野口あけみの反対討論/* --項目挿入-- */?>
2023年10月03日
2022年度決算認定反対討論日本共産党西宮市会議員団は、認定第5号 令和4年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件に反対の立場から、討論を行います。 R4年度、2022年度の年度開始当時は、3年目に入った新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい第6波の真っ最中でありました。連日多くの新規感染者が確認され、重症化リスクの高い高齢者の割合が増え、学校や保育所が、連日、臨時休業となるとともに、市職員にも相当数の感染が確認されるなどして、保健所業務や医療提供体制が逼迫、社会活動全体が大きな影響を受けておりました。そうした大変緊迫した状況の中で、市役所では、保健所を中心に全庁を挙げてコロナ対策に取り組んでおられたところです。当時の日夜分かたぬご奮闘には、改めて敬意を表するものです。 本年5月、コロナの感染法上の位置づけが変わり、感染者の全数把握が実施されなくなって実態がたいへん分かりずらくなりましたが、現在は第9波のただなかにあります。決算分科会でも救急がひっ迫しているとの報告や、医療・介護の現場でも感染対策の手を緩められない状態が紹介されました。介護現場からの要望が強い定期的なPCR検査の実施やコロナ治療薬の公費負担継続、医療機関への支援、コロナ後遺症への対応など、必要なコロナ対応支援策の実施が求められていることを申し上げておきます。 また、こうしたコロナ禍や2022年2月のロシアによるウクライナ侵略の影響によって世界的な物価高騰の波が徐々に押し寄せ、現在では、国民生活にとって苦しく深刻な打撃となっています。 これは、自民党政治のもとで世界でも特異なまでに賃金は上がらず、重税と貧しい社会保障・教育、さらに食料・エネルギーが自給できないという、30年にわたる経済の停滞と衰退が続いているところに、追い打ちをかけての物価高騰です。国は物価高騰策として、22年度にも低所得者や子育て世代への給付金を支給するなどし、自治体に対しても交付金を活用しての物価高騰策を推奨しましたが、全く不十分です。物価上昇を上回る賃上げと待遇改善があらゆる分野で政治の責任で実施されることを求めます。また、消費税を緊急に5%に引き下げること、消費税増税への地ならしともなっているインボイス制度導入の中止、社会保障充実と学校給食費無償や異常に高い学費の引き下げなど教育費負担軽減などなど、暮らしを支え、格差をただす税と財政の改革を求めるものです。 さて、本市の財政状況です。2022年度の市税収入は過去最高を確保したものの、実質的な地方交付税が減少。一方、物価高騰の影響による光熱費増、扶助費の増などで必要一般財源が増加したことなどによって、一般会計実質収支額は3億9900万円と、過去から比べても大きく減少しています。財政基金を21億円取り崩したうえでの収支額ですから、実質は赤字ともいえるものです。 当局からは、2020年、21年度はそれぞれ特殊要因で収支額は多かったが、2019年度は53億円の基金取り崩しがあり、さらに、今年度も9月補正予算時で100億円の基金取り崩しとなっており、おそらく決算時には2019年度並みの取り崩しが想定されるとの答弁や、このままいけば、当初予算編成時に基金が十分でなく、悪くすればR7年度8年度にも予算編成ができない状況になりかねない、との認識も示されました。そして、こうした赤字基調の財務体質の改善が必要であり、内部管理経費、とりわけ人件費の削減や、既存事業の見直し、場合によっては、現在取り組んでいる行政経営改革とは別に行財政改善計画の策定・実施なども視野に入れている旨の答弁がありました。 確かに、本市の財政状況は決して楽観視できるものではありませんが、内ばかりに視点をあてるのではなく、国の交付税や交付金のありかたなど問題はないのか、他自治体の状況はどうか、など、外部の動向も注視する必要があります。また、内部管理経費削減や既存事業の見直しのみでなく、今後予定している投資的事業についてもその必要性についてよく検討することを求めておきます。 冒頭申し上げた通り、今、市民国民は物価高騰のただなかで苦しんでいます。住民の福祉の増進を旨とする地方自治体として、市民サービスは絶対に低下させず維持向上させること、さらに切実な様々な市民要望の実現を求めるものです。 次に、一般会計における反対か所および問題点について5点述べます。 1点目は、マイナンバー制度についてです。 マイナンバーカードには、マイナポータル(情報提供等記録開示システム)として、納税状況、医療、年金などの保険料納付と受けたサービスの状況、公金受取口座、さらには、がん検診など受診した健康診断とその結果や生活保護、児童扶養手当の支給、雇用保険の支給などなど、29分野の膨大な個人情報がひも付けられていますが、この各種情報の紐づけや登録の誤りが多数露見し、個人情報の漏洩という重大な問題が起きています。 ところが、自民党、公明党、維新の会、国民民主党が賛成して、健康保険証の廃止やマイナンバーカードの利用拡大を内容としたマイナンバー改悪法を強行しました。トラブルが次々に明らかになり、大混乱が続くなかでの悪法強行は「聞く耳」を持たない暴挙としか言いようがありません。 とりわけ、保険証の廃止には、どの世論調査でも「延期・中止」が7割を超え、医療関係者からは切実に保険証存続を求める声があがっています。マイナ保険証において他人の医療情報がひも付けされていたなど、命にもかかわる絶対にあってはならないことも起こりました。また、マイナンバーカードを持たない人は毎年「資格確認書」の申請が必要になり、マイナ保険証を持っている人でも5年毎の更新が必要となります。「申請、更新」を忘れるなどした場合、保険料を払っていても「無保険」扱いされ、保険医療が受けられなくなってしまいます。国民皆保険制度の変質です。 こうした、不安解消には、マイナンバーカードの運用をいったん停止し、完全・確実な総点検が必要と考えます。政府は、「コロナ対応並みの臨戦態勢」で「閲覧可能なすべてのデータについて秋までに総点検する」としました。しかし、マイナンバーカードの発行数は9000万を超え、ひも付けられた29分野の個人情報は数十億項目にもなります。今年11月までの総点検について、当局に確認したところ、国からは登録手順などの問い合わせがあった上で、本市では障害者手帳についてのみ点検、全国332自治体に精査の要請があったとのことでした。結局、誤登録の「リスクの高い事項」に限ってデータを点検することにしたものです。「総点検」は岸田首相の「口先」だけだったと言わざるを得ません。これでは、国民の不安を解消することにはなりません。こんな状況でマイナンバーカードを運用し続ければ、個人情報にかかわるトラブルがさらに拡大する危険があります。運用をいったん停止し、完全・確実な総点検で国民の不安を解消しなければなりません。 そもそもマイナンバー制度は、医療、年金、介護など人生で受けた「行政サービス」のすべてと、個人の金融口座、資産をひも付けて、国が管理することによって、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴税強化・給付削減を押しつけるためでした。さらにすすんで、政府は個人情報保護法を改悪し、保護規定を弱め、逆に個人情報の利活用を拡大してきました。行政システムの標準化もそれに資する目的で強行されているものです。財界の要求に沿って、マイナンバー制度を利用した個人情報ビジネス最優先の方針や計画が進められているのです。 デジタル化やIT利用を推進するうえでも、個人情報保護など国民が安心して利用できることが大前提です。今回の事態は、マイナンバー制度の根本からの再検討を求めています。廃止を含めた白紙からの見直しを、国民的な議論で行うべきです。 2点目は、名神湾岸連絡線についてです。 名神湾岸連絡線は不要不急の事業であり、私たちは一貫して反対の立場を表明してまいりました。しかし市は推進の立場で県にも予算要望をしています。現在同事業は、実施主体もいまだ決まらず、影響を心配する地域住民に説明する新たな材料もない状態です。資材や人件費の高騰の中、その先行きも不透明なまま推移しています。この際、地域住民の住環境を著しく損なう同計画については市も白紙撤回の立場をとるよう求めます。 3点目は、自衛隊への名簿提供の件です。 本市は、2020年から18歳と22歳の名簿提供については、住民基本台帳の閲覧からデータ提供するようになりました。現在も引き続き実施されていますが、問題ありと考え反対します。 4点目は、阪神西宮駅北側整備についてです。昨年11月に報告されたところによると、同駅前で民間が開発するビルに市立図書館を合築、駅前広場等も合わせて整備をするというものです。これは本市で初の、公民連携によるまちづくりとして取り組むとされており、近々に関係事業者の社内での最終決裁を受け、議会にも示したいとのことでした。詳細が不明のまま推移しているため、市民や市議会の意見が反映できるのか、との質問に、政策局長は、要旨次のように答弁されました。「これまでとは違う民間の資産を活用してのまちづくりであり、市が枠をはめてコントロールすることはあまり望ましくない。官主導の開発事業とは違い、官側がどこまで言えるか、できる範囲があるのか……、微妙である」。一方、駅前等の再整備は区画整理事業で実施するとのことで、「市は当該地の道路や公園の地権者であり、いうべきことは言っていく」との答弁もありました。 民間開発事業に乗じての公共施設整備は、局長の答弁にもある通り、民間が主導権を握ることになり、市の主体性が損なわれかねません。また、事業進展に伴って市の負担が増大していくことも十分考えられます。今後の財政状況の不透明さは市も繰り返し明言されており、この事業には大きな懸念を抱いているものです。いったん立ち止まり、再検討することを求めます。 5点目、保育所の待機児童問題は、依然として深刻です。本市の2023年4月1日現在の保育所待機児童数は56人、利用保留児童数は、1112人でした。待機児童解消では、希望通りに入所できなかった、いわゆる利用保留児童を解消するための目標を設定した計画を策定し、実施すべきです。ところが、市の対応は、厚生労働省の定義による待機児童のみを解消すればよいという対応にとどまっています。 また、幼児教育・保育を取り巻く環境が大きく変化しており、中長期的に持続可能な仕組みをつくる必要があるとして、市が2023年3月に策定した「西宮市幼児教育・保育のあり方」では、公立幼稚園と公立保育所の再編統合によって、公立幼稚園を無くし、公立保育所を減らす方針となっています。 いま、やるべきことは、公立幼稚園を無くしたり、公立保育所を減らすことではなく、文字通り誰一人取り残すことなく待機児童をなくし、保育を充実させることです。そのためにも、保育士の配置基準を見直し、保育の質を抜本的に高めることです。事実上、公立幼稚園の廃止方針といえる「西宮市幼児教育・保育のあり方」は撤回し、幼稚園と保育所の、真に充実した量的、質的な改善を図ることを求めます。 次に、特別会計については、 食肉センター特別会計は、長年にわたる多額の一般会計からの繰入れには市民の理解が得られないこと、また、後期高齢者医療事業特別会計では、2022年10月から、単身で200万円以上、2人世帯で年収320万円以上の方の窓口負担が2割に上げられたことから、反対です。 最後に、要望については3点に絞って申し上げます。 1点目は、高齢者の外出支援についてです。 高齢者の外出支援策として、現在の高齢者福祉タクシー利用とバス運賃助成利用では、不充分と考えます。高齢者福祉タクシーは、介護度3以上の対象者4635人のうち利用は、25.5%。バス運賃助成については、登録された方のうち、半数しか利用されていません。バス路線がない、バス停が閉鎖されたと、登録者も限られています。鉄道やタクシー利用希望の声も多くあります。 高齢者が積極的に外出することは、身体、精神面でよい影響をもたらし、介護、医療費などのコスト削減、地域活性化や消費拡大などの効果も期待されます。市は、今後アンケートを実施するとのことですが、広く高齢者の声を聴き、取り組みを拡大することを求めます。 2点目、生理の貧困が社会問題となり、学校のトイレに生理用品を無償で配置することを求める取り組みが全国で広がり、兵庫県の県立高校においても、女子トイレに生理用品が配置されるようになり、西宮市立高校でも同様に生理用品が配置されることとなりました。 生理用品を学校の女子トイレに備え置くことは、経済的な理由で購入できない場合はもとより、急遽、生理用品が必要になった場合も含め、全ての子どもたちが心身の健康を維持し、安心して学校生活を送ることができるようにする環境整備の一環と位置付けることができます。 高等学校から始まったこの取り組みを中学校や小学校にも広げ、生理用品の配置は、女子トイレの個室に配置することを求めるものです。 3点目は、地球温暖化対策です。 「地球沸騰化」と言われるまで気候危機は進行しています。日本は世界第5位のCO2排出大国であり、「気候正義」の立場からも大きな責任がありますが、イギリスやドイツが1990年比でCO2を4〜5割減らしているにもかかわらず、日本は1割減にとどまっており、再エネ電力の割合も、英独がすでに約45%なのに、日本は22%など、大変遅れているのが実態です。 ところが岸田政権は、いまだに石炭火力に固執し、大型石炭火力の建設を続け、先進国で唯一、石炭火力からの撤退期限を明示しない国になり、また、福島で大事故を起こした原発を「クリーンエネルギー」と称して再稼働・新設に突き進んでいます。石炭火力や原発に頼るエネルギー政策に固執しているかぎり、省エネ・再エネによる気候危機打開の取り組みはさらに遅れることは必至です。 本市では、2021年、市長が2050年ゼロカーボンシティーを表明いたしました。実効性のある取組が望まれるとして、温室効果ガス排出量に占める家庭部門の割合が高い本市の特徴を踏まえ、戸建て住宅の高断熱化に対する補助金、阪神間各自治体との太陽光発電・蓄電池システムの共同購入支援事業の実施や、市域の再生可能エネルギーの導入可能性調査、市公共施設における再エネ・省エネ導入調査の実施などに言及されています。 このような具体的な取り組みを確実に実施するとともに、市として「気候非常事態宣言」を発するなどして、市民を大きく巻き込んだ地球温暖化対策を進める必要があると考えます。 以上、討論とします。 |