HOMEへ
2026年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:都市局
2025年09月02日


  1. 一定規模の業者の住宅開発について、市は、「まちづくり・まちなみ基本条例」を定め、業者に対して指導や対応をおこなっているが、近隣住民のとのトラブルは絶えない。秩序ある開発のために、次のことを要望する。
    (1)トラブルの原因は、近隣住民の声や意思がほとんど顧みられることなく、強行的に開発が行われることにある。条例にもとづく近隣住民との協議も形式的で、協議が開始されるときには、すでに後戻りできない状況で計画が提出される。開発の計画策定段階や構想の段階から住民参加を保障するしくみをつくること。また、開発業者への住民からの対応を、行政として支援する体制をつくること。
    (2)「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」が、2026年10月1日付けで廃止されるとのことである。この要綱は、教室不足の解消とは言うものの、仮設教室をも前提としたものであり、また、今後の少人数学級の広がりに対応するものではない。これらのことを考慮し、要綱は、廃止でなく、改善し、条例化をめざすこと。
    (3)タワーマンションをめぐる諸課題が社会問題なり注目されており、神戸市では規制を設けた。市でも規制を検討し、タワーマンションはこれ以上建設させないこと。

  2. 住宅の耐震化について、市は、耐震化の補助制度のメニューの改善をおこなったが、利用者が少ないとのことである。その原因を解明し、制度の充実を図り、耐震化を促進すること。あわせて、市の補助金を増額するとともに、県や国にも増額を求めること。

  3. 住まいは人権、住まいは福祉である。西宮市内では民間の賃貸住宅家賃が高く、学生、高齢者、子育て世帯などが、部屋を借りにくい現状がある。他市が実施している制度を研究し、西宮市独自の賃貸住宅家賃補助制度を創設すること。

  4. 低所得者などの住宅確保要配慮者対策として、市は相談窓口を設けるとともに、関係各課や関係団体との連携体制を構築し対応しているが、住宅セーフティネット制度の実効性をさらに高めるため、この制度を市民に広く周知すること。

  5. 空き家対策について、西宮市は、2021年2月4日「NPO法人兵庫空き家相談センター」と連携協定を結ぶなど、制度と体制が整えられた。また、空き家問題への啓発として市民向けの冊子を発行するなど、広報活動も行われている。しかし、空き家は今後さらに増加すると思われる。制度の改善と合わせ、施策や事業の充実を図ること。

  6. UR(都市再生機構)の家賃については、その公共的使命から機構法25条4項に「既定の家賃の支払いが困難なものには減免することができる」と規定されている。しかし、減免の基準が示されておらず、対応する窓口などが不明確である。市は、URに対し、減免の基準や、窓口の設置、減免申請書の様式など、減免についての規則等をURが制定するよう強く働きかけること。

  7. マンションの老朽化対応と管理問題が社会的な問題となってきているなかで、市は、2024年1月、「西宮市マンション管理適正化推進計画」を策定した。市の対応について、広報をより充実させるとともに、有効な対応策を研究、検討すること。

  8. 市営住宅について、次のことに取り組むこと。
    (1)市は、「西宮市営住宅整備・管理計画(2022年−2031年)」において、市営住宅の供給方針を、「真に住宅に困窮する低額所得者に対して市営住宅を供給する」とした。これは、市営住宅供給の対象をより狭く限定することによって、市営住宅の供給を減らす従来の方針を合理化するものといわざるを得ない。住宅困窮者は増え続けている現状をふまえ、民間賃貸住宅へのすみかえ支援だけでなく、「すまいは人権」との理念に立ち、市営住宅を増やす方向に住宅政策を転換すること。
    (2)市営住宅の管理全般は、指定管理者で行っている。指定管理者では入居者の様々な要求や相談や苦情に十分な対応ができていない。指定管理者任せではなく、市が責任をもって対応すること。
    (3)高齢化のなかで、清掃や管理費徴収などの自主管理ができず、その管理を指定管理者へ移行することによって費用負担が大きく増える。市営住宅の管理は、福祉的な対応が必要になっていることからも、入居者にかかる管理費用負担の軽減を図ること。
    (4)市営住宅への入居を希望する人が多いにもかかわらず、空き室が目立つため、不満の声が多く聞かれる。すでに、公募を予定している空き室は、時間を置くことなく急ぎ対処し、公募すること。また、応募回数を増やすこと。
    (5)階段型市営住宅へのエレベーター設置は、住民の4分の3の合意でできるように緩和されたが、市が積極的にかかわって早急に設置すること。
    (6)家賃や共益費については、福祉的な観点からも、公平性の観点からも、改良住宅と一般市営住宅で統一するよう検討すること。また、市は入居者間で不公平感の解消を掲げているにもかかわらず、一般市営住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いも一部残されており、同一基準とすること。
    (7)改良住宅の空き家については一般市営住宅並み家賃で募集するようになった。しかし、共益費については徴収せず、一般市営住宅との間で、異なる取り扱いとなっている。今後の建て替えを進める中で改良住宅の在り方を抜本的に整備すること。
    (8)名義の承継について、「同居人である配偶者および高齢者、障がい者等で特に居住の安定を図る必要があるものに限る」との国土交通省の通知を受けて、市も実施することとなった。新たな住宅困窮者を生み出すことのないよう、市としての支援や救済の対策をとること。
    (9)市営住宅の入居者の高齢化にともなって、エレベーターのない住宅の上階への応募が減少していることや、コミュニティが維持できなくなることなどをふまえ、コミュニティ参加を条件とするなど、若い人が入居できる新たな制度を設けること。

  9. 市営住宅の入居者決定におけるポイント方式の導入について、25年12月募集から実施予定で検討されている。多くの人の納得が得られる仕組みとすること。

  10. 改良住宅の老朽化にともなう住み替え事業がすすめられているが、その後の建て替え計画等は未定である。改良住宅を含むJR西宮駅北地区の地域は、現在、「阪神間都市計画都市再開発の方針」の見直し作業において、初めて「課題地域」としてあげられ、今後、再開発等が検討されることになるが、過大な再開発事業はすすめないこと。