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三好さつきの一般質問
2023年12月06日

移行期医療について


 質問の2つ目は移行期医療についてです。
 小児医療の進歩により、より多くの命が救われるようになり、また、小児期発症疾患の生存率改善や、成人した先天性心疾患患者の増加、ダウン症児者のライフステージに応じた医学管理など、小児期発症慢性疾患は成人以降も継続した経過観察、検査、治療が必要となってきており、社会の中で生きることの支援が必要です。一般的には小児科の初診は15歳までとなっていますが、小児期発症慢性疾患の方たちの多くは、成人しても内科などに移行できずに、小児科管理という実態があり、小児期から成人期への医療を円滑にすすめるために移行期医療が課題として挙がってきました(資料4を参照ください)。2015年厚労省から、小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針が出され、2017年、小児慢性特定疾患児童成人移行期医療支援モデル事業が開始、医療従事者間の連携の推進に資するガイドが取りまとめられました。都道府県に移行期医療センター設置が求められ、兵庫県においては、今年度、神戸大学に移行期医療支援センターが設置されたところです。
 この度、西宮市肢体不自由児者父母の会のみなさんが、市長への要望書提出に同席する機会がありました。要望の内容は、西宮中央市民病院と県立西宮病院の統合に向けて、重症心身障害児者(以下、重心)の移行期医療についてきっかけづくりができないかということでした。懇談の中で、同父母の会からは、移行期医療について、「緊急性が高いようで、この問題には目をつむってきた。先延ばしにしてきた。」「重心の子の24時間のケアやリスク管理で気持ちが休まることがない」「病院探しはSNSで調べてと言われた。相談機能的なコーディネーターがいると安心」と話されました。小児期、或いは出生時から診てもらっている小児科医とは信頼関係が強くあります。しかし、年齢があがり、成人期に達した我が子を小児科受診する違和感も拭えない、まだ診てもらえているという安心感と同時にいつまで診てもらえるのかという不安感も併せ持っていることは確かなようです。
 普段、在宅や通院で診てもらっていても、入院が必要になれば、成人期に達した障害児者を受け入れてくれる病院探しで「対応できない」などと断られるといった困難な状況が生じています。
 10月に私が所属する健康福祉常任委員会から視察に行った「青葉園」では、利用者が「長命化」してきており、40~50代の利用者も多く、いわゆる成人病といった糖尿病や胆道系疾患を併せもつ方も増えていると聞きました。医療の現状は各科の医療機関と連携をとっているが、ここでも、入院治療、緊急の場面では受け入れてもらえる医療機関探しが大変と聞きました。
 このように、移行期医療が進んでいない課題として、医療側では、成人期を迎えた小児期発症の患者を診療できる医師・医療機関の不足、加齢に伴う新たな病態への対応困難。親側では、患者・家族と小児科医師の信頼感による移行への抵抗感、疾患の理解や関係機関の情報不足があげられます。国は移行期医療センターを設置し、対応可能な診療科や医療機関の情報把握・公表、連携支援など目指していますが、全国にある移行期医療センターの取り組み内容は統一されておらず、神戸大学の移行期医療センターでは、まだ情報収集の段階と聞きます。今後、移行期医療がどう進んでいくのか、特に重心の子どもをもつ家族にとって、西宮中央市民病院と県立西宮病院の統合を待っている時間はありません。移行期医療について、市としてできることから、すすめていくことが望まれます。

 質問です。
・移行期医療に関する市の動きと今後の対応方針について聞かせてください。

 壇上からの質問は以上です。ご答弁によりまして、対面式質問席にて再質問、意見、要望を述べさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。