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2026年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:環境局
2025年09月02日


  1. 今年の夏もさらに「危険な暑さ」となり、本市においても連日「熱中症警戒アラート」が発令されている状況であり、地球温暖化防止は世界的規模の緊急の課題である。市長は、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指すとしており、具体的な取り組みを市民にもわかりやすい形で進める必要がある。
    (1)2024年4月現在、全国で134自治体が「気候非常事態宣言」を発している。市においても「気候非常事態宣言」を発し、地球温暖化防止の取り組みについて、わかりやすく発信すること。
    (2)国際的には教育が気候変動への適応と緩和の双方にとって重要な鍵を握ると いう認識が高まっている。「環境学習都市宣言」を行っている市としてSDGsを実現するための教育の取組をすすめること。
    (3)脱炭素社会実現に向け、取組まれてきた「西宮市環境計画推進パートナーシップ会議」、「地球温暖化対策部会」が2025年度より「環境審議会」として取組が設置された。パートナーシップの概念を引き継ぎ、幅広く市民の関心を高め脱炭素問題の学びから将来ビジョン・計画・政策づくりを共有できるような仕組みづくりをすすめること。
    (4)「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の中間改定が行われ、2028年度の二酸化炭素排出量を2013年度比で46%以上削減するなど目標達成に向けた指標が示された。2050年までにゼロカーボンを実現するため、各基本施策の取り組みを確実にすすめると同時に市民へも情報提供すること。

  2. 温室効果ガスを減らすために自然再生可能エネルギーの活用は欠かせない。次のことに取り組むこと。
    (1)市は太陽光パネルと蓄電池の購入について、神戸市と10市3町が共同購入できる仕組みに参加している。この制度をより多くの市民に周知し、事業者向け太陽光発電等の導入支援を行うこと。あわせて、他市の取組を研究し、制度普及すること。
    (2)国は新増設される公共施設は、太陽光発電設備を最大限設置することとしている。建設計画の段階で太陽光発電設備や蓄電池の導入を十分に検討し、再生可能エネルギーの導入の取り組みを強めること。
    (3)市内企業が省エネ工事、断熱建築を受注できるように、業界団体と連携を図り、広く情報提供を広く行うこと。
    (4)国は排気ガスを出さないEV車への移行を加速することをすすめている。本市においても2023年4月に公用車の電動車導入方針を定めている。国の補助金の研究も行い災害時対応も含めた電動車導入ロードマップを策定し、EV車への移行を計画的にすすめること。

  3. 二酸化炭素削減や災害防止を目的としている森林環境譲与税での「里山林整備支援事業補助金」活用については、間伐材や木材利用促進などの具体的な取り組みをさらにすすめること。

  4. 地球規模でプラスチックゴミが問題となっており、本市では「プラスチックスマートアクションにしのみや」として、プラスチックゴミ削減を呼びかけている。2026年度からの新破砕選別施設の稼働に合わせ、製品プラスチックの分別収集が開始されるが、市民に広く周知を行うこと。

  5. 「気候変動適応法」が改正され、熱中症による健康被害の発生を予防するため、クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)の取組がすすみ、公共施設、民間施設ともに指定が拡大された。引き続き以下のことに取り組むこと。
    (1)クーリングシェルターは暑さ指数(WBGT)35以下での平時からの利用が可能となっているが、ステッカーの表示だけでは目立たず、わかりづらいため、幟表示を行うこと。
    (2)公共施設の給水スポット設置が11か所から12か所に増設されたが、さらに拡大が急がれる。クーリングシェルターとして利用が拡大した公民館などにも計画的に増やすこと。また、銀行や店舗など民間企業へ設置協力を検討し、すすめること。

  6. 兵庫県内では赤穂発電所、高砂火力発電所の建て替え計画が「電力需要の低下」から中止になっているように、環境負荷が大きな石炭火力発電所の必要性や事業性は低下している。神戸製鋼所の石炭火力発電所については、地球温暖化対策に逆行するとして稼働反対の意見表明を行うこと。

  7. ゴミ問題について以下のことに取り組むこと。
    (1)ゴミ収集の業者委託の割合については、7割以上へと拡大してきた経過があるが、災害時の対応や、民間への適切な指導上の必要があることからも、これ以上の民間委託は行わないこと。
    (2)ごみ分別と減量を目的とした指定ゴミ袋制度は一定の効果があがっているが、一人暮らしでごみ排出が少ない家庭などから、指定外の半透明袋の使用などを認めてほしいとの意見がある。検討すること。
    (3)ゴミを荒らすカラス対策については、折り畳み式ネットボックス等購入費の一部補助制度が創設され、利便性の向上が図られているが、制度の周知と併せて、実効性のあるカラス対策も発信すること。
    (4)ごみ処理については、破砕選別施設の建て替えが進められ、2026年から生活系ごみの分別区分・収集回数の変更が決定されている。新たな分別区分・収集形態について周知する機会を多数設けること。

  8. 快適な市民生活を確保するために、以下のことを実施すること。
    (1)24時間営業の店舗や深夜営業のカラオケ店や、騒音、臭気、光などの苦情が多い。「快適な市民生活の確保に関する条例」を実効性のある内容に抜本的改正を行い、市民の要望に応えられるようにすること。
    (2)同条例において市内公共の場所における歩きたばこ(自転車運転中の喫煙を含む)を規制しているが、依然として歩きたばこ、ポイ捨てはなくならない。環境マナー啓発員や巡回指導員らからの情報を元に重点的な喫煙マナー向上に取り組むこと。
    (3)県は「客引き行為等の防止に関する条例」を制定し、阪急北口北西地域・甲子園口南側地域を禁止区域とした。客引き行為はアルバイトでも処罰の対象となることなど啓発を行い、市民や通行人が安心できるよう有効な取り組みを実施すること。

  9. 本市では、供給する水道水について定期的にPFOS及びPFOAの濃度測定を行っている。厚生労働省が設定した暫定的な目標値においては「PFOSとPFOAの合算値で1リットルあたり50ナノグラム(50ng/L)」としているが、欧米で定めた数値よりも何倍も緩い設定であり、今後の健康被害の実態が見えにくい状態である。引き続き、PFOS及びPFOAの検査を行い、水道水だけでなく、地域の井戸水などの安全性を確認し、必要に応じて住民の健康被害に対しての対応を行うこと。