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庄本けんじの反対討論
2025年10月02日

認定第15号「令和6年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件」について


 日本共産党の庄本けんじです。日本共産党西宮市会議員団は、認定第15号「令和6年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件」につきまして、反対いたします。以下、その理由を述べます。

 令和6年度の当初予算を採決するにあたって、日本共産党西宮市会議員団は、この予算が「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の任務を果たすことができない予算である、ということを指摘して、反対いたしました。また、議員報酬と費用弁償及び期末手当支給条例の一部を改正する条例制定に反対するとともに、国民健康保険料の値上げとなる条例案にも反対しました。
 その後に提案された補正予算にたいしても、一つひとつ検討し、問題があれば、その都度、指摘すべきことを指摘し、反対してきました。
 たとえば、1億435万3000円を支出する「行政経営推進関係委託料」や「地方公共団体情報システム標準化」に関する支出、また、政治家の裏金作りに関与していたことや、たびたびの不祥事が指摘されている企業から寄付を受けようとする「企業版ふるさと納税」の歳入にも反対しました。
 これらの問題は、どれも意見を付しただけで、その執行を是とするわけにはいかない問題であるため、認定に反対するものです。

 そこで、あらためて、西宮市政の根本にかかわる問題を指摘しておきます。
 一つは、議会への説明責任の問題です。その一つは、学校部活動の地域移行の問題です。この取り組みは、歴史的で、世紀の大転換となる取り組みです。それだけに、一つひとつ丁寧に、細心の注意を払いながら進めなければなりません。ところが、この取り組みの愛称である「プレイにしのみや」、いわゆる「プレみや」を開始するという内容が、議会への説明を欠いたまま公表された、という問題が起きたのです。これは、少なくない混乱を招いた問題でした。
 また、別の問題では、山口町上山口に建設しようとする特別養護老人ホームの件に関する案件です。この案件は、計画が大きく変更され、その内容が近隣住民にとって、あまりにも大きな苦痛をあたえつづけることになるということから、強い批判が起きている案件です。ところが、そのような事情が、議会のどこにも知らせることなく、補正予算案の上程にあたっての説明において、「工事着工の遅れ」、または「工事完了の遅れ」とだけのせつめいだった、ということがありました。これは、議会が審議をするうえで、その前提条件が整えられていなかった、という重大問題です。このようなことは、あってはならないこと、ということを指摘しておきます。

 次に、「財政構造改善実施計画」についてです。
 「財政構造改善実施計画」の推進は、財政基金に頼らない財政運営を確立することを目標とし、その目標を達するためには、財政運営の構造を変える必要がある、という位置づけで、取り組まれているものです。
 では、その改善すべき構造とは何か。そのことを突き詰めたとき、問題となるのが、なんといっても、国の地方財政計画の貧弱さです。地方自治の本旨は、住民自治と団体自治にあります。そして、自治体の任務は、「住民の福祉の増進」にあります。それを保障する責任は、国にあります。そのための財源を、国が責任をもって、確保すべきです。ところが実際は、そうなってはいません。ここにこそ、改善のためのメスを入れるべき悪しき構造があるのではないでしょうか。
 同時に、西宮市の市政運営にも、構造的欠陥がある、ということを指摘せざるを得ません。それは、これまでにも、党市議団が、繰り返し指摘してきたように、「財政構造改善実施計画」もそうですが、多岐にわたる市民サービスの削減をすすめながら、その一方で、不要不急の開発事業には多額の費用を費やす、という市政の根本問題です。ここを改めることこそ、真の財政構造改善ではないのか、ということを指摘し、「財政構造改善実施計画」の抜本的な見直しを強く求めておきます。

 次に、意見要望を述べます。
 ここでも、あらためて、指摘しておきたいことは、「財政構造改善実施計画」が、市民要求を抑制するためのキャンペーンになっている、という問題です。ここを改めなければなりません。
 いま、住民は、国の政治の影響を受け、暮らしは大変な状況に追い込まれており、暮らしへの応援を強く求めています。住民の要求は、どんな要求であっても、その一つひとつは、どれも切実なものばかりです。行政は、その願いをしっかりと受け止め、市政運営に反映させるために力をつくすべきです。以下、市民から寄せられている要望をいくつか紹介し、その実現を求めます。

 一つは、生活保護を利用する人への一時扶助のことです。
 まず問題にしたいことは、利用できる制度があるにもかかわらず、その制度が利用できなかった事例があった、という問題です。決算分科会でも紹介した事例ですが、ケースワーカーが制度の利用を促すことを失念していたために、相談者が制度を利用できなかったという事例です。今後、このようなことが絶対に起きないしくみを確立すべきです。強く要望しておきます。
 また、一時扶助には、生活保護費とは別に、臨時的かつ必要不可欠な出費に対応するために資金を支給する、という制度があります。そのなかには、洗濯機や冷蔵庫などの家具什器費も、対象としてあげられています。ところが、電気製品など、劣化によって故障した場合は支給対象にはなっていない、ということが、答弁でも明らかになりました。エアコンも同じ条件だ、ということでした。このような事態は、憲法が保障する生存権の侵害にあたり、エアコンにいたっては、気候変動適応や熱中症対策としても、ただならぬ事態だといわなければなりません。緊急の対応を強く求めるものです。

 二つ目は、保育所の待機児童問題です。待機児童を生まない体制を整備することは、自治体に課せられた義務です。即刻の対応を求めます。あわせて、保留児童も早期に解消することを目標にし、そのための方針と計画をもって推進することを求めます。

 三つめは、子どもの権利を守るための公的第三者機関の設置についてです。市長は、当初予算を審議する三月議会で、「(仮称)宮っ子つながり支える条例」をつくる際、子どもの権利を守るための公的第三者機関の設置を盛り込む、との考えを表明され、そのための予算が計上されました。この予算は否決されましたが、いまの深刻な子どもの権利状況を考えれば、子どもの権利をまもるための公的第三者機関の設置は急がれます。特段の努力を傾けることを強く求めておきます。

 四つ目は、全国の自治体でも、兵庫県下の自治体でも広がりはじめている、高齢者補聴器購入への助成制度の創設です。すでに他市で実施しされている制度と同程度の内容で、西宮でも実施しようとすれば、対象者は約600人、一人当たりの助成を2万円と設定した場合、その費用は、およそ1200万円です。「聞こえの支援」をぜひ西宮でも実施されることを強く要望します。

 ほかにも、児童相談所の設置を急ぐこと、少人数学級の実現、交通不便の解消など、切実な要求はたくさんあります。

 市は、「財政構造改善実施計画」を推進すべきだと強調しますが、やはり、やるべきことはやらなければならないのです。たとえば、学校給食室へのエアコン設置の計画を前倒しで実施することになりました。また、子どもの医療費の完全無償化も実現することになりました。差し迫った課題に対応することや、長きにわたって市民が願い続けてきた要求を実現する、これこそ自治体の本来あるべき姿です。大変喜ばしいことであり、歓迎されることです。
 このように市の方針として、住民要求にもとづいて新たな施策が実現したということは、たとえ「財政構造改善実施計画」を推進しているもとであっても、その計画が、市政全体を支配するものでもなければ、枷がはめられるものでもない、ということを、ある意味、証明したものと、私たちは評価しています。
 西宮市民の切実な要求をしっかり受け止め、その実現のために寄り添う西宮市政をめざしてください。

 最後に、国際政治も、日本の政治も、いま、重大な歴史的岐路を迎えています。私たち日本共産党は、時代逆行の道ではなく、この悪しき現実と政治を変え、新しい政治をみんなで実現する、そのために奮闘することを決意して、反対討論とします。