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野口あけみの一般質問
2024年12月06日

財政構造改善実施計画(素案)について


 ただいまより、私、野口あけみが日本共産党西宮市会議員団を代表して、一般質問を行います。傍聴にお越しの皆さん、お寒い中お疲れ様でございます。ありがとうございます。また、インターネット中継、さくらFMを視聴されている皆さん、ありがとうございます。

 質問の大項目は、財政構造改善実施計画(素案)についてです。
 11月25日から12月25日までの日程で、西宮市財政構造改善実施計画(素案)についてのパブリックコメントが実施されています。昨年10月に「西宮市財政構造改善基本方針」(以下、基本方針)が発表されて以来わが党は、財政構造改善の全般について、議会本会議や常任委員会の場で質問し、およそ次のような主張をしてきました。一つ、市税収入の堅調さや市債残高公債費の減少など各種財政指標は決して悪くないのに、実質単年度収支の赤字のみをもって財政危機だとあおるのはいかがなものか。二つ、財政が厳しいというなら、阪神西宮駅北の公民連携事業など投資的事業こそ、いったん中止・見直すべきではないか。三つ、市民の暮らしや福祉の施策・事業の削減は物価高騰でくらしが大変な時に許しがたい、などです。水道料金下水道使用料福祉減免制度の見直し、これはR8年度から半減、11年度には廃止するというものですが、障害者、母子家庭等の医療費助成の見直しなどの福祉の削減とあわせ、他会派からも厳しい意見が相次ぎ、見直しが求められているところです。
 ところが、今回の素案は、今年2月に発表された「西宮市財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠」(以下、取組の大枠)から大きな修正や変更はなく、より具体化され項目が追加されているものです。議会の意見さえまともに反映されないまま今日に至っていますが、この度のパブリックコメントの結果、市民の意見がどのように反映されるのか、おおいに疑念を持っているところです。

 本日は、これまでの主張を前提に、以下3点について質問したいと思います。

(ア)社会保障関係経費のうち、障害者介護給付等事業について
 素案では、障害者介護や保育所などの運営経費の伸び、高齢化の進展による介護保険特別会計への繰り出し、後期高齢者医療保険特別会計への繰り出しなどの増加が扶助費を増加させる要因となっている。社会保障充実は重要な行政課題だが、これが財政の大きな負担となっている、としています。このうち、近年経費の伸びが顕著な、障害者介護給付等事業についてお聞きしたいと思います。
 
 日本の障害者・患者やその家族は、親族扶養を前提とした民法の下、家族に責任が押し付けられ、とりわけ母親に介護が集中してきましたが、長い時間をかけた時代の進展の中、「どのような障害があろうと、一般の市民と同等の生活と権利が保障されなければならない」というノーマライゼーションの理念や2014年に我が国が批准した障害者権利条約の観点から、障害者福祉施策・制度も変遷・拡充されてきました。
 配布資料1をご覧ください。この資料は健康福祉局から提供いただいたものですが、制度の変遷とそれに伴うサービスの事業名、事業費などを時系列で示したものです。なお、同じ色のマーカーで着色しているものは移行した同様のサービスです。例えば、支援費制度までは居宅介護だったものが、自立支援法以降は、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援へと移行発展しています。
 さて、この資料、上から2段目にある通り、行政による措置でサービスが提供された制度から、2003年(H15年)に、障害者と事業者が契約を交わしサービスを選ぶ支援費制度へと変わりました。この制度は、当初は支払い能力に応じた自己負担=応能負担で始まりましたが、法改正時の付帯決議でサービスに応じた応益負担への移行を検討するとされていたとおり、2006年(H18年)には、利用者負担を応益負担にする障害者自立支援法が施行されました。この制度ではそれまで障害の種別ごとに異なっていたサービス体系が一元化され、支給決定を透明化・明確化するため、障害の状態を示す全国共通の尺度として「障害程度区分」(現在は「障害支援区分」)というものが導入されましたが、一方で必要なサービスが多いほど負担が重い応益負担が障害者やご家族を苦しめました。生存権の侵害、憲法違反だと裁判が提起され、2010年(H22年)、原告団・弁護団と国・厚生労働省の間で、自立支援法の廃止、新法制定の基本合意がなされました。
 そして、2012年(H24年)自立支援法の一部の手直しのみで骨格を残した障害者総合支援法が成立し、翌年施行されました。この制度では、住民税非課税世帯の障害者の自己負担はなくなりましたが、収入認定は世帯全体のまま、また、65歳になれば介護保険を優先して使うこともそのままであり、違憲裁判での基本合意を生かした制度改善は残念ながらまだ未達成です。

 質問します。
@今申し上げたような経過からも経費の伸びは当然だと考えますが、市として、障害者介護給付等事業における経費の伸びをどう分析しているか、また、これはむしろ障害福祉充実の観点からみれば歓迎すべきものと考えるがどうでしょうか。
A現状の障害者介護サービスでは、例えば視覚障害者の外出を支援する同行援護の時間数を増やしてほしい、グループホームが足りない、従事者の処遇が不十分で人手が足りないなどの多くの意見や要望をお聞きしています。
 ノーマライゼーションや障害者権利条約の観点からはまだまだ現行サービス給付は不十分だと考えますが、いかがでしょうか。
B10月11日の健康福祉常任委員会での所管事務調査で、国の国庫負担基準が実態に合わず、市の負担が大きくなっているという報告がありました。どういったしくみでそうなっているのか。このことについて国に強く改善を要望すべきですが、どう考えますか。

(イ)瓦木支所管轄の窓口業務の見直し
 次に、素案の(1)内部事務改革による経費削減の取り組みのなかの「市民手続きのDX推進・簡素化及び窓口体制の最適化」のうち、瓦木支所管轄の窓口業務の見直しについて質問します。
 今年2月時点の 「取組の大枠」では、同項目の中に支所の役割を窓口サービスから地域振興活動の拠点へ転換する、支所等の行政機能の再配置についてのビジョンを示し、計画的に進めるとの記述がありました。なお、取組の大枠での効果額はR6〜10年の累積効果額は2千万〜8千万円、R11年の目標額は1千万〜2千万円となっていましたが、素案では、R6年〜R10年、R11年とも未定です。

 3月議会本会議、澁谷議員の代表質問への答弁で市当局は、「支所は従来から、行政サービスを提供する窓口機能と、地域団体等と本庁担当部局との地域課題の解決に向けたパイプ役としての地域担当機能を果たしてきた。窓口業務についてはDX推進などによって取扱件数が今後も減少することが予想されており、一方で地域団体等では高齢化や後継者不足など課題があり活動の支援をしていきたい。そのモデルとして瓦木支署管内で検討し、あわせて瓦木支所、アクタ西宮ステーション、上甲子園サービスセンターと複数ある行政サービス窓口を最適化していく」また、「支所等行政機能の再配置についてのビジョンを今年(2024年)度に作成する」などとしていました。 

 質問します。
@瓦木支所管轄内にある瓦木支所、アクタ西宮ステーション、上甲子園サービスセンター、それぞれの役割について、まず聞かせてください。
A3月議会答弁にあった、支所の役割を窓口サービスから地域振興活動の拠点へ転換する、支所等の行政機能の再配置についてのビジョンを示し、計画的に進める、この2点について、その進捗についてお聞きします。
@あらためて、瓦木支所管轄の窓口業務の見直しについての今後の方針についてお聞きします。

(ウ)パブコメでの意見はどう生かされるのか
 現在、同素案について、西宮市参画と協働の推進に関する条例に基づき、意見提出手続、いわゆるパブリックコメントが実施されています。同条例は、「市民等が持つ豊かな知識及び経験をまちづくりに生かし、市民等と市がよりよい本市の姿を共に考え、その実現に向けて共に行動する地域社会の形成に資することを目的としている」とされています。
 同条例に関しては、参画と協働の取り組み状況について、市以外の観点から検証するための評価委員会が設置されており、年度ごとにパブリックコメント等の検証と評価がなされています。何年か分にざっと目を通しましたが、パブリックコメントについて以下のような内容がありました。
 パブリックコメントは、説明責任を果たすためだけの制度ではなく、市民等に対して積極的かつ能動的な市政への参画を求めるという踏み込んだ制度であるとしたうえで、その実施にあたっては、@多くの市民等の関心が寄せられるように、多様な意見を踏まえて計画等の案を作成し、A誰にでも読みやすく理解されやすい資料を配布するとともに、B提出された意見に対して真摯に回答することが重要となる。また、本編を熟読する時間が確保できない市民もいることから、本編の分量が少ない場合を除き、分かりやすくてインパクトのある概要版の作成に努めるべきである、などです。
 評価委員会では、年度ごとにパブリックコメントのいくつかをピックアップし、A〜Eの総合評価を行っています。案作成にあたって、審議会や策定委員会の設置や、説明会・ワークショップ・広聴会の開催、アンケートの実施などで市民参画の機会が十分に確保されている事案や、当たり前ながらパブリックコメントで提出された意見のうち多くの意見がプランに反映されている事案(男女共同参画プランでは16件)が高評価となっています。

 そこで質問です。
@評価委員会のおっしゃる通り、計画案(素案)は多様な意見を踏まえて作成することが重要だと考えますが、この度の素案作成にあたってはどんな取り組みをしたのか、お聞きします。
Aパブコメは11月25日から始まり今月25日までですが、現時点でどれぐらいの意見が寄せられているか。
B提出された意見に対して真摯に回答すること、これもその通りですが、提出された意見を素案に反映させる際の考え方や基準などをもっているのか。


●資料1 障害福祉サービス制度の変遷による利用者数・支払額の推移 (1) [PDF]
http://nishinomiya.jcp-giin.net/_materials/202412_shiryou01.pdf

●資料2,3 重度訪問介護利用者+サービスの一例及び支給決定標準支給量と国庫負担基準から算出する支給量との比較 [PDF]
http://nishinomiya.jcp-giin.net/_materials/202412_shiryou02-03.pdf