでしょう。実態がしめすように、取り組みは非常に遅れ、不十分だと言わざるを得ません。国連子どもの権利委員会が日本政府にたいして、厳しい勧告を出しています。
 子ども虐待の頻発、子どもの自殺の頻発、婚外子や外国籍の子ども、あるいは、障がいのある子どもへの差別、ポルノなど子どもへの性的搾取、子どもへのさまざまなハラスメント、人権教育の不十分さ、過度に競争的な教育システムなど、多岐にわたる指摘です。子どもの権利を守る日本の取り組みが、いかに遅れているか、ということを浮き彫りにしています。
 この状況は、即刻あらためなければなりません。これまと同じ延長線上での対応では、状況の悪化を食い止めることはできません。現状維持は、衰退なのです。抜本的で飛躍的な対策と対応を強くもとめます。

 対策の飛躍のためには、なによりも、国連の子どもの権利条約の周知徹底が必要不可欠です。
 国連の子どもの権利条約がしめした子どもの権利とは何か。一つは、健康に生まれ、住む場所や食べ物があり、病気やケガをしたら治療を受けられることなど、いわゆる生きる権利。第二は、勉強したり遊んだり、子どもがもって生まれた能力を十分に伸ばしながら成長できる、いわゆる育つ権利。第三は、保護され、暴力や搾取、有害な労働など、身体的、精神的な危険から守られる権利。第四は、自由に意見を表明したり、団体をつくったり、自由な活動を行うことができる、いわゆる参加する権利、この四つの権利です。
 ところが、この権利条約について、多くの人にはまだ周知されていない。子どもの権利というものを、社会に根づかせなければなりません。そのためには、相当の努力を必要とする現状にあります。

 そのことをふまえて質問いたします。

 第一は、子どもの権利侵害の現状認識です。
 ユニセフの研究機関が調査した先進国の子どもの幸福度ランキングでは、日本の子どもの幸福度の総合順位が38か国中20位、そのなかの「身体的健康」という区分は1位となっていますが、「精神的幸福度」になると、なんと、38か国中37位という結果になっています。また、政府が公表した2022年中の小中高生の自殺は514人、1980年に統計を開始して以来、過去最多の数字となってしまっています。
 状況は、西宮も、けっして、例外ではありません。例えば、昨年2022年(令和4年)の西宮の児童虐待相談件数は1256件、いじめの認知件数は1070件、不登校児童生徒は1238件、ある中学校では不登校の生徒がその学校の13.4%にもなっています。
 こうした子どもの権利状況を、当局はどのように受け止められるか、まず、お聞かせください。

 第二は、子どもの権利条約を周知徹底することについて、うかがいます。
 子どもの権利状況を改善へ向かわせるためには、まずは、子どもの権利条約の内容を、みんなが知り、全面的に理解し、その内容を身につける必要があります。とりわけ、行政や教育委員会の関係者が、子どもの権利を全面的に守り抜く立場に立つ気風を培ってゆかなければなりません。
 子どもの権利擁護のすべてのはじまりは、子どもの権利について知ることです。行政職員、教職員のすべてが子どもの権利条約を学び、たえず検討を重ね、自身の改革を重ねる必要があります。そして、権利主体の当事者である子ども自身が、子どもの権利条約を知り、学ぶことが必要不可欠です。
 私は、条約の周知徹底のために、子どもの権利条約の内容を解説した冊子を児童生徒に無償で配布するなど、学校での学びを強化することが、子どもの権利擁護の取り組みを発展させるうえで、たいへん有効だと考えます。当局は、子どもの権利条約の解説をしている冊子を学校で配布することについて、どのように考えるか、見解をうかがいます。
 さらに、市民への啓発活動も欠かすことができません。子どもの権利条約について、見てわかりよい掲示物を作成して、すべての公的施設に掲示するなど、市民への啓発が必要になると考えますが、いかがですか。ご答弁ください。

 三つ目は、市長が策定しようとする「宮っ子つながり支える条例」についての質問です。市長が策定しようとする条例には国連の子どもの権利条約を明示し、子どもの権利状況の改善に資する実効性のある条例を策定する考えがありますか、当局の考えをお聞きします。

 以上、壇上からの質問を終わります。答弁を受けたあと、自席にて、意見要望、再質問を行います。ご清聴ありがとうございました。