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庄本けんじの一般質問
2024年09月06日

大阪・関西万博、兵庫県「公民連携による万博子ども招待プロジェクト」について


 おはようございます。日本共産党の庄本けんじです。傍聴においでくださいましたみなさん。また、インターネット中継をご覧のみなさん。さくらFMをご視聴のみなさん。ありがとうございます。ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して一般質問をおこないます。
 きょうは、大阪・関西万博、兵庫県「公民連携による万博子ども招待プロジェクト」について伺います。まず、私から、万博問題の問題点について、いくつか指摘したうえで、当局の対応について、質問いたします。

はじめに=そもそも大阪・関西万博については多岐にわたる問題が次々と発生
 そもそも、大阪・関西万博については、当初から、重大な問題を抱えていました。開催が近づくにつれて、新たな問題が次々と加わり、それが、広く知られるようになっています。とくに、メタンガスの爆発事故が起こり、夢洲という場所がいかに危険な場所か、ということが露になりました。そこに、子どもたちを招待するという、これもまた、新たな問題がくわわって、批判と不安が加速的に広がり、高まっています。
 万博協会は、その対応に追われているようですが、噴出する疑問や批判には、なにひとつ応えることなく、開催を強行する構えです。
 昨年、2023年の11月から12月にかけて、世論調査がおこなわれました。万博開催からさかのぼること、一年数カ月前の調査ですが、すでにそのとき、万博不要という声が多数になっていました。調査では、万博の開催について、「必要ない」と答えた人が55.9%。一方、「必要だ」と答えた人は、20.3%でした。別の調査では、万博の「入場チケット」を購入したいと思うか、という設問に、「購入したいとは思わない」と答えた人が79%、約8割です。「購入したい」と答えた人は、わずか10%です。
 このように、万博の開催について、6割に近い人が「必要ない」と答え、約8割の人が万博の「入場チケット」を「購入したいとは思わない」と答えたのです。
 大阪・関西万博に対する評価が、ここまで落ち込んだのは、万博にまつわる重大問題が、次々と起こり、なんの解決策もなく、その見通しもなく、強行しようとしているからです。
 積み重なる問題を、ここで簡単に整理しておきます。問題は4つあります。まず、第一は、パビリオン建設が予定通りに進んでいないことです。あれこれと対策なるものを講じていますが、どれも弥縫策でしかなく、万博のコンセプトや構想そのものを形骸化させる事態にもなりはじめています。くわえて、第二に、建設費と関連事業費が当初予定の約2倍にも膨れ上がっていることです。この膨張は、いくつもの想定を何度も何度も超えて、際限なく続きそうです。第三は、開催地の夢洲が命を脅かす危険な場所である、ということです。第四は、万博を大阪に持ち込み、無理に無理を重ねてでも強行しようとする。その背景に、カジノ誘致の問題があるということです。このような、いくつもの重大問題が、批判を大きくしているのです。
 ところが、政府も大阪府も、どんな問題が起ころうが、どんなに批判が広がろうが、何が何でも強行突破しようとする。その方策として、一撃を加えたのが、子ども招待事業です。

命を脅かす危険な場所
 万博に子どもを招待するこの事業は、危険な場所に子どもを動員する、知る人にとっては空恐ろしい企画なのです。
 そもそも、会場となる夢洲は、ごみの集積場です。あらゆるゴミが、最終処分場として、そこに集められ、ゴミと汚泥、浚渫土砂で埋め尽くされた人口島です。PCB(ポリ塩化ビフェルニ)、ダイオキシン、メタンガス、有害物質満載の場所です。
 また、立地条件としても、大きなイベントを開催するには、まったくふさわしくない場所です。会場へのアクセスが脆弱、災害時の対応や避難に問題がある、それを解決する見通しさえ立たない、きわめて困難な場所です。
 さらに、メタンガスの爆発事故への、万博協会の対応は、万博協会の信頼を失墜させています。これも重大な問題です。
 最近では、6月に猛毒を持つヒアリが約550匹見つかり、8月にも約600匹のヒアリが発見されています。
 これらのどの問題も、命を脅かす重大事象ばかりです。対応不能な状態かもしれません。
 そのような危険な場所に、子どもたちを動員するようなことをしてよいのか、切羽詰まった、切実な声が出てくるのは当然のことです。

兵庫県「公民連携による万博子ども招待プロジェクト」
 そのような諸問題がすでに明らかになっているなかで、兵庫県知事は、4月11日、「公民連携による万博子ども招待プロジェクト」と銘打って、子ども招待事業を記者発表しました。メタンガスの爆発事故が起きたのは、3月28日。その直後の発表です。
 「プロジェクト」内容は、兵庫県内の学校に通う小・中学生、高校生、約56万人を対象に、学校行事として万博見学を希望する県内の学校にチケットを配布する、というものです。
 これは、問題だらけの大阪・関西万博に子どもたちを動員しようとする、非常に冒険主義的な企画です。とんでもないことを兵庫県は決めた、と言わざるを得ません。
 私たち、日本共産党は、党の県議団が4月15日、兵庫県に対し、事業の中止を求めました。私ども、日本共産党西宮市会議員団は、4月22日、市長と教育長に対し、「『子どもたちの命と安全第一』という立場を堅持し、対応されること」を申し入れたところです。

「万博子ども招待プロジェクト」にはどのような問題があるか
 では、兵庫県の「万博子ども招待プロジェクト」には、どのような問題があるのか、いくつか、指摘しておきます。
 一つは、子ども招待事業を学校行事と位置づけけたことです。この事業を学校行事と位置づけなければ、さまざまな問題に、学校を巻き込むようなことは起きません。
学校行事としたからこそ、無数の無理難題が学校に降りかかってくるわけです。
 たとえば、見学のプランが自由に立てられない、交通手段の確保に困難がある、集団行動上の難題が多く生じる、休憩所やトイレの場所の問題、熱中症対策の問題、何よりも会場の危険が解消されない、災害時の避難の問題など、通常の校外学習とはまたく違った問題や困難が生じ、途方もない入念さが求められることになります。万全を期すことなどできない、そんな不安がぬぐえないのです。
 また、学校のスケジュール上の問題や下見についても問題が生じます。学校の年間のスケジュールのなかで、どの時期に万博見学の行事を入れ込んだらいいのか。下見をするにしても、検討すべき着眼点が無数に増え、複雑さが増し、非常に難しくなる。一度だけの下見で十分な検討ができるのか。こんな問題が生じます。
 こうした問題は、学校行事としたことに、集約されます。問題解決のためには、少なくとも、学校行事としての位置づけを、兵庫県は撤回する必要があります。
 もう一つの問題は、県のプロジェクトが実施する参加意向調査の問題です。
 いま、兵庫県は、万博見学を希望するか、しないか、あるいは検討中か、という三択で、参加意向調査を実施しています。第一次参加意向調査は、すでに終わり、7月1日から7月末まででした。つづいて、8月1日から始まった第二次参加意向調査は、現在進行中で、期限は9月20日です。
 実は、この意向調査には、市の教育委員会が、意向調査の状況をリアルにつかむことができないという問題があります。どこの学校がどのような回答をしたのか、回答そのものをしていない学校もあるかもしれない、そういうことが、市の教育委員会ではリアルに知ることができないのです。第一次意向調査の結果は、公表されるのが、9月の中旬か下旬になるそうです。
 少し、仕組みについて説明をしますと、まず、上から下への流れですが、県の「プロジェクト」担当部署から情報が流されます。それを県の教育委員会が受けます。そこから、西宮市の教育委員会に情報が送られ、それを受けた市の教育委員会が各学校に流します。意向調査も、同じです。ところが、各学校からの回答は、市の教育委員会、県の教育委員会を飛び越して、直接、県の「プロジェクト」担当に送られる、そんな仕組みになっているのです。ですから、市の教育委員会は各学校の回答をリアルに知ることができない、そのような仕組みになっています。
 他の府県も同様の仕組みとなっているようで、ある近畿の市長さんは、このような仕組みを問題と感じ、「ルール違反ではないか」と不快感を表明しておられます。
 以上が、万博問題のあらましです。


 そこで質問いたします。
 第一は、教育委員会は、学校の校外行事について、どのように把握することになっているのか、うかがいます。学校が計画した校外行事については、安全面において、教育委員会も共有する必要があるはずです。各学校がおこなう校外行事について、教育委員会はどのように把握しているのか、その目的と方法をふまえながら、お答えください。
 第二は、万博見学について、学校が判断するために必要な情報の提供について、うかがいます。教育委員会は、万博関連情報について、どのように扱っておられるのか、お答えください。
 第三は、兵庫県「公民連携による万博子ども招待プロジェクト」が、学校行事として位置づけているために、危険な場所に児童生徒を動員する流れを起こしていますが、市長は、この兵庫県の「プロジェクト」について、どのように受け止めておられるか、お答えください。

 以上、壇上からの質問を終わります。答弁を受けたあと、再質問、意見要望をいたします。
 ご清聴ありがとうございました。