2025年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:こども支援局/* --項目挿入-- */?>
2024年08月26日
- 市は、「宮っ子つながり支える条例」を策定するとしているが、子どもに関する条例づくりは、国連の子どもの権利条約をふまえたものとするべきである。以下のことについて、強く要望する。
(1)子どもの権利条約によれば、子どもの権利には4つの権利があり、それを保障するための4つの原則があるとされている。4つの権利とは、すなわち、?生きる権利、?育つ権利、?守られる権利、?参加する権利であり、また、4つの原則とは、すなわち、?子どもの命を守り、その成長を保障する、?最善の利益を考慮すること、?意見を表明し参加できること、?差別のないこと、とされている。市が取り組み始めている「条例」には、これらの権利と原則を織り込み、実効性のある条例を策定すること。
(2)「条例」づくりにあたっては、先進的な他市の取り組み、特に、川崎市の取り組みに学び、全庁を挙げて取り組むこと。
(3)虐待や暴力被害、性被害などさまざまな権利侵害が起きている。それらの権利侵害から子どもを救済し、権利を回復する独自の取り組みが必要である。そのために、行政から独立した子どもの権利擁護機関である「子どもコミッショナー」のような機関を設置すること。
(4)国連の子どもの権利条約そのものを、教育委員会とも協力して、市の職員への徹底はもちろん、当事者である子どもと市民に広く周知徹底すること。
- 市は、西宮市立の児童相談所を設置するとの方針を、2023年2月に公表した。設置に向けた具体的な方針は、これから検討するとしている。児童相談所を設置するにあたっては、設置場所の選定、事業運営にかかわる職員の確保など、取り組むべき大きな課題がある。高まる期待に応え、開設時期を明確にして取り組むこと。
- 子ども家庭総合支援拠点の職員については、子ども家庭支援員・心理担当支援員・虐待対応専門員が配置されているが、同規模の他市と比べてもとりわけ正規職員の配置が少なすぎる。拡充を進めること。
- 子ども家庭センターの設置が求められている。このセンターは、「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の機能を維持したうえで、すべての妊産婦、子育て世帯、こどもへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関として設置されることとされている。設置の趣旨が十分に生かせるよう、必要な体制を確保して設置すること。
- 児童館・児童センターを「子育て支援の拠点」として位置づけるのなら、当然直営を守るべきである。あわせて、休日の開館や、地域偏在の解消・増館についても進めること。
- 子どもの7人に1人が貧困状態にある。日本の経済の立て直しが見通せず、格差と貧困がさらに増大している。母子家庭世帯の貧困問題やヤングケアラー、さらにネグレクト等、問題は多岐にわたっている。教育委員会、健康福祉局と連携して対応を強めること。
- 子供家庭支援課では、親族などからの支援が期待できず、乳幼児の適切な養育が困難な家庭に、育児支援ヘルパーを派遣し、食事、洗濯、掃除、買い物等の援助を行っているが、回数や対象者が限られている。困った人は誰でも活用できるように改善すること。
- 本市の保育所の待機児童数は、2024年4月の時点で121人、昨年の56人から倍増している。市長は、議会での答弁で、「待機児童ゼロ」という市長の公約が実現に至らなかったことを陳謝したが、それほど、待機児童問題は深刻な問題であり、緊急に解決すべき課題である。以下、要望する。
(1)保護者が、安全面でも安心でき、しかも、通所の過剰な負担がない、近い場所の保育所に入所できることを目標にした、本当の意味での待機児童対策となる計画をもって取り組むこと。
(2)保育士の配置基準が76年ぶりに見直された。西宮市は、国基準以上の保育士を配置しているが、この基準を条例化し、さらに拡充すること。
(3)2021年度より「特区小規模保育事業」をスタートさせた。特区小規模保育事業所の卒園後、希望すれば、施設が連携する公立幼稚園に入園することができるが、預かり保育では保護者のニーズに合っていない。これ以上、特区小規模保育所を増やさないこと。
(4)西宮市は、さまざまな問題を抱えながら、問題を解決できないまま「送迎保育ステーション方式」の保育所を設置した。市は、いまのところ、この手法を多用することは難しいとしているが、場合によっては、検討するとのことである。この方式の保育所をこれ以上増やさないこと。
(5)市は、待機児童解消のために、小規模保育所の増設で対応しているが、経営不振により多数の保育所が閉園に追い込まれ、待機児童増加の原因となっている。小規模保育所の経営安定化のための方策を検討すること。
(6)市の要請により、保育所の分園を増設した法人があるが、法人によっては、分園でありながら本園並みの保育定員として相当の人員を配置し、運営を行って保育の質を確保している。そのため経営が困難になっている状況から、分園を本園に切り替えられるよう、市の対応を検討すること。
- 党議員団は、待機児童解消の対策の一つとして、市立幼稚園の認定こども園化を求めてきたが、幼児教育と保育の一元化のなかですすめようとする西宮の公立幼稚園と公立保育所の再編方針には反対である。市が2023年3月に策定した「西宮市幼児教育・保育のあり方」は、体裁を変えた公立幼稚園の廃止方針であり、また、公立保育所を認定こども園にすることによって、保育所の定数を減らそうとするものである。
いま必要なことは、待機児童解消のために認可保育所を増設することや、保育士の配置基準を見直し保育の質を高めることである。幼稚園の廃止、保育所の削減を基底にした「西宮市幼児教育・保育のあり方」は撤回すること。
- 保育士不足が各地で深刻になっている。解決のためには、賃金が全職種の平均を月10万円余り下回っているなど、低待遇の改善が不可欠である。市は、独自の事業として、「保育士奨学金返済支援事業」、「保育士就職応援一時金事業」などを実施しているが、その効果について検証するとともに、新たな独自策を検討すること。
- 市立保育所、保育事業について、以下のことを要望する。
(1)芦原むつみ保育所は、2023年度から180人定員となった。大規模保育所は、安全上のさまざまな問題を生じさせる。これ以上、定員を増やさないこと。
(2)保育における公的責任を考え、公立保育所の民間移管計画はきっぱりと撤回すること。
(3)自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で、給食調理員の過重負担がある。調理員の増員をはかること。
(4)誰もが利用できる一時預かり(一時保育)を公立保育所でも実施すること。対象児童を限定して実施されている現行の「スマイル保育(一時保育)」事業を他の保育所にも拡大すること。
(5)保育所での重大事故があとを絶たない。子ども家庭庁の発表によると、昨年の全国の保育所や幼稚園、認定こども園で、子どもがけがなどをする事故は、2,121件発生している。このうち死亡したケースが6件、意識不明が23件、骨折が1,638件、意識不明のケースが19件、火傷が3件となっている。事故根絶のための対策をさらに強化すること。
- 3歳〜5歳児の保育料は無償となったものの、給食費は年収360万円以下、全世帯の第3子以外は実費徴収となっている。独自で無償化を実施している自治体にならい、本市でも給食費は無償とすること。
- 学童保育(留守家庭児童育成センター)について、以下、要望する。
(1)現在、学童保育は公募による指定管理者制度により運営されており、株式会社も指定管理者として参入している。人手不足の影響もあり、基準通りの職員配置ができていないなどの重大事態が生じていると聞いている。そもそも学童保育には指定管理者制度はなじまない。営利を目的とする株式会社を公募の対象としないこと。
(2)学童保育を指定管理者制度に依拠することについて、子どもの成長発達を保障できているのか、市として検証し、抜本的な見直しをすること。あわせて、指定管理者が規定通りに運用しているかどうか、市の指導と監督を厳しくすること。
(3)学童保育の待機児童対策として市が補助金を出している民設民営学童については運営状況を注意深く観察し、子どもたちに不利益が及ばないよう指導していくこと。そして、今後の民設民営学童の増設はしないこと。
(4)4年生を受け入れる学童保育が増えているが、子どもへの指導については低学年とは違う難しさがあると考える。市が主体となって指導員への学習をすすめること。
(5)子ども家庭庁は、学校の夏休み時、学童保育における昼食の提供について調査を行い、その結果を踏まえてこのほど学童保育での昼食提供を推奨することとした。本市においても、学童保育での昼食提供を検討し、実施すること。
- 子育て広場の設置について現在20カ所であるが、未就学児を連れて行くには距離が短い方がのぞましい。利用しやすい小学校区に1か所設置へと拡充すること。
- 子ども食堂について、市長は、「すべての学校区で」設置することを、選挙で公約したことがある。市として、すべての小学校区に子ども食堂を設置するという目標と計画をもち、子ども食堂の設置を広げること。
- 子ども未来センターの発達診断については、相談や診断にたどり着くまでに長くかかっている。医師等を含め、早期に相談・診断できる体制を拡充すること。