HOMEへ
野口あけみの一般質問
2026年09月04日

平和教育について、教育委員会と学校の関係性について、国民健康保険料の県下完全統一化について


 ただいまより、日本共産西宮市会議員団を代表して、私、野口あけみが一般質問を行います。
傍聴にお越しの皆さん、インターネット中継などをご視聴の皆さん、ありがとうございます。

1、平和教育について
 今年3月16日、沖縄県辺野古沖で小型船2艘(そう)が転覆し、研修旅行中の京都府の私立(わたくしりつ)同志社国際高校の生徒ら2人が死亡した不幸な事故が起きました。
 学校には児童生徒の生命を守る安全配慮義務があります。今回の事故で安全管理上の問題が厳しく問われるのは当然であり、同校を管理運営する同志社は、3月28日に第三者委員会を設置、調査を開始し、7月末に「明らかな安全配慮義務違反がある」と認定しました。
 そうした中、同校の調査結果を待つことなく、5月22日文部科学省が、同校の平和に関する学習が「政治的活動を禁じる教育基本法第14条第2項に反する」などという「見解」を発表しました。政治的活動を理由に教育基本法違反を認定したのは、1947年の法施行以来初めてのことです。

 この文科省の見解には、多くの国民、専門家からも問題点が指摘され、懸念の声が広がっています。以下、概括的に触れておきたいと思います。
 問題点の一点目。国際高校は、大学を有する学校法人である同志社が設置管理する私立高校であり、国際高校の所轄庁は京都府知事です。にもかかわらず、文科省は所轄する同志社を形式的に調査対象としつつ、国際高校を調査しました。これは、同志社が自らの意思で国際高校を管理運営する権限を侵害し、かつ、所轄庁の京都府を飛び越えており、その権限を侵害しています。文科省のこの行為は教育基本法第16条第1項に定める「不当な支配」に当たる可能性が高いといわれています。
 二点目。文科省は安全管理の問題だけでなく、それ以上に教育活動の内容にまで踏み込み、見解を示しました。そして、「現時点で把握した情報から」と限定し、「総合的に勘案した結果」だとして、教育基本法第14条2項に違反するとしたのです。違法認定の重みを考えれば、14条2項に違反する、違法認定の基準を明示し、この度の国際高校のどういった行為がそれに該当するかを具体的に示す必要があります。
 しかしその基準が極めて不明確なまま認定されたこと、どんな活動でも「政治的活動」だというレッテルを貼れば規制対象にできるかのような拡大解釈がされていることに疑問が広がっています。
 三点目。これが一番問題ですが、この度の文科省の見解によって、平和学習や政治教育に取り組もうとする全国の学校や教師を委縮させる、さらに政治的に意見が分かれる事柄について学習機会を設けることをためらう、というような威嚇効果が絶大であるという点です。

 そもそも主権者を育てる上で、政治教育はきわめて大切だというのが教育基本法第14条の立場です。一項では、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」と規定しています。2項では、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」としています。この条文は、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育」と、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するためのその他政治的活動」をしてはならないと解釈するのが正当です。
 この第14条は、子どもたちに政府への恭順を教えた戦前の教育への反省から、自主的で批判的な主権者を育てる自由な政治教育を期して制定されたもので、2006年に同法が改定されてもその精神は受け継がれているものです。

 以上のことを踏まえ、これまで本市でも取り組んできた平和学習や政治的教養教育を委縮させてはならないという立場で具体的な質問を行います。

@平和教育はどのような法的根拠のもとに、どういった点に留意して行われているか。
A非核平和都市宣言を行っている西宮における平和教育について、教育委員会はどのようにみているか。

2、教育委員会と学校の関係性について
 教育委員会と学校の関係性については、学校教育法や、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などから、次のように整理できます。
 公立学校は自治体が設置者であり、設置者の意思を代表して実際に管理の任に当たる学校管理機関が教育委員会です。教育委員会は学校の管理運営について最終責任を負い、「制度・枠組みと人事・予算」を担います。
 また、教育委員会は学校管理規則などで校長に学校運営の責任者としての権限を規定し、校長は「現場の具体的運営」を担います。校長の主な権限と役割は、教職員を指導・監督し、学校運営を統括し、学校の教育課程の編成、年間計画の作成に責任を持つことなどです。
 教育委員会は、その権限に属する事務については、校長に対して方針や具体の指示を出すことができますが、一方で「校長の権限」とされている事柄については、教育委員会が個々の案件に踏み込んで細かく指示することは原則として適切でないとされています。
 「校長の権限」の代表的なものは、教育課程の具体的な編成や年間指導計画の細部、校務分掌の決定や学年主任など校内体制の具体的組み方、授業・指導方法の日常的な運用などであり、これらは、法上は「校長の権限」と表現されていますが、校長が単独で決定するものではなく、子どもたちの健やかな成長のために、教師や教師が集団で決め遂行しているものです。
 先般、教育委員会は、4月の文科省通知を受け、校外行事届の内容を見直すことを、表明しました。
 ご答弁によれば、校外行事における外部講師の有無、所属団体、依頼内容についても届け出ができる様式を検討し、教育委員会として、特定の事柄を強調しすぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの見方や考え方の偏った取り扱いが避けられるよう、学校向けのガイドラインやチェックリストを作成し、学校を支援するとされました。
 私は、ガイドラインやチェックリストの内容やその扱い方によっては、教育委員会の権限を逸脱し、学校現場の自主性や主体性、創造性を毀損することになるのではないかと危惧します。本市教育委員会が作成するものはそうならないとは思っていますが、あえて、そうしないことを強く求めておきます。
 質問です。ガイドラインやチェックリストを作成した後の取り扱いについて、改めてお聞きします。

3、国民健康保険料の県下完全統一化について
 2018年、いわゆる国民健康保険の都道府県化がスタートしました。市町村は、それまではそれぞれが保険料を決定していましたが、都道府県化以降は、都道府県が市町村ごとに決定した納付金に見合った保険料として示す標準保険料率を参考に、各市町村が保険料率を決定する仕組みとなっております。
 そして国は、保険料は同一県内では、所得水準、世帯構成が同じであれば同じ保険料負担になるようにという名目で、都道府県での保険料率統一を目指していました。そのためにガイドラインや保険料水準統一加速化プランを2次にわたって示し、都道府県を駆り立ててきました。
 そして、このたび、いよいよ兵庫県は2027年度には県下各市町に統一の標準保険料率を示し、2030年度には保険料率を県下で完全に統一するとしています。
 都道府県化の以前も以降も、各市町は独自の努力によって、もちろん本市でも、高すぎて払えない保険料引き下げのために、一般会計からの繰り入れをおこなうなどしてきました。一般会計からの繰り入れをやめよと言われたら今度は、基金の活用や、独自減免制度を創設するなどして、県が示す標準保険料率より低く抑える努力を続けてきました。完全統一する2030年度までは、各自治体のこの裁量は残っていますが、完全統一されれば、その裁量は全くなくなります。市では、統一化に支障ありと、独自減免の段階的廃止も決めてしまっています。
 しかし、保険料率の県下統一は法律や法令で決まっているものではありません。法上はそうしなければならないという規定はなく、これは技術的な助言であるということは、昨年9月議会でも申し上げたところです。また、これは、あくまで県下自治体すべての合意があって遂行されるものであるということも明らかとなっています。
 ところで、全国の都道府県で完全統一に踏み出している自治体は少数です。2024年度完全統一を達成しているのは大阪府と奈良県のみです。兵庫県など19道県が完全統一の目標年度を決め、運営方針に書き込んでいますが、残り26都府県のうち、18都県は完全統一について将来的にめざす、あるいは今後協議などの記述にとどまり、京都府など8府県はその前段階の標準保険料率統一の目標年度さえ定めていません。
 「県内で同じ所得水準であれば同じ保険料」と、何かいいことのように言われていますが、そもそも県内のそれぞれの自治体においては医療供給体制や被保険者の医療水準に不均衡があります。県内で同じ所得水準で同じ保険料になったとしても、同じ水準の医療を受けられなければ、意味があるでしょうか。
 しかも、すでに完全統一化されている大阪府や奈良県の例を見ても、保険料は大きく上昇しています。保険料率の完全統一にはメリットがないといわなければなりません。
 質問です。
1、大阪府下の自治体保険料が完全統一化によってどうなったか。特徴を、数値で示してください。また、兵庫県の完全統一化でどのようになるのか、推計を示してください。
2、県内のそれぞれの自治体においては医療供給体制や被保険者の医療水準に不均衡があります。その状況をどのように把握しておられるでしょうか。
3、2022年(令和4年)11月に 「兵庫県における保険料水準の統一に向けたロードマップ」は全市町合意のもといったんは策定されていますが、県内の医療費水準の差を小さくしていくことは重要なテーマだともされています。
 保険料の完全統一は医療費水準が低い地域においても負担増が大きな問題ですが、本市のように、これまで市の独自の取り組みによって保険料率を抑制してきた自治体にあっては、保険料が格段に値上げとなり、市民は苦しめられることになります。
 そうしたことから、市は、保険料率完全統一に合意できない旨、県に表明すべきではないか。おききします。

 以上で、壇上からの質問は終わり、ご答弁をいただいたのちに要望、意見、再質問を対面式質問席にて行います。ご清聴ありがとうございました。