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野口あけみの反対意見
2025年05月27日

5月27日開催の都市計画審議会における議案第1号 阪神西宮駅北地区地区計画の決定について、および第2号 阪神間都市計画公園(和上公園)の変更についてに対する反対意見


 阪神西宮駅北地区地区計画が付議されるにあたり、意見を述べさせていただきます。

 市は、阪神西宮駅北側地区について、交通の錯そうや、バス停の分散、また、道路によって土地が細分化され、駅前というポテンシャルを生かした土地の有効・高度利用が図られていないなどの課題を長年抱えているとしてきました。
 これらの課題解消には、大街区化や施設の複合化が最も有効な手段であるとして、これらの枠組みを市から民間事業者(これは地権者である阪神電車、大阪ガスの2社と、事業協力者のNTT)へ提示してきた結果として、その枠組みに沿った提案書が2023年10月に提出され、11月下旬に市は事業者と連携協力して取り組む基本協定を締結し、現在、順次、手続きが進められているところです。

 本議案は、その最初のものですが、本地区計画は、本市の都市核の一つである恵まれた当地区の立地条件を生かし、土地の適正かつ合理的な高度利用を推進し、計画的な市街地環境の形成を図ることを目的に策定されます。そのうえで、市道の一部廃止、公園の区域変更などを伴う本市では初めての取組である大街区化を目的とした土地区画整理事業を民間事業者が実施、その後に、民間事業者が市街地再開発事業で公民複合施設と40階以上のタワーマンション等を建設します。

 一般的な地区計画は、住環境の保全などを目的として、まちづくりの目標やルールを定め、建築物の用途や高さなどの制限を強化するものです。
 しかし、当地区で予定されている再開発等促進区を定める地区計画は、土地の有効・高度利用を目的として、まちづくりの貢献度に応じて、建築物の用途や容積率等を緩和するものです。
 また、一般的な土地区画整理事業は、減歩を伴う土地の交換により、道路や公園等の公共施設を拡充し、あわせて宅地を整形化することを目的としています。
 一方、当地区で実施予定の敷地整序型の土地区画整理事業は、土地の交換により宅地を集約化し、有効・高度利用しやすくすることを目的としています。
 
 このような、容積率緩和、大街区化、公民連携で民間の力を活用し、多様な事業手法を組み合わせて土地の有効・高度利用を図るまちづくりは、国の国土交通省の成長戦略に丸々沿ったものであります。
 しかし、私は、まちづくりというものが、ここまで民間丸投げでいいのか、という疑問を抱いています。
 当地区では、市の全面的な協力の結果、容積率の緩和等により、民間業者は駅前にタワーマンションを建設・販売することになります。今、都市部では既存マンションの適正管理に頭を悩ませています。今後さらにマンションの老朽化が進行し管理問題が日本の大社会問題になっていくことは、間違いありません。タワーマンションとなるとこれまでのマンション問題以上に複合的な問題を投げかけることは必至です。そうした課題を将来にもたらすことが分かっているのに、それを是としてこのような民間主導のまちづくりでよいのか、という疑問です。

 もう一点、現在市が取り組んでいる財政構造改善基本計画との関係です。同計画では、様々な福祉事業や市民サービスが縮小廃止されようとしていますが、一方でまちづくりへの投資に資する施策・事業は厳選して実施するとされているため、本地区の整備事業は現時点で約26億円の事業費と試算されていますが、聖域となっています。物価高騰でこの事業費は今後増大することもまた必至です。このことにも疑念を呈しておきます。

 以上の理由から、本市の中心地のひとつである阪神西宮駅周辺地区のまちづくりとして、市の提起する本議案を含む方針には賛成しかねる、反対です。

 なお、議案第2号 和上公園の変更についても、同趣旨の意見で反対です。