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庄本けんじの反対討論
2025年03月21日

議案第305号令和7年度西宮市一般会計予算、議案第306号令和7年度西宮市国民健康保険特別会計予算、議案第307号令和7年度西宮市食肉センター特別会計予算、について


 ただいま上程中の諸議案のうち、日本共産党西宮市会議員団は、議案第305号令和7年度西宮市一般会計予算、議案第306号令和7年度西宮市国民健康保険特別会計予算、議案第307号令和7年度西宮市食肉センター特別会計予算、以上3件について反対します。以下、理由ならびに意見を述べます。

 まず、305号、令和7年度西宮市一般会計予算案にたいして、議会内でも反対が広がり、先に開催された予算特別委員会全大会において否決となったことについて、触れないわけにはいきません。予算反対の土台には、多かれ少なかれ、西宮市が大方針に据えている「財政構造改善」への批判があります。当然のことながら、議会内での反対は、それぞれに、立場の違いがあります。しかし、「財政構造改善」なる掛け声で、「市民サービスを削る」ということにたいする批判は、共通しています。このことをどう見るかが、大事です。
 重要なことは、市が進めている「財政構造改善」の取り組みが、住民が求める方向と、まったく逆の方向に向いていることの矛盾の反映になっている、という点です。そこを見ずに、手練手管の対応ですませ、仮にこの事態を乗り切ることができたとしても、それは、単なる延命策でしかなく、住民要求との矛盾を解消することはできません。「財政構造改善」方針をはじめ、市政の根本的な転換が求められているということを、まず、強調するものです。
 私たちが市政に求める根本な転換とは、なによりも、市民生活をまもりぬくことへの転換、とくに、物価高騰から市民生活を守ることを第一義的任務に据えること、そして、財政のあり方を決めるのは住民である、との立場に立つことにあります。そのためには、西宮市が、自治の精神を発揮して、国の言いなりではなく、住民とともに歩むことに徹することが、どうしても必要です。
 「失われた30年」といわれます。国民の生活も日本の経済も、現状は、惨憺たる状態にあります。とくに、物価高騰による生活の苦境は、どの指標を見ても最悪の状態が更新され続けています。生活苦の進行が止まらないのです。それでも、政府は、従来の政治を改めることなく加速させ、矛盾を深めています。たとえば、来年度の政府予算案では、8.7兆円もの大軍拡と、大企業には大盤振る舞いの放漫財政をつよめています。自治体に対しては、「公共サービスの産業化」、公共施設の集約化、統廃合など、公共の縮小を押し付けてきています。その一方で、地方自治体からのさまざまな要求には目を向けようとしないありさまです。
 だからこそ、自治体のありようが根本から問われるのです。西宮市は、繰り返されてきたこれまでの市政に加え、さらに、「財政構造改善」を看板にした市民サービスの削減と負担増を、推し進める構えを強めています。
 2月17日公表した「財政構造改善実施計画」でも明らかにされたように、市民サービスの削減と負担増の内容は、歳入で23項目、歳出で120項目にもおよびます。物価高騰で苦境に立たされている住民の暮らしに、さらに追い打ちをかけるように、西宮市が、新たな重しを加えようというのです。
 西宮市が進むこうした方向は、まさに、住民の生活実態が求める方向とは真逆の方向を向いている、と言わざるをえません。西宮市政の根本的な転換が求められます。

 そのことを指摘したうえで、令和7年度の西宮市一般会計予算案にたいする具体的な反対個所を述べます。

 第一は、阪神西宮駅北地区公民連携事業です。この事業には、指摘すべきいくつかの問題がありますが、とくに問題視しなければならないのが、市が関与することで可能となる40階建ての超高層のタワーマンション建設についてです。
 代表質問でも取り上げたように、タワーマンションにまつわる諸問題は、全国のいたるところで、数々の問題が指摘されているところです。良好なコミュニティーづくりができず、管理組合の総会や集会の議決が困難になる、適切な修繕もできない、などの指摘です。重大な問題を数多く生じさせるタワーマンションの建設を、規制するのではなく、逆に、市が関与してすすめようとする。そのようなことを、見逃すわけにはいきません。
 令和7年度一般会計予算案では、この事業の再開発に充てる費用が約1千2百37万円、区画整理に充てる費用が3千万円、合計約4千2百37万円となっています。この予算の撤回を求めます。

 第二は、阪急武庫川新駅設置事業です。この事業については、不要とまではいわないまでも、物価高騰による生活苦が深刻な状況のなかで、優先すべきは何かという観点から鑑みて、急ぐべき事業ではない、ということを指摘しておきます。

 第三は、保育所の待機児童対策についてです。西宮市の保育所の待機児童問題は、きわめて深刻です。昨年の4月1日の待機児童数は、前年比で65人も増え、121人に達しました。そのときの兵庫県下の自治体の待機児童数は、総数で256人でしたから、西宮市の待機児童の状態がいかに深刻な問題か、明白でした。だからこそ、石井市長は、6月の定例議会で、「こういう結果を導いたことに関しまして、議会、そして市民の皆様方に改めておわびを申し上げます」と、謝罪されたのではないのでしょうか。ところが、西宮市のその後の対応は、待機児童解消の方針さえ持つこともなく、漫然と過ごし、今日にいたっています。逆に、「西宮市幼児養育と保育のあり方」の方針により、保育定員を86人も減らす計画を練り、実施しようとしているのです。
 保育所の待機児童対策は、自治体の義務のはずです。市長は、謝罪されたのであれば、それなりの抜本対策の方針を市として持ち、待機児童ゼロをすみやかに実現すべきです。

 第四は、部活動の地域移行問題です。
 この問題では、議会への説明が不十分であると同時に、あまりにも拙速な運びとなっていることを、まず指摘しないわけにはゆきません。教育こども常任委員会において、各議員から、説明不足との指摘が相次ぎ、強い批判の声が上がりました。
 そもそも、部活動の地域移行の取り組みは、日本の文化とスポーツのあり方を土台から大きく変えようという取り組みです。歴史的な激変です。当然、課題は続出します。合意のための時間を必要とします。十分な条件整備が必要です。国民的な議論もなく、拙速に事を運ぶようなことは絶対に許されません。移行時期を限定せず、すべての子どもたちが、文化とスポーツに参加する権利を保障することを基本に据えて、取り組むよう強く要望します。

 第五は、福祉事業所等運営指導他適正化事業についてです。
 この事業の主な内容は、これまで市が直営で実施していた運営指導を民間業者に業務委託しようとするものです。指導監督の業務は、権限を持つ行政が直接行うべきものです。その重要な業務を民間にゆだねることそのものに、まず反対です。行政が直接たずさわるからこそ、福祉事業所の実態を行政がつぶさに把握し、丁寧な指導が可能になるのです。民間委託ではなく、行政の体制強化こそ求められています。

 次に、意見・要望です。
 国民生活が大変なとき、市民生活の切り捨てではなく、充実こそ追求すべきです。

 第一に、学校給食の無償化です。学校給食の無償化は、実施する自治体が全国で広がり、国会でも、実現に向けた議論が行われています。学校給食は、食育の生きた教材です。憲法でも、第26条で「義務教育費は、これを無償とする」と明記しています。いよいよ実現すべき時です。西宮市でも、学校給食の無償化に踏み出すことを求めます。

 第二に、高齢者の補聴器購入への助成制度の創設です。聞こえは、人権です。聞こえが悪くなると、社会的な孤立を招きます。また、認知症リスクも高まります。明石市と同じように実施するとすれば、西宮市では、対象が600人、2万円の助成で1200万円です。実現に向けた検討をされるよう要望します。

 第三に、高齢者外出支援についてです。かつての高齢者交通助成制度は、バスだけでなく、電鉄、タクシーの利用も可能でした。それが、いまは、バス運賃助成に削減されています。バスのみの助成では、利用しづらい人が大勢おられます。「せめて、タクシーも利用できるようにしてほしい」との切実な声が寄せられています。高齢者の外出支援の拡充を求めます。

 次に、議案第306号、令和7年度西宮市国民健康保険特別会計予算についてです。この議案は、議案第331号、西宮市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定の件で、三好さつき議員が発言した通りの理由により、反対するものです。
 なお、のちの日程に上程されている議案第344号、令和7年度西宮市国民健康保険特別会計補正予算については、職員給与の人事院勧告にもとづく改定のため、その趣旨には賛成ですが、議案第306号に反対することにともない、反対するものです。


 議案第307号、令和7年度西宮市食肉センター特別会計予算については、党議員団は、長年にわたって一般会計からの繰り入れを廃止するよう求めてきた案件です。思い切った見直しがされるよう強く求め、反対します。

 以上、西宮市政の根本的転換を求めて、討論とします。