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三好さつきの一般質問
2025年02月27日

訪問介護事業について


 2000年に「介護の社会化」として介護保険制度が創設され、今年で25年目を迎えます。3年ごとの報酬改定の度に介護保険料は増え続け、一方、国が制度の改悪や介護報酬削減を連続して行ってきた結果、必要なサービスを受けられないなど、制度の崩壊が起きています。
 2024年の介護報酬改定前、全国に33,000ある事業所のうち、3年連続で赤字の事業所が4割、ヘルパーの求人倍率は成り手がおらず15.5倍と明らかになっていました。しかし、2024年の改定では、訪問介護が評価されずに、基本報酬が引き下げられました。コロナ禍の時、重症になっても高齢者は入院させてもらえず、そこを在宅で支えてきたのは訪問介護です。訪問介護事業所を運営する事業者にとって「まさかの引き下げ」でした。
 そもそも、訪問介護は介護保険制度開始以来、物価や最低賃金の上昇にもかかわらず、報酬が引き下げられてきた経過があり、今回の報酬引き下げが発表されたときには、介護事業の経営環境はすでに過去最悪の状況だといえます。東京商工リサーチによる調査では、2023年に倒産、休廃業の介護事業所は合わせて632社、そのうち、訪問介護事業者427社が消えています。
 報酬が引き下げられた24年度では、さらに訪問介護事業所の倒産が加速しています。
 東京商工リサーチが継続して行っている調査によると、24年10月時点で訪問介護事業所の倒産は72件、過去最高だった23年度を超えてしまいました。同社は24年11月、訪問介護の倒産を増やした要因を「ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年度の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある」と分析しています。
 ある自治体では、公的役割のある社協の訪問介護事業所が閉鎖してしまい、利用者を引き継いだ民間事業所も報酬引き下げによる減収と激務に耐えられず休止届けを提出。このように、訪問介護事業所のない自治体は24年12月末で全国107町村となり、わずか半年で10町村増えました。次の改定は27年4月です。報酬引き下げを撤回し、事業所存続のための支援策が必要です。
 西宮市の訪問介護事業所はどうなっているのか。介護事業所交流会の代表の方から「介護事業所の職場アンケート」を実施したと、その結果が寄せられました。代表の方は、「基本報酬が減った分、経営に影響するのは避けられない事態。私たち西宮市の介護事業所も影響が出始めていると判断」し、市内174か所の訪問介護事業所を対象に昨年8月より、手作業でアンケートを実施されました。
(資料4)を参照ください。アンケート対応もままならない小規模事業所も多く、54事業所から回答が得られた結果からは、圧倒的に今回の報酬改定による経営への影響が表れています。意見・要望では、「報酬が減っても、給与を減らすことはできないため、会社からの持ち出しで賃金アップを図っている」「少人数でケアに出ており、加算をとる余裕もない」「基本報酬の引き上げを国に求めてほしい」「赤字経営でいつまでもつか、日々、休止・倒産のことを考えながら運営している」など切実な声が挙がっており、事業所の存続がこの西宮でも危ぶまれている状況だといえます。介護事業所交流会は、18時すぎからの開催ですが、小規模事業所の管理者の方は夜間の訪問介護業務のため、参加することも困難な状況です。そんな中、参加されている事業所からは、「処遇改善加算は1しかとれない」「人手不足で、早朝・夜間・土日の訪問は管理者が対応している。」「請求業務など事務作業は夜間になってしまう」「人手不足で、利用者さんに十分なサービスが提供できない」など交流の中で困難な状況が出されました。そんな中でも、逃げ出さず「いい介護を提供したい」と介護にやりがいを持って臨んでいることも伝わってきました。

(質問) 市の訪問介護事業所は24年10月時点で215。24年度の新規・廃止の事業所数と廃止の事業所のエリア、その理由について聞かせてください。

(質問) 訪問介護事業所の実態調査を市として把握することが必要と考えるが、なぜ行わないのか。介護報酬改定後の訪問介護事業所の影響については、減収となり、事業所経営がひっ迫している状況だといえます。9月議会で市独自でアンケート調査する予定はないと答弁されていますが、市民が取り組んだアンケートや現場の声からも訪問介護事業所の実態を市として把握することが必要と考えます。また、他市では、減収分について支援を行っている市があります。事業所への支援給付や介護職等への賃金補助など講じる必要があると考えるが市の考えを聞かせてください。

 次に介護人材確保について。
 市の介護人材の状況はどうなっているのか。2024年3月に出された「西宮市高齢者福祉計画・西宮市介護保険事業計画」にある「介護職員の需要と供給の推計」をみると、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年はまだ、供給が需要を上回っている状態。しかし、2035年以降は需要が供給を上回ると推計されています。
 現状としても需要と供給の差が小さく、利用者のニーズに応じたサービスを提供することが難しくなっていると想定されるため、介護人材の確保に向けた施策を推進する必要があると書かれています。(資料3)を参照ください。
 2月10日に行われた「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の資料です。第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数が示されています。2026年度には約240万人、高齢者人口がピークとなる2040年度には、約272万人必要とされ、2022年度からみると、約57万人が不足とされています。
 国において?介護職員の処遇改善?多様な人材確保・育成?離職防止・定着促進・生産性向上?介護職の魅力向上?外国人材の受入れ環境整備など総合的な介護人材確保対策に取組むとしています。市に置き換えると、何人の介護人材が必要となってくるのか、今ある、介護人材確保計画で十分なのか、危惧されます。交流会では、「募集しても応募がない」「人材派遣会社利用は経費がかかるが、仕方なく利用している。しかし、長続きしないで辞めてしまう」「サービスの依頼があっても人手不足で断っている」など人材不足の報告が続き、介護人材確保対策は急がれる課題であるといえます。

(質問) 市の介護人材確保について、その効果、実績、課題について聞かせてください。
 また、若い世代が介護に魅力を感じる取り組みやしくみについても聞かせてください。