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庄本けんじの賛成討論
2024年09月17日

斎藤知事辞職を求める意見書案に対する賛成討論


 ただいま上程中の意見書案、第9号、「斎藤元彦兵庫県知事が招いた県政および各自治体への影響にストップをかけるため辞職を求める意見書提出の件」について、日本共産党西宮市会議員団は、その趣旨に賛同し、賛成いたします。以下、討論をおこないます。
 斎藤元彦兵庫県知事は、いま、県政に大混乱をもたらした責任が厳しく問われ、知事の職務さえ果たすことができないところに立たされています。もはや、辞職する以外に解決の糸口をつかむことはできません。ところが、知事は、この瞬間においても、辞職を決断できないでいます。であるならば、西宮市議会が、兵庫県知事に対して辞職を求めることは、積極的な意義があると考えます。
 元西播磨県民局長が配布した文書は、知事のパワーハラスメント、贈答品の要求、プロ野球の優勝パレードをめぐる不正疑惑、知事選挙における公職選挙法違反の疑惑など、7項目にわたる不正疑惑を告発しています。
 告発文書の内容については、県職員のアンケートへの回答や、県議会に設置された100条委員会での証言などにより、一つひとつ裏付けられつつあります。また、告発文書が配布されてからの知事の対応にも厳しい批判が寄せられています。
 知事の対応の誤りの根幹は、公益通報制度に反する行動をとったという点です。その経過は、100条委員会での尋問などで、明らかにされています。
 告発文書は、3月12日付けの文書が報道機関、一部の議員、警察に配布された、とされています。その文書を斎藤知事が把握したのが3月20日。知事は即刻、翌日の21日、当時の片山副知事を含む4人の幹部職員を呼び出し、対応を協議しています。その協議の場で知事は、「徹底的に調べてくれ」と言って、告発者探しの調査を指示します。この指示に同調した片山元副知事が、協議にもとづいて、人事課に指示を出し、告発者と、告発者に情報を流したと思われる数人のメールを確認させ、告発者がだれかということを、数日間で特定します。そこで、片山元副知事らが、3月25日、三つの班に分かれて、告発者とその関係者を追及するために出動します。
 元副知事率いる一つの班は、西播磨県民局へ行き、そこで、報道にあるような脅迫まがいの厳しい詰問をして、パソコンを押収します。別の二つの班は、元県民局長に情報を流したであろうと推察される職員のところへ行き、そこでも同様の調査をし、犯人捜しをしたということです。
 この調査をもとに、3月27日、斎藤知事は、記者会見で、告発文書は「事実無根」「嘘八百」だと断定し、告発者が予定していた定年退職を差し止め、局長を解任し、総務部付へ異動させると発表しました。
 その事態を受けた元県民局長は、4月1日、自分の文書を知事が事実無根とするのなら、その根拠を示すよう文書で知事に求めます。翌日の4月2日に、知事は、記者会見で、告発文についての事実関係を調査すると発表し、県の内部による調査を開始します。世間では、第三者機関が調査すべきとの批判が起きました。
 一方、告発者である元県民局長は、県の内部調査が始まろうとするその機をみて、4月4日、県の公益通報制度を使った通報を当局におこなっています。しかし、知事が決めた県の内部調査は継続され、調査開始から約一か月後、5月7日に、告発文書は「核心部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」として、元県民局長を停職3か月とする懲戒処分を行いました。
 専門家は、この一連の対応には二つの問題がある、と指摘しています。一つは、告発文書が配布されたその時点で、公益通報制度が適用されるべきであるにもかかわらず、そのような対応がされなかったこと。二つ目は、だれが対応したかという問題です。告発されているのは知事自身です。その知事が、また、その関係者が調査対応したことは不当極まりないことだ、ということです。また、その対応が告発内容の事実関係の調査ではなく、告発者探しの調査をおこなっていた、ということも重大な問題だ、ということです。これには、公益通報者保護法に違反し、言語道断だとの厳しい批判が寄せられています。
 もう一つ、指摘しなければならないことは、職員の証言や県議会設置の100条委員会での証言に対する知事の対応です。斎藤知事は、証言を突きつけられ、逃げ切れなくなって一部を認めたものの、従来からの姿勢を変えることなく、「文書に真実正当性がない」という趣旨の発言を繰り返し、すでに明らかになっている事実を認めず、あくまでも自身の一方的な主張を繰り返していることです。驚くことに、この問題にかかわって、二人の命が失われたことに対する道義的責任が問われたときに、斎藤知事は「道義的責任が何かわからない」などと不謹慎極まりない発言まで口にしたことです。100条委員会での発言や、記者会見での知事の態度は、知事への批判を増幅させています。
 このようにして、告発文書が配布されて以降、斎藤元彦知事やその側近らによる、さまざまな問題が浮かび上がってきています。県知事のパワハラや贈答品要求の数々は、知事就任以来ずっと常態化していた、ということも、多くの証言で明らかです。すでに、知事の職務実態は喪失していると言わざるをえません。
 そうしたなかで、いまでは、県議会のすべての会派と議員が知事の辞職を求めるにいたっています。知事に辞職を求めることは、当然のことです。したがって、日本共産党西宮市会議員団は、斎藤元彦兵庫県知事の辞任を要求する意見書案の趣旨に賛同することを表明し、討論とします。