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庄本けんじの一般質問
2026年06月22日

生活保護制度の基本理念


 みなさん、おはようございます。日本共産党の庄本けんじです。傍聴にお越しくださいましたみなさん、また、インターネットや、さくらFMをご視聴のみなさん、ありがとうございます。ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して一般質問をおこないます。きょうは、生活保護行政について質問をいたします。

生活保護制度の基本理念

 生活保護の制度は、人が人としての尊厳がたもたれ、だれもが幸福な人生を送ることができる、そのための条件を、国の責任において、整えるための制度です。それは、憲法25条と生活保護法による法理からも、当然、得られる答えです。
 憲法25条は、まずは、その第1項で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記しています。そして、その第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とさだめて、国の義務を明らかにしています。
 また、生活保護法においては、その第3条で「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」とされています。
 憲法25条でも、生活保護法でも、そこに「最低限度の生活」と明記していることの意義は、いうまでもなく、命をただつなぎとめ、ただただ生きているだけ、という生活水準をしめしているのではないはずです。社会の発展とともに、そこで生み出された文明や文化の成果を、だれもが等しく享受できるような生活水準を国の責任において保障するということを憲法25条は求めている、と理解すべきです。

 ところが、国が決定する生活保護の扶助基準は、何度も改悪が重ねられ、憲法と生活保護法の理念や精神から、どんどんかけ離れ、空洞化させられています。たとえば、古くは、1950年代の医療扶助の実質的な削減がおこなわれ、それ以来、波状的に「適正化」の大キャンペーンが何度も繰り返され、生活保護に対する聞くに堪えないネガティブキャンペーンが繰り返されました。いまでも、その影響はぬぐえず、対象の人の尊厳が深く傷つけられています。時代は、2000年代に入り、それまでの「適正化」が集大成された「生活保護行政を適正に運営するための手引き」が発行され、「適正化」による生活保護への圧迫がより激化してゆきました。
 それだけではありません。2006年には、老齢加算が廃止され、母子加算は、いまは、復活したものの2009年にはいったん廃止され、2013年には、生活扶助費の基準が大幅に引き下げられました。このときの削減が、「いのちのとりで裁判」がおこなわれる要因となったのです。
 多くの人が苦境に見舞われ、悲鳴を上げている状況にもかかわらず、そのあとも、次から次へと制度の改悪が繰り返されたのです。その例が、不正受給の罰則強化、医療扶助の適正化、就労による自立を促す「就労自立給付金」の創設など、生活保護制度の圧縮です。
 2018年の基準改定では、最大5%の「生活扶助基準の引き下げ」が決められ、「後発医薬品(ジェネリック医薬品)使用の原則化」が強行され、コロナ危機に見舞われたそのさなかにあっても、扶助費の基準は下がり続けたのです。その後は、耐え難い物価高騰がつづき、消費税増税による重しがのしかかっています。
 ここまでくると、もう、憲法25条や生活保護法の3条どころではありません。生活保護制度の根幹が揺らぎ、制度の空洞化、と言わざるを得ない状況に生活保護制度そのものが追い詰められたのです。それは、同時に、生活保護を利用する人たちへの精神的な追い詰めにもなりました。尊厳が深く傷つけられつづけてきたのです。

いのちのとりで裁判の判決

 生活保護行政のそのような状況のなかで、「いのちのとりで裁判」がはじまり、10数年を経て、昨年、2025年の6月に判決がくだされました。この判決は、直接的には、2013年から2015年のあいだにかけて段階的に生活扶助の基準を、平均6.5%、最大10%減額した政府の行為を断罪したものです。しかし、裁判長の詳細な反対意見や、もう一人の裁判官の補足意見を含め、判決の全体を素直に受け止めるならば、判決は、国がおこなってきた数々の制度改悪の全体に対する批判となりえるものであり、ひいては、生活保護制度の削減は、人権侵害に該当する恐れがあると判示したもの考えられます。さらには、生活保護制度の根本的な大転換を政府に求めた判決だったと思います。

【質問】
 そこで、お尋ねします。このたびの「いのちのとりで裁判」の判決は、現状の生活保護制度の在り方を根本から見直すことが迫られるほどの衝撃を社会に与えたと、私は思いますが、市当局は、このたびの判決をどのように受け止めておられるか、見解を伺います。

【答弁】
 1番目の「いのちのとりで裁判」についてのご質問のうち、まず「判決の評価とその核心はどこにあるのか」についてお答えいたします。
 生活保護制度は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
 今回の最高裁における判決は、平成25年当時の生活扶助基準改定において、「デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があった」として、原告に対する当時の保護変更決定処分が取り消されたものです。
 このたびの判決に対する市の受け止めとしましては、どのようなデータに基づき、どのような専門的機関での議論を経て決定したのかという、行政運営の透明性と手続きの正当性が厳しく問われた判決であったと認識しております。

判決にたいする政府の不当な対応

 判決の具体的な内容は、政府が、生活扶助の基準を引き下げるために編み出した、いわゆる「ゆがみ調整」と「デフレ調整」という二つの調整をおこなったことにたいし、「ゆがみ調整」については違法とせず、「デフレ調整」は違法とした、というものです。減額率でいうとマイナス4.78%の部分です。この判決に従えば、国は、「デフレ調整」によって減額した分を対象となる人に全額返還することが迫られました。金額にすれば、一世帯あたり約20万円です。政府は、この判決に即して、対応方針を決めなければならないはずでした。

 ところが、政府は、違法とされた「デフレ調整」を、いったん白紙にもどし、その代わりに、新たな減額調整を導入し、減額率マイナス2.49%という新しい算出方法を持ち込んで、その結果、判決が求めた返還額を約半分にしてしまったのです。つまり、判決に従えば、違法とされた「デフレ調整」によるマイナス4.78%の減額分、一世帯あたり約20万円の追加給付とすべきところを、一世帯あたり約10万円に値切ったのです。判決を無にする決定だったといわざるを得ません。
 さらに、かさねて、厳しく批判されるべき問題は、政府が、原告への対応と原告外への対応を差別したことです。無差別平等の原則を平気で踏みにじるもので、重ね重ねの不当な対応といわざるを得ません。

 この政府対応の決定がいかに不当かということについては、各方面から厳しく、本質を突いた批判がされています。その内容は、昨年の12月議会でわが党議員団の野口あけみ議員が、「裁判全国アクション緊急声明」を紹介しながら、指摘した通りですが、その後も、続々と各方面から批判の声明が出されています。政府の対応は、訴訟の成果を無にするものであり、最高裁判決そのものを黙殺し、行政が司法の判断をないがしろにする、到底、許すわけにはいかない方針決定だという批判です。これは、三権分立の原則、民主主義の原理、法治国家を成り立たせる土台を壊しにかかる行為と指摘しなければなりません。政府はいまからでも、最高裁の判決に従うべきです。

【参考=各方面からの批判】
<2025年12月8日法学研究者による緊急声明>
 「6月27日最高裁判決は、多数意見と反対意見との間で引き下げ処分取り消しの理由付けに違いがあるが、2013年に行われた生活保護基準引き下げ決定全体を違法と判断したしたものであって、引き下げ理由で区別したうえで一部取り消しを認めたものではない」。
<2026年(令和8年)1月15日弁護士有志一同>
 「生活扶助基準の引き下げ改定(以下「本件改定」という。)を違法とし、保護費を減額する処分を取り消す判決を言い渡した。
 本来であれば、厚生労働省(以下「厚労省」という。)はこの判決に従い、本件改定の影響を受けるすべての生活保護利用者に対して、全面的な補償をすみやかに行わなければならない。
 しかしながら、2025年11月21日に厚労省が示した対応策(以下「本件対応策」という。)は、最高裁判決の趣旨を没却するものであり、行政が司法の判断に従おうとしない態度を如実に示すものであった。
 我々弁護士有志一同は、法の支配と三権分立の原理を軽視するかのような国及び厚労省の姿勢に強く抗議し、最高裁判決に従った全面的な補償を速やかに実施することを求め、この声明を公表するものである」。

 結局、政府はこのような恥ずかしい決定をしたのですが、給付の事務は、政府が決定した内容で執行されることになります。政府の方針を受けた西宮市の追加給付の方針が、5月15日開催の健康福祉常任委員会おいて所管事務報告がおこなわれ、その具体的な内容が明らかにされました。そこで問題となったのが、生活保護の利用を廃止した人にたいしては、個別の案内をしないとの方針がしめされたことです。廃止世帯は、申し出によるとしています。個別案内はせず、市政ニュースとホームページで知らせるとのことですが、そのような実務対応では、対象3500世帯の人たちには、とても周知することなどできない。給付漏れが大量に発生することになりかねさせん。健康福祉常任委員会では、私を含めて他の議員からも、個別の案内はすべきだとの意見がありしました。

【質問】
 そこでお伺いいたします。まず、追加給付事務の概要をお示しください。あわせて、廃止世帯への個別案内について、どのように対応されるのか、お答えください。

【答弁】
 次に「判決を踏まえた政府と西宮市の対応について」のご質問にお答えします。
 この最高裁判決を踏まえた追加給付の実施方法としましては、保護受給中世帯につきましては自治体の権限でプッシュ方式により追加給付を行い、廃止世帯については保護受給当時の世帯主が自治体に申出を行い、追加給付を行うこととなります。
 国の通知では、廃止世帯に対して、「プッシュ方式で対応することについては、自治体において存否確認や住所の確認など事務負担が膨大となるとともに、過去の保護受給歴を知られたくない方も存在することが懸念されるため、当時の世帯主からの申出を踏まえて追加給付を行うこと」と示されております。
 次に、本市の対応でございますが、保護受給中世帯を約6,100世帯、廃止世帯を約3,500世帯と見込んでおり、保護受給中世帯は申出の必要なく7月上旬に給付する予定です。
 廃止世帯の追加給付の申出受付については、受付期間を国が統一的に設定することとしており、本年夏頃開始予定として検討が進められておりますが、現時点において明示されておりません。
 議員ご指摘の廃止世帯への個別案内を行うこととした場合、まず、当時の世帯主の居住地確認を行います。世帯主が申出を行うこととなっておりますが、世帯主が死亡している場合は、保護を受給していた同じ世帯の配偶者、子、父母、孫等の順位に基づいて申出することとなります。
 同一順位の方が複数いた場合は、代表者が申出を行うこととなり、代表者に対して給付いたします。そのため、申出対象者の優先順位に基づいた居住地の確認が必要となります。
 追加給付の対象期間が平成25年8月から、と10年以上前のこととなり、この間、世帯構成が大きく変わっていることが考えられ、存否や居住地などの確認に、膨大な事務負担が生じることが予想されます。
以上のことから、本市では、廃止世帯に対する個別案内は行わず、市政ニュースやホームページで周知する予定としております。
 なお、国の支給事務マニュアルでは、現在の自治体において保護受給中の世帯で、過去に他市での保護受給歴を把握している場合は、当時の自治体に申出を行うよう助言や手続き支援を行うことになっております。
 現在、本市で保護を受給している世帯で、対象期間内に他市で保護を受給していたことがある場合は、追加給付に係る決定通知書に同封するリーフレットで案内するとともに、当該世帯から相談があった場合には丁寧に支援を行ってまいります。

生活保護費の一時扶助費の支給漏れ問題

 次に、生活保護費の支給漏れの問題についてお聞きします。
 一つは、生活保護費の一時扶助に関する問題です。
 一時扶助には、たくさんの種類と項目があります。生活扶助で13項目、教育費では4項目、あと、住宅費、医療費、介護費、出産費、生業費、葬祭費と、全部で8種類27項目に及びます。
 生活保護の「一時扶助」というのは、毎月、定額で支給されている生活費とは別に、特定の出来事によって一時的に生じる「特別で例外的な需要」に対応する費用とされています。厚生労働省の通知によると、「最低生活に必要不可欠な物資を欠いている場合に、特別条件下での臨時特別の需要に対応するもの」との説明があります。つまり、通常の生活費では補いきれない「その時、その状況でしか発生しない必要不可欠な出費」を支援する。そのことによって、受給者が健康で文化的な最低限度の生活を維持・継続できるようにするための制度だ、ということです。
 ですから、一時扶助がないとなれば、それこそ、健康で文化的な最低限度の生活を維持することができなくなる、憲法25条がしめす権利が保障されない、別の言い方をすると、権利が侵害されているということになります。大変重い、権利保障にとって必要不可欠の制度なわけです。
 ところが、私たちに寄せられる相談のなかには、そのような制度があるとは知らなかった、市に相談したけどダメといわれた、というような相談が少なからずあります。
 たとえば、「入院したときのおむつ代が一時扶助の対象になるということを知らず、受けていなかった、人伝えに知ったけど、いまからでも支給してもらえるのか」という問い合わせと相談が寄せられました。結果、支給してもらえることになったのですが、その人曰く、言わなかったら支給してもらえず、大変困ったことになっていた、という感想です。
 もう一つ、紹介します。先日のことですが、「お家のカギが破損した、三万円にもなるので、市に相談したが、ダメだといわれた」という相談でした。市の側にいろいろお聞きしますと、担当者が相談者に伝えたのは「まず、マンション管理人か大家さんに聞いてみてください」と伝えた、とのことだったようです。ところが、それが、相談者にとっては、市から「ダメ」といわれたと受け止められていたようです。私たちに相談がなかったら、そのままあきらめていた可能性があります。
 支給漏れがないように、対応を改善し、対応の熟度を上げていかなければなりません。また、制度の周知を抜本的に高めなければなりません。当局は、年に一度、保護利用者宛てに、「生活保護のしおり」を送付し、その冊子のなかで一時扶助の一部を紹介しているとのことですが、そのような対応だけでは不十分です。
 やはり、一時扶助の支給漏れはあってはならないこと、そういう立場をすべての職員に徹底されていることがどうしても必要だと思うのです。そのことを基底に据えたうえで、実務上の改善、経験の交流やニアミスなどの事例の共有、研修の充実、相談者にとって安心の窓口になってほしいと思うのです。

【質問】
 そこでお尋ねいたします。いま、どのような努力を当局はされているか、お答えください。

【答弁】
 2番目の「生活保護費の支給漏れについて」のご質問のうち、まず、「生活保護費の一時扶助の支給漏れ問題」についてお答えします。
 被保護世帯からは、保護費の支給に限らず、利用できる制度など幅広くご相談があることから、年に1回、くらし支援課で作成した「生活保護のしおり」を全世帯に配布し、おむつなどの一時扶助の具体例を記載するなど、生活保護制度について広く周知しております。
 また、家庭への訪問時などには、保護費の相談に限らず生活での困りごとがないかなどお聞きし、状況に応じて適切な機関へつなぐなどの支援を行っております。
 また、生活保護制度は制度改正が多く、被保護世帯からの相談に適切な対応が必要なことから平成25年から社会福祉士など福祉の専門的な知識を持った職員を一定数配置し、世帯の状況に応じたきめ細やかな支援につなげております。
 また、段階的・体系的にケースワーカーに対する研修体制を構築するとともに、定期的な会議の場で事例を共有し、ケースワーカー間の経験や知見を組織全体で活用することで、ケースワーカーによる支援の差が生じないよう努めております。
 今回、議員が受けられましたご相談につきましては、担当ケースワーカーから制度の説明は行ったものの、「相談者は支給がされないものと受け止められている場合がある」とのご指摘を踏まえ、今後もより一層、被保護世帯からの相談内容に応じて適切な助言とより丁寧な説明を行うとともに、各世帯の状況把握に努め、世帯の自立に向けて支援してまいります。

障がい者加算の未支給問題

 次に、障がい者加算が長期にわたって未支給になっていた問題です。
 ある方から、訴えがありました。訴えは、この4月のことです。お話を聞きますと、障害加算の未支給があった。未支給について気が付いたのは当局の側でした。ですから、職員の側から対応することになるのですが、相談者は、職員からの電話で「振り込んだ」とのお知らせがあって、そこで、はじめて、未支給があることを知った、とのことです。実は、その相談者は、当初から、加算の可能性があると思い、当時のケースワーカーの担当者にそのことを伝え、さらに、担当者が変わるごとに、加算のことを伝えてきたが、そのたびに「それはないです」といわれてきた。ところが、ある日、突然、「振り込んだ」という知らせが来て、虚を突かれた思いだった、ということです。しかも、そのときの連絡では、5年分の金額が振り込まれたということだけが伝えられ、なぜこんなことになったのか、未支給が全部ではどのくらいだったのか、そうした詳細はいっさい伝えられなかった。そうした職員の対応にも腑に落ちないところを感じながら、もやもやとした気持ちでずっといた、とのことです。しかし、最近、テレビなどで、加算の未支給があった自治体の謝罪会見を目にして、事の重さを感じ、詳細をはっきりさせたいとの思いが募り、市に未支給だった金額がそもそもいくらだったのか、資料を要求し、その資料を受け取った、ということです。
 未支給の期間は、2014年6月から2020年の4月までの70か月間、5年と10カ月間だったとのことです。

 これは、行政の側の重大なミスです。健康で文化的な生活を営む権利の侵害が、行政のミスで70カ月という長期にわたって続いていたということです。ところが、市の側から、当事者には、なぜそのようなことが起きたのか、どのようなことがキッカケとなって職員は気づくことができたのか、再発防止はどうなるのか、そうしたことが、いっさい伝えられていないのです。

【質問】
 そこでお尋ねします。まず、遡及限度、つまり、さかのぼる限度がなぜ5年なのか、お答えください。あわせて、再発防止について、検討し、何らかの対応がされたのでしょうか。お答えください。

【答弁】
 最後に「障害者加算の長期にわたる未支給問題」についてのご質問にお答えします。
 該当の世帯の方に対しましては、適切な申告をいただいた中でこのような対応となり大変申し訳ございませんでした。まずはお詫び申し上げます。
 議員ご質問の事例につきましては、特別児童扶養手当の支給が決定された旨の申告をいただいたにも関わらず、障害者加算の認定ができていたかったことが事後に判明し、5年間の遡及限度の範囲内で障害者加算を支払ったものでございます。
 扶助費の遡及支給につきましては、「厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡」において、原則、遡及変更は発見月から3か月程度とされています。
 ただし、「最低生活費の認定変更が適切に行われなかったことについて、受給者に何ら過失がないなどの受給者に帰責する事由がなく、かつ保護の実施機関において認定を誤ったことが明らかな場合は、発見月から前5年間を限度として追加支給して差し支えない」とされており、本件はこの事務連絡をもとに対応いたしました。
 また、この事例を踏まえて、令和3年度より年に1回、全世帯に対し確認を行っております。今後このような事象が生じないよう、引き続き適正な生活保護費の算定を行ってまいります。

生活保護制度の実務は権利保障に直結する重要業務

 生活保護行政は、国民の健康で文化的な生活を保障し、尊厳をもって生きる権利を保障し、そのことをつうじて、ナショナルミニマムの水準を決めるという、重要な役割を果たすものです。行政の一つひとつの実務は、人々に保障された権利を、具体的な制度によって保障し、それを執行する作業です。生活保障制度は、最低限度の保障ですから事の次第では即刻権利侵害に当たりかねないものです。生活保護制度の執行は、それほどに重要な実務だということを強く指摘して、壇上からの質問を終わります。

※このあと再質問をおこなっています。西宮市ホームページの市議会からネット中継を選び、ご覧ください。

2025年12月8日法学研究者による緊急声明
 「6月27日最高裁判決は、多数意見と反対意見との間で引き下げ処分取り消しの理由付けに違いがあるが、2013年に行われた生活保護基準引き下げ決定全体を違法と判断したしたものであって、引き下げ理由で区別したうえで一部取り消しを認めたものではない」。

2026年(令和8年)1月15日弁護士有志一同
 「生活扶助基準の引き下げ改定(以下「本件改定」という。)を違法とし、保護費を減額する処分を取り消す判決を言い渡した。
 本来であれば、厚生労働省(以下「厚労省」という。)はこの判決に従い、本件改定の影響を受けるすべての生活保護利用者に対して、全面的な補償をすみやかに行わなければならない。
 しかしながら、2025年11月21日に厚労省が示した対応策(以下「本件対応策」という。)は、最高裁判決の趣旨を没却するものであり、行政が司法の判断に従おうとしない態度を如実に示すものであった。
 我々弁護士有志一同は、法の支配と三権分立の原理を軽視するかのような国及び厚労省の姿勢に強く抗議し、最高裁判決に従った全面的な補償を速やかに実施することを求め、この声明を公表するものである」。
 こうした批判についても、目を通すべきだと思うが、どうでしょう。