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野口あけみの討論
2025年03月25日

議案第325号 西宮市一般職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例制定の件の原案と修正案について


 日本共産党西宮市会議員団は、議案第325号 西宮市一般職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例制定の件の原案に賛成、修正案に反対です。以下討論を行います。

 同議案は、令和6年(2024年)人事院勧告で、俸給表の引き上げが示されたことに準じ、本市の給料表を、国の改定動向を踏まえて高年齢層の改定額を抑制し、行政職給料表適用者平均で3.0%アップさせる、期末勤勉手当を改正前4.5月から4.6月へ、また地域手当を改正前の15%から年度ごと1%ずつ段階的に12%まで改定するなどの内容です。
 一方、総務委員会で澁谷議員から提出された修正案は、国家公務員と同一職位の給料表について国の最高号級を上回る部分を一律削除するもので、当分の間は削除される号級に該当する職員については現員現給でとする内容です。財政危機といわれる中で日本一高い職員給与がそのままでよいのかという問題意識から、国の水準に比べて明確に高いところを削ったと説明されました。
 地方公務員の給与は、地方公務員法で3つの原則が言われています。1つに、職務と職責に応ずるものとする職務給の原則、2つに生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員、並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めることとする均衡の原則、3つに、職員の給与は条例で定めることとの条例主義です。
 公務員はその地位の特殊性と職務の公共性に鑑みて、労働者に憲法が保障する労働基本権が制約されています。そうした中で給与や待遇を改善させる手段として、代替としての国家公務員に対する人事院勧告があり、とりわけ給与は民間との比較で勧告されます。地方公務員の給与も人事院勧告に準じることによって、国や民間との均衡が図れるわけです。他の自治体との均衡や、地域性などその他の事情、生計費も考慮して定めるところに難しさがありますが、制約されている労働権の中でも可能な団体交渉権を行使し、労使で合意した内容を、団体協約を締結する権利がないことの代替として、条例で定めているのです。
 当局の説明では、この度の当局提案に際しては、昨年5月から15,6回の交渉を重ね、その前には30回の予備交渉もあったとのこと。現在、市では財政構造改善のとりくみを進めていることもあり、その交渉は双方にとって簡単なものではなかったと思われます。そのうえで合意し、提案されているものと理解し、原案に賛成するものです。
 方や、修正案はどうでしょうか。明確に国と比べて高いところを削った、伊丹市、芦屋市の給料表は国とほぼ同じだと述べられましたが、他自治体との均衡を見るうえで一つの指標となり得るラスパイレス指数は、本市で令和6年4月1日現在、101.0、芦屋市は103.5です。また、修正案で削除した号級に位置する職員は、改めて当局に確認したところ、3級で40代後半の主査で70名、4級では50代前半の係長級で153名あわせて計223名とのことでした。そのうち3級には保育士16名、4級には保育所所長18人、副所長3人が含まれます。現場でご苦労され、一生懸命職務にあたっておられる方たちなのです。
 このように内容もさることながら、見過ごすことのできないのが、正当な労使交渉を全く無視していることです。無視どころか、労使交渉で合意されたものを、議会が横から手を突っ込んで書き換えるのは、大問題です。こんなやり方がまかりとおれば、労使交渉は意味をなさなくなります。今後の労使関係、信頼関係にも重大な影響を与える同修正案には反対です。